【ネタバレ】
◎「正体」
「信じる、君を。この世界を。」
2024年11月29日(金)公開、監督は藤井道人、脚本は小寺和久、藤井道人、原作は染井為人、PG12、120分。
横浜流星(鏑木慶一役)、吉岡里帆(安藤沙耶香役)、森本慎太郎(野々村和也役)、山田杏奈(酒井舞役)、山田孝之(又貫征吾役)のほか、
前田公輝(井澄正平役。又貫の部下の刑事)、原日出子(井尾由子役。一家殺人事件の遺族で目撃者)、松重豊(川田誠一役。又貫の上司で警視庁刑事部長)、山中崇(足利清人(謎の男)役)など。
総合評価点は、上中下で上の下くらい。
山田杏奈さん出演だからという以上は気にせずに見ることにしましたが、気になる点はいくつかありますが、全体として良かったです。
逃亡中の鏑木の緊迫感とか、逃亡中に野々村和也、安藤沙耶香、酒井舞と関わっているときのほぐれた感じを小さな変化で表したりとか。又貫について、台詞なしで表情で見せるシーンとか。
あと、こういうキャラの役は少ないですが、こういう山田杏奈さんも良いです。
・18歳で事件が起きてその場で捕まって、21歳で死刑判決というのは早い気が。
本人が犯行を認めていて状況証拠や目撃証言からしても他に犯人がいるとは考えられないというのならまだしも、最初から否認していますから。そもそも目撃者の井尾由子が混乱していて正確な証言をしたのかが明らかに怪しいですし、弁護人がきちんと弁護活動をしなかったのでしょうね。あと、残虐な犯行なので世間が鏑木を犯人にして非難したかった、警察も世間を気にして早く解決したくてきちんとした捜査をしなかったといったところ。少なくとも逃亡した際に、鏑木が犯人ではないかも知れない、という気持ちがあるように見えた又貫でしたし。
・冬、鏑木が最初に救急車から脱走するとき、裸足で人がほとんどいない山間部を逃げましたが、土地勘のない場所をそうそう逃げられるものでもない気が。
大阪の建設現場で、同僚である男が鏑木と気付いた野々村和也が懸賞金目当てで警察に通報し、逃げるはめになった鏑木。あとで何事もなかったかのように、ダチだろ、と無実の証明に協力してきましたが・・・初めての友達が嬉しかった鏑木とはいえ、直ぐに許すのかよ。
東京で居場所が見つかって警官が来て逃げるとき、都市部なら人に紛れて逃げやすいというのは分かりますが、足を痛めて少しばかり引きずりながらですから、警官からそうそう逃げられるものでもない気が。
鏑木を好きになった酒井舞が(2人とも、井尾由子が極秘で療養している施設で働いている)、付き合ってもいないのに鏑木の動画を勝手に撮って、気付かれて嫌な顔をされたのに、自分のSNSに勝手に載せたのも意味不明ですし(それで鏑木だとの指摘が一般人からあり、それに気付いた警察がやってきた)。
・別の殺人事件で現行犯逮捕された足利が、鏑木の事件の模倣犯ではと言われて、真犯人であることをほのめかしましたが、自己顕示欲というか、こういう犯人にはそういうものがあるよねという感じ。
・鏑木は、外見が良くて、誠実そうで、優しいからモテるというのは分かりますが、おとなしいというより暗いので、そこはマイナスなのでは。女性の庇護欲をそそる感じには描かれていますから、そういう都合の良い設定ということでしょうかね。
・逃亡中の鏑木は野々村、安藤、酒井の順に親しくなりましたが、その「正体」は同じ人物にしか思えないので、うーん・・・。
「5つの顔を持つ逃亡犯」というのが映画のキャッチフレーズの1つですが、外見はヒゲや長髪や髪の色やホクロを取ったりなどで変えていますが、それとて知人が見れば同一人物と分かるでしょうし、そもそも一般人でも分かりましたし、口数が少なくおとなしく落ち着いているという性格はほぼ変わっていないので。
・鏑木は、鏑木が目撃した真犯人(=足利)を目撃した井尾由子とようやく接触し、自分が犯人ではないことを証言してもらおうとしたわけで、酒井舞が撮影するスマホの生配信で犯人は鏑木ではないと井尾由子が言ったり。
施設でのゴタゴタを経て鏑木を逮捕した又貫。その後の記者会見で、鏑木をさっさと犯人にして終わりにしろと最初に又貫に言っていた川田もいる記者会見で、誤認逮捕の可能性があるから再捜査をすると勝手に言って川田らを唖然とさせた又貫。
それらもあって、鏑木に無罪判決。
・野々村和也が鏑木を信じたのは、まあ、分かります。安藤沙耶香については、鏑木に惚れたからと父の痴漢冤罪事件からくる共感で説明はできますし、酒井舞については、鏑木に惚れたからで説明はできます。
とは言え、公式HPの「信じる想いに心震える、感動のサスペンス」というのは言い過ぎに思います。
とは言え、まるで良かったところが伝わらない感想ですが(笑)、全体として良かったです。
○公式HPから。
「日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈) そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは? そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。」
【shin】