◎「中二病でも恋がしたい!」
このアニメの中二病の描き方が他のアニメの見方に影響を与えたので、本当は秋アニメとして2つ目に感想を書きたかったのですが(1つ目は、どうあっても「ひだまりスケッチ×ハニカム」)、11話と最終(12)話、特に最終話の恋愛と中二病のからみを見たら、このアニメが何をしたくて何を言いたいのかが良く分からなくなったので、考えていたところです。
結局、正月ボケでどうでもよくなりました。全体的には話も絵も楽しかったですし。
恋愛の描き方はどうってことなかったですが、中二病を少し離れたところから描いたところが全体的に楽しく、全体として楽しいアニメでした。
○ 1話で、このアニメにおける中二病の説明、定義をしています。
発症が中二でなくても中二病ですが、私は、全く心当たりがないということはないですが、典型的なのにはなったことはないですし、中二病という程のものになったこともないかな、と言ったところです。
「思春期を迎えた中学2年の頃にかかってしまうと言われる、恐ろしくも愛すべき病で、形成されていく自意識と、夢見がちな幼児性が混ざり合って、おかしな行動をとってしまうという、アレだ。
昨日まで週刊少年誌オンリーだった奴が、いきなり英語の原書を読み始めてみたり、コーヒーの苦味も何も分からないのに、ブラックに拘ってみたり、自分には特別な力があると信じて、オカルト系に思いっきり倒れこんでみたり。」
○ このアニメが始まったときに次のように書きましたが(→こっち)、終わっても印象は同じでした。
「 中二病を少し客観的に、少し離れたところから描くことにより、中二病の変なところや滑稽さがいい笑いになっています。
月刊ニュータイプ10月号で石原立也監督が、「中二病を卒業した人向けの作品だと思っています。」、中二病を「おもしろおかしく描いていきたいです。」と言っていましたが、正にそんな感じの面白さです。
ただ、善し悪しは別として、実は、今秋からのアニメは全てが「中二病でも恋がしたい!」に支配されているような気がします。
アニメはもともと中二病っぽいものが多いですが、中二病を客観視し、かつ面白いこのアニメが放送されていることにより、今秋の中二病っぽいアニメの中二病っぷりがいつもよりも馬鹿らしく見えてしまうわけです。
また、中二病っぽいアニメを見るときには、ある程度は自分も中二病になった気になって見ますが(どうせ見るなら、そうした方が楽しみやすい)、それもある程度までです。
このアニメにより、中二病になった気になることさえ馬鹿らしくなってしまい、中二病っぽい他のアニメが今一つ楽しめないのかも知れません。
なお、そもそも今秋の他の中二病っぽいアニメがストーリーの面白さが今一つという可能性もありますが、それは最後まで見てから判断したいと思います。 」
どうってことないシーンやくだらないケンカが中二病視点だと閃光バチバチの仰々しいバトルシーンに見えるとか、一般人視点と中二病視点とを交互に見せるとか、面白かったです。
それが一層、他の中二病っぽいアニメをいつもより馬鹿らしく見させ、私の中ではこの影響は、少なくとも冬アニメまでは続くでしょう。
石原監督はこのアニメは「実はひと皮むくと楽しいラブコメ」であり、「現役の中二病の人は、もっとかっこいいアニメが好きですよね(笑)。」とも言っていて、最後の3話くらいはラブコメがメインでそれなりに楽しみましたが、ラブコメについては特に書くことも無し。
○ 原作ラノベにはいなくてアニメオリジナルキャラの、マイペースで天然で先輩の五月七日(つゆり)くみん(cv浅倉杏美)、現役中二病の中学生の凸守(でこもり)早苗(cv上坂すみれ)のメイン2人に、六花の姉の小鳥遊(たかなし)十花(cv仙台エリ)について、彼女らが原作にいないとすると、果たして原作は面白いのか、大いに疑問です。
それを除くと、元中二病の富樫勇太(cv福山潤)、現役中二病の小鳥遊六花(cv内田真礼)、元中二病の丹生谷森夏(cv赤崎千夏)のメイン3人に、かき回せるキャラですが2人が元中二病であることを知らないからかき回すにも限度がある一色誠(cv保志総一朗)で話を進めることになります。
天然ボケのくみん、同じ中二病としてかき回す凸守、六花と勇太に立ちはだかる中二病嫌いの十花の3人などがいないと、1クール12話分のアニメとしてはもたないから足されたとのこと。
そもそも、いないと、数話のアニメとしてもあまり面白くないと思いますけれど。
○ 森夏について、大きな髪留めがよく落ちないものだとか、あの付け方だとそもそも髪留めとしての役目を果たしていないのではとか、きっとオシャレでしているだけなのだとか。見かけによらず腹黒いとか。
でも、高1としては、中二病を引きずっているにもかかわらず精神的に少し大人だとか(11話前半で、泣き叫ぶ凸守を部室から引っ張り出して、黙って抱きしめるところ等。)、クラスでは猫かぶっていて部(極東魔術昼寝結社の夏)では本音が出るところとか、楽しいキャラでした。
時々出てくる担任の先生の九十九(つくも)七瀬(cv井上喜久子)について、いつも笑顔で天然なのに、実は天然ぶっているだけで、かなりの策士で思い通りに六花達を動かしたりとか、楽しいキャラでした。
くみんについて、マイ枕を常備し、どこでも昼寝をするとか、天然のホワッとした雰囲気とか、楽しいキャラでした。
本当にただの天然なのか、カマトトぶっているのかについては、後者ではというシーンもありましたが(6話後半で、坊主になった一色の頭を触らせてと言う時に、いつもより少しだけ甘えた声で、かつウィンクをしたところ。)、結局よく分かりませんでしたが、前者の本当に天然という設定なのでしょう。
最終話で、六花から「邪王心眼」を継承したと言って六花と勇太をとりもったのは唐突でしたが、メインキャラでこういう役ができるのはくみんだけだったから、こんなものでしょう。
○ このアニメにおける中二病の定義について冒頭に書きましたが、少しばかり異なる定義もあるようで、どれが妥当なのかは分かりません。意味に幅があるようです。
ただ、このアニメの中二病には2種類あるような(片方だけが中二病なのか、両方とも中二病なのかは、言葉の定義の問題なので、どうでもいいことです。)。
(1) 現役の中二病とされる六花(高1)と凸守(中3)は、ごっこ遊びでしている感じ。
特に、4話後半で森夏と戦う凸守が、森夏の投げたヒモをワザワザ取りに行って腕に巻き付けて戦うところや、6話前半で六花と凸守が、共にゼロ番だとどっちが本当のゼロ番に相応しいかで戦いができると喜んでいるところ。
それは、楽しいからしているというもの。
更に、六花については、父の死を受け入れられないことからくる逃避としてというのが1つ、そんなときに中学生のときの勇太の中二病っぷりを見かけて勇太に憧れてマネをしたというのが1つ。
最終話後半で、「六花ちゃんは中二病に救われた女の子。富樫くんを見て、中二病と、その思いの強さに憧れた女の子。あなたの力に魅せられ、あなたの力をマネしようとした女の子。」とくみんが言っています。
十花と勇太の下の妹とが、妙にリアルなママゴトを時々してますが、ごっこ遊びの象徴かも。
(2) 一方、元中二病で高1になった2人はごっこ遊びではなく、勇太は魔王の「ダークフレイムマスター」であると、森夏は魔術師の「モリサマー」であると思い込んでいた感じ。
(2人は、無理に中二病を卒業したことにしたいだけで、まだまだ中二病な感じですが。)
1話後半で中二の頃は家族の前でも中二病をしていたのが変だったと家族に言われていたことや、最終話後半で中二の頃の勇太が出てきましたが、その中二病っぷりは、「ダークフレイムマスター」だと思い込んでいる感じがします。
(3) つまり、「ごっこ遊び」と「思い込んでいる」という違いであり、「本人が中二病を演じていると認識している」と「本人に中二病を演じているという認識はなく、なりきっている」という違いであり。
そう思った根拠はあまり示せませんが、また、勇太と森夏が中二病になったキッカケがあまり示されていなかったので情報不足なところは少しありますが、アニメ全体としてそう感じたということです。
(4) ただ、4話で凸森にヒモを投げれば中二病だからそうしてくると森夏にアドバイスしたのは勇太であり、森夏はそうした凸守に「確かに富樫くんの言ったとおりのようね。」と少し驚いて言っています。
負けた森夏を見て勇太が、「やはり真性に元中二病が挑んでも駄目だったか。」と心の中でつぶやいたり。
凸守がそうすると分かっている勇太もごっこ遊びだったのかなあと思ったり、それに関連して最終(12)話前半で森夏が勇太に対して言った、
森夏「ただ結局、人はいつも何かに病んでるのかなあ、って。」、
勇太「・・・深いな。」、
森夏「浅いのよ。富樫くんが。」(でもこれは勇太には聞こえていなかった様子。)
が生きてくるのだとすれば、森夏以外の3人はごっこ遊びだったのかなあと思ったり。
(5) はてさて、エンディングの「INSIDE IDENTITY」(詩曲:ZAQ)では、
「居場所はどこ?」
「こんな僕をわかってほしい」
「がむしゃらに求めてるIDENTITY」
「中二病と呼ばれても モラトリアムの渦の中」
とか、中二病がアイデンティティを探すことや、そのためのモラトリアムのことを指していると言っているようで、それが中二病の一因の場合はあるとしても、また、それの表現形態が中二病である場合はあるとしても、中二病とは別の概念として確立しているものでしょうに。
はたまた、最終話の最後のナレーションでは、中二病のことを、「キャラを設定してなりきっていた」とか「自意識過剰と言う名の病」とか、ごっこ遊びと言うよりは思い込んでいる感じのニュアンス。
何やら収集が付かなくてgdgdになってきたので、終わり!
【shin】
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