瞑想は、私にとっては胡散臭いもので、心の弱い人がするものだと長い間思っていました。
ところが、です。ITブームというのが90年代から2000年あたりに起こりました。インターネットバブル、ドットコムバブル、というものです。わたしはちょうどそのころIT企業に勤めていました。当時の社長が、私が話やすかったのか、それとも『こいつヤバい、瞑想したほうがいいぞ』と思ったのか、真相は不明ですが、アメリカでの身の上話を聞かせてくれました。D社、H社等で有名な社長たちと、一緒に瞑想をしていたという話です。もちろん、スティーブ・ジョブスが禅に凝っていたことは、とっくに有名な話でしたが、西洋人が東洋文化に憧れるなんてよくあることなので、『へえ、そうなんですか。あんな有名な人達と!』、と驚きはしましたが、では私も瞑想しよう、とは思いませんでした。
そして、そこから時が経ち、ジュリア・ロバーツ主演の映画『食べて、祈って、恋をして』を観ました。これは、著者エリザベス・ギルバートの実話が元になっています。主人公が会社を辞めて、自分を見つめようと、まずイタリアへ語学とグルメ旅行、そしてその後、わざわざインドに瞑想修行に行くのです。あげく、タイに行き、瞑想三昧なのです。ほほう、アメリカ人、思い切りがいいねえ、日本での禅のイメージと違って、海外からみた瞑想っていうのは大分違うのだな、と思いました。でも、まだ、瞑想しようとは思いませんでした。
そして、いよいよ、瞑想を体験してみようと思いたったのは、たまたまFacebookにあった、日本からタイへ留学し、そこでそのまま現地のお寺のお坊さんになったという、プラユキ・ナラテボー師の一時帰国に合わせた瞑想会のお知らせをみたからです。日本にいる日本のお坊さんからではなくて、日本のバイアスが無い瞑想を体験してみたかったのです。
(2)へ続く。