その中に、今でも忘れない、最悪の間違い電話がある。それは、ぼくが中学1年の時だった。
「もしもし」、女の子の声だった。
「はい」
「○○さんのお宅ですか?」
「いいえ違いますけど」
「あ、すいません。間違えました」
受話器を置くと、また電話がかかった。
「もしもし」
「はい」
「○○さんのお宅ですか?」
「いいえ違いますけど」
「おかしいなあ。・・・すいません」
それから、またすぐに電話がかかった。さっきの人である。
「もしもし」
「はい」
「あ、違う」
「また違ったみたいですね」
「あのう」
「は?」
「どうして出るんですか?」
「え? 電話が鳴るから出たんですけど」
「出ないで下さい」
「『出ないです下さい』と言われても、電話が鳴るから出ないわけいかないでしょうが」
「じゃあ、お金返して下さい」
「あんたねえ、自分が間違ってかけてるくせに、そんな言い方ないでしょ」
「あなたが出るから、私30円も損したんですよ」
「そんなこと知りません」
「お金返してください」
「そんなにお金が欲しけりゃ、ここまで取りに来て下さい!」
「・・・、ガチャッ」
間違い電話、つまり迷惑電話の一つである。どうして、迷惑をかけられたほうがお金を払う必要があるのだろう?やくざに絡まれているようなものである。
さすがにこういう電話は、これが最初で最後である。しかし、相変わらずうちには間違い電話がかかる。
何年か前だったが、よく留守番電話に、「毎日新聞ですか?」という電話が入っていた。
「毎日新聞さんですか?今日の朝刊がまだきてないんですけど」
「毎日新聞、止めたいんですけど」
「毎日新聞ですか?集金に来て下さい」
「毎日新聞さん、読売はもっといいものくれると言ってましたよ~」
最初のうちは、こちらから毎日新聞に電話して、「こういう電話がうちに入りました」と言っていたのだが、ほとんど毎日なので、ぼくは留守番電話のメッセージを変えた。
『はい、しんたです。ただいま留守にしています。御用の方は、ピーという音の後にご用件を入れて下さい。なお、こちらは毎日新聞ではありません。もちろん、取次ぎもいたしません。それでよろしかったら、入れて下さい。ピー』
このメッセージに変えてからは、間違い電話は少なくなった。しかし、中に一人、「じゃあ、朝日ですか?」という人がいた。
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