20年以上前の話だ。
その頃働いていた店のBGMで、聴いたことのある歌が流れていた。歌っているのは女性だった。
そこにいたパートさんに、
「この歌、『亜麻色の髪の乙女』やろ?」と聞いた。
するとパートさんは、
「そうです。今すごく流行ってますよ。しんたさん、こんな新しい歌、知ってるんですか?」と意外そうな顔をして言った。
知っているもの何も、その歌は数あるGSの歌の中で、ぼくが一番好きな歌だった。
「小学4年生の頃に流行っとったんよ」
「えっ、この歌、そんなに古い歌なんですか」
確かに古い歌だ。
島谷ひとみ版のこの歌が発売されたのは2002年。GSのヴィレッジ・シンガーズがカバー(元歌は青山ミチ『風吹く丘で』)したのが1968年だから、34年前の歌ということになる。
34年前。ぼくが生まれた年が1957年、その34年前は1923年だから、大正12年だ。その頃の流行歌というと、『船頭小唄(おれは河原の枯れすすき〜♪』とか『籠の鳥(あいいた差見たさに、こわさを忘れ〜♪)』だ。
島谷ひとみは、ぼくが0歳だった頃から換算すれば『船頭小唄』ほどの古い歌を歌っていたことになる。
それはともかく、この歌のファンであるぼくは、この歌がリバイバルヒットしてくれたことに、喜びを感じたものだった。