1,
小学生の頃、夏休みを利用して、学期末の健康診断(身体測定)で見つかった虫歯、鼻炎、トラコーマなどの治療に行っていた。
虫歯の治療は嫌だった。病院は家の近くにあったので、暑い中を歩いて行かなければならなかったし、何よりも治療が痛かった。
一方の鼻や目は、病院が駅前にしかなかったためバスに乗って行けるし、治療も歯に比べると痛くはなく、帰りに本屋に行くという楽しみもあった。
2,
その頃、夏休みといえば海や山に行く楽しみもあったが、デパートに行って海をイメージしたディスプレイを見たり、BGMのハワイアンを聴いたり、通路に置かれた氷柱を触ったり、夏の演出を見聞きする楽しみもあった
。ぼくは、それだけでも十分夏だった。
しかし、その演出もお盆までで、その後は氷柱もなくなり、ディスプレイも徐々に秋模様に変わっていき、BGMもハワイアンはかからなくなった。もうすぐ夏休みが終わる、という寂しさも加わり、何か物悲しさを感じていたものだった。
ハワイアンがかからなくなったその時期に、必ずかかっていた曲がある。