潮路のとはずがたり雑記 **shioji's notes

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「挑発する少女小説」を読んでみた

2022-03-16 19:20:00 | 本・小説

 あまりの暖かさに、羽毛布団をいちばん厚いものから合い掛けにチェンジ。それでもまだ朝方には汗をかきそうだというこの頃ですが、週末にはまた気温が下がるんですかね。毛布の上にもう一枚かけられるよう、毛布代わりのフリース切りっぱなしも待機中。

 斎藤美奈子「挑発する少女小説」(河出新書)、雑誌だか週刊誌だかに紹介されていたのを見て気になったので、ようやく読んでみました。
 ……。一回通しで読んだだけでは、なかなか全体を理解しにくい深い本ですね。

 以下、内容に触れることもあると思いますので、未読の方はご注意下さい。


 ざっくり言うと……「少女小説」に分類される、超有名な欧米文学作品を袈裟懸けに切ってみました、的な評論本です。
 紹介されているのは「小公女」「若草物語」「ハイジ」「赤毛のアン」「あしながおじさん」「秘密の花園」「大草原の小さな家」シリーズ「ふたりのロッテ」「長くつ下のピッピ」の計9作。中には○上レベルでぼっこぼこになっている作品もあれば、また手に取って読み返してみたくなるような紹介をされている話もありで、「挑発」っちゃあ挑発なのかな……? と思ってしまう興味深い内容です。

 それにしても……「少女小説」ってなんなんでしょうね? 私の持っていたイメージでは古くは吉屋信子さんが(※済みません、私は一作も読んだことありません)、のちに氷室冴子さん、久美沙織さん、敢えて入れるなら新井素子さん(うーん、入れていいものかどうかやっぱり迷う)がコバルト辺りで書いていた作品が、そのものずばりなんですが>「少女小説」。
 その後ライトノベルという名前が現れてラノベと略されるジャンルになっていき、「少女小説」という組み分けからは遠ざかるばかりと感じましたけど、そこへ「赤毛のアン」はともかく「小公女」や「長くつ下のピッピ」をぶち込んでしまっていいものかどうか、果てしなく疑問に思ってしまいますわ。あくまで個人の考えですけど。

 ですが、ジャンルがどうこうという問題は別として、上記9作に対する「ツッコミ」は見事なものです。「小公女」や「若草物語」「ハイジ」をそういう視点で見たことはなかったので、とても新鮮でした。「赤毛のアン」は誰がなんと言おうと「少女小説」でOKだし、ある意味ハーレクインの仲間に入れてもいいんじゃないかと思います。「あしながおじさん」は……前者はNO、でも後者はYESと。
 「大草原の小さな家」シリーズはこの中ではノンフィクションの要素があるのでちょっと異色ですね。現在は差別表現等の問題があって評価がしづらくなっているようですが、歴史の一部としてみると、読んでおくべき作品かなと思います。
 「秘密の花園」と「長くつ下のピッピ」はやはり児童文学の色が濃いかな? 「ふたりのロッテ」もそうだったのですが、こちらの分析を読むうちなかなか奥が深いことが分かって、また読み返してみたくなりました。

 この中で取り上げられなかった、ほかの有名どころというと「家なき少女」「少女パレアナ」「黒い目のレベッカ」あたりですかね? どんな位置づけになるのか、第二弾があれば是非そのあたりも入れていただければ読んでみたいです。



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