ふー、年末から暖かかったのに急に今日は寒くなりました。晴れているのに風が強く吹いて、ベランダの物干しスタンドが倒れるのではないかとどきどきしましたよ。
ミステリーチャンネル(旧AXNミステリー)で放送されたドラマ『ディアトロフ峠事件』は録画したのを何度か観て楽しんだのですが、ネット検索しているうちにこの事件を扱ったノンフィクション『死に山』(ドニー・アイカー、河出書房新社)の存在を知りました。
で、図書館で取り寄せて読んでみたので、少しだけ感想とコメントをば。ちなみにこの本のことはwikiに出てくるのですが、ドラマの方はまだ載っていないです。
以下、実際に起きた事実とはまた別に本の内容にも触れますので、未読の方はネタバレにご注意下さい。
本のタイトルは『死に山』(原題:dead mountain)なんですが、副題があって「世界一不気味な遭難事故 《ディアトロフ峠事件》の真相」とか。Amaのレビューでこの副題がどうとか逆に死に山の方が云々とあったりしますが、原題の直訳に説明をくっつけただけなのでそのあたりはなんとも(´・ω・`)。個人的にはストレートかつシンプルに『ディアトロフ峠事件』にしてなにか内容を表せる副題をくっつけたらどうかな? と思いますが(ベタすぎかなあ?)。
このドニー・アイカー、アメリカのライターなんですね。で、わざわざ厳冬期の現地にまで出向いてこの本を書いたと。凄い努力ですが、もしそれがなかったらありきたりで厚みのない本になっていたかもしれません。
本は事件に至るまでのディアトロフ隊の動きと遭難後の捜索、それから作者の語る現在との三つの時制で構成されていています。それぞれの章が交互に出てくるのでちょっと込み入った印象ですが、少しずつ事実が明かされていくので分かりやすくはあります。そして最後に立てた仮説とその検証とにたどり着きます。
私はドラマ→この本なのでいろんな資料やデータの多さに圧倒されました。ま、ドラマは脚色されているので……サーシャ・ゾロタリョフが二次大戦の帰還兵だった以外は戦争の影はないですし、ましてやKGBがどうのというのも出てきません。ただ当時の社会状況からあちこちより圧力があったのは事実みたいで、最近になってこの事件が注目されてきた理由も分かります。隊から離れて生き残ったユーリが生存していてインタビュー出来ていたのは驚きでした。あと犠牲者の遺族たちも。
この本は遭難の原因を『超低周波音』と結論づけていましたが、wikiにもドラマにもあったように雪崩が原因というのが一般的みたいですね。それにしてもやはり解明さてれいない事柄は多く残っているし、この本がすべてを解決したとはとうてい言えない気がします。
余談というか「ソ連(当時)の女性の地位」なんですが、そのことも本で触れられてました。ドラマでも大学にたくさん女性が通っているし、隊に二人も女性がごく自然に加わっていたので、気になっていたんです。どうやら当時のアメリカよりもずっと女性の地位が高くて、教育も職業も平等とまでは言えないのかもしれませんが、ずっと男性に近かったようです。まあ、アメリカって実は今でもそれほど男女平等ではないし……。社会体制の違いですかね。
面白い本でしたけど、上でも書いたように情報量が多くて読むのに気合いが要りました。こんなジャンルでなければ買って何度か読み返すタイプの本なのですが……実は私は怖がりです、はい。
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