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《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

2014年、世界情勢の特徴について

2015-01-31 23:52:20 | 世界の政治・軍事・経済―世界の動きⅠ
2014年、世界情勢の特徴について

1)いかに闘うかを明確に

 2014年12月はアフガニスタンからの米軍を主軸とする国際治安支援軍ISAFの撤退が始まった。ISAFはタリバンを制圧できず、内実はたたき出されたのである。
 オバマ米大統領は「撤退は政権公約の実行」というが、「米国は世界の警察官ではない」の言葉とは裏腹に、アフガニスタン、イラク・シリア侵略戦争は米国が帝国主義として世界の盟主たらんとする限り絶対に投げ出すことはできない。米国が帝国主義としての戦後世界の盟主を放棄することはありえ得ない。没落したとはいえ、相対的に巨大な軍事力と経済力を振り回してでも、帝国主義である限り帝国主義の世界支配とその権益を必死に守ろうとする。表向きの戦闘部隊の撤退以降も軍事顧問派遣・治安維持支援を口実にアフガン政権との緊張をはらみながら米軍は駐留し続ける。
 米国内での黒人差別に対する怒りが暴動へ発展する事態や格差・貧困への怒りの拡大は、アフガン、イラク・シリア侵略戦争の敗北的撤退が生み出す米国社会の一種の戦後革命的土壌から不可避に生み出されたものなのだ。
 その一方、ウクライナ情勢は、ロシアへの経済制裁がボディーブローのように効き始めた矢先に原油価格の急落でプーチンが崖っぷちに追い詰められたことで一層戦闘が激しくなっている。追い詰められているからこそプーチンはウクライナ東部の親ロ勢力への戦闘支援をやめることはできない。軍事支援の放棄や平和の名による親ロ勢力の崩壊は、米国の戦後世界支配体制への挑戦であったクリミア半島の編入を一気に突き崩し、プーチン体制の崩壊を意味するからである。
 中国政治は、習近平への権力集中を目的とした反腐敗運動が激しい勢いで突き進んでいる。中国共産党の汚職にまみれ腐敗した現状は、改革開放政策の野放図な展開がもたらしたものである。同時に、その根底には世界革命を裏切ったスターリン主義がその国家・党官僚の厖大な利権を基盤とする腐敗集団へと転化してきたからこそ生み出されたものである。したがって、世界の共産主義運動が自らの克服すべき課題としてとらえ返さなければならない。社会主義革命への英雄主義や鉄の規律など、共産主義者が献身的に担う革命の事業も肝心の「党」なるものが腐り果てた時には中国共産党の二の舞である。
 1917年ロシア革命から100年、ロシア革命がスターリン主義によって裏切られ国際共産主義運動がぶち当たった困難を反帝国主義・反スターリン主義世界革命戦略で突破せんとした革命的共産主義運動は、ソ連崩壊情勢に全く対応できずに、組織維持の自己目的化に陥り、帝国主義国家権力打倒のたたかいを忘れた存在となりさがり、今や歴史の屑篭に投げ捨てられてしまった。革命党組織論の徹底検証は絶対にやり遂げなければならない。
 中国共産党・習近平体制の反腐敗運動は、必ず労働者人民の怒りが習近平体制に向かって跳ね返ってくるものとなる。ウイグル族などの諸民族の民族解放の闘い、香港学生運動、中国の格差と貧困、環境破壊に苦しむ労働者人民の闘いとが結びついたときに中国の第2革命が現実のものとなる。
 イスラエルのパレスチナ攻撃は終わっていない。パレスチナの解放なくして中東・アラブ諸国の解放はない。また世界の労働者人民の解放の革命事業はパレスチナとの連帯なくしてその勝利はない。

2)世界経済の四つの危機

 2014年12月の世界経済は四つの危機が重なった。
 一つは08年世界恐慌を抱え込む欧州経済が、その犠牲と矛盾を労働者人民に集中するEU・IMFの緊縮財政政策への反撃を契機とするギリシア政治体制の動揺で再び揺れ始めたことである。
 二つ目はサブプライムローン問題に発しリーマン・ブラザーズの破綻から爆発的に拡大した08年世界恐慌、そこからの米国の脱出、その「一人勝ち」のもたらす矛盾、金利引き上げによる新興国からの投資資金の流出である。
 三つ目は08年世界恐慌時の大規模な投資の結果、設備・債務・雇用の過剰を抱える中国経済の減速である。
 そして四つ目は当初は世界経済への追い風として歓迎された原油価格の急落が原油輸出国のデフォルトを引き起こす世界金融危機である。
重要なことはそれぞれが08年世界恐慌を脱出できない政策の積み重ねとその破綻の危機としてあることである。

3)日本経済の危機構造が深まる

 日本経済は2四半期連続のマイナス成長である。米国基準では景気後退期である。
 アベノミクスの円安・株高でのごまかしは、異次元金融緩和の矛盾、円安で原油安の恩恵も受けられず世界経済危機・金融危機、欧州・ロシア危機、さらに中国経済の減速の影響をもろに受けて、その破綻が露わになってくる。

4)日本の政治・軍事の動き



 2014年12月の日本の政治(軍事)の動きとしては、総選挙で与党の圧勝・安倍政権の継続と集団的自衛権の行使容認にかかわる安全保障法体制の骨格が明らかになった。電撃的解散と総選挙、政権受け皿となる野党の不在、円安・株高というアベノミクス破綻の隠れ蓑などが奏功して総選挙では与党が圧勝した。しかし、悲観すべきではない。日本帝国主義の戦争国家への転換をかけた攻撃との階級決戦は決着がついたわけではない。
 異次元金融緩和という麻薬が切れ掛かっており、社会保障の減額と増税・物価高は今からが問題になってくる。集団的自衛権の行使容認も安保法整備の全体像が明らかになれば侵略戦争のできる国への大転換があからさまに問題になる。
 集団的自衛権行使容認と一体の攻撃として襲い掛かってきている沖縄の辺野古新基地建設強行は安倍晋三の「戦後レジームからの脱却」政治がいかに沖縄の民意を踏みにじり問答無用の強権政治であるかが明らかになっている。手法に問題があるとはいえ、日経の世論調査でも「集団的自衛権行使」、「原発再稼動」、「増税」には反対が賛成を上回っている。沖縄での闘いと、集団的自衛権行使容認が戦争国家への道であることに反対する闘いを一体のものとして推し進めることで必ず安倍政権を打ち倒すことは可能である。

2015年1月16日
博多のアイアン・バタフライ
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