結人は今日も星を見ていた。
誰に言われるでもなく、誰から言われた訳でももちろん無く。だから誰からも何も言われない。望遠鏡から見える無限の銀河の、まだ誰も知らない宇宙で「空」(そら)を探していた。専門家でも無い、高校の天文部である結人が宇宙の中で空なんて・・・きっと存在しないだろう。
始まりですら見通せる、幾何学で美しいすばる望遠鏡や宇宙に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡は、人類が到達するにはあまりに遠く、あまりにも美しい宇宙を写しだした。遠くて遠い、それでも人に触れることができない結人にとっては、空を探すことの方が簡単に感じていた。
―今日も春の大三角と大曲線が綺麗だな―
望遠鏡を覗けば無限の自分だけの宇宙が広がる。そんな空間に自分だけが放り出され、まだ他のどの引力にも惹かれない、産まれたての感覚が好きだった。意識を街へ向ければ、それこそ星たちに負けない色彩りの燈があって、決して独りでは無い感覚と同時に、誰からも気付かれず自分だけが街を見ている居心地の良さも堪らなく好きだった。
ここは円形校舎の屋上。
若い時の独特の感覚かも知れない。夜の学校でみんなで学校祭の準備を夜な夜なやって、準備が好きなのかただただみんなでワイワイ過ごすのが好きなのか、とにかくこの年頃であれば妙にウキウキする初夏の夜。普段の制服と違い、思い想いの服装ということもあるのかカラフルな声が響き渡っている。結人は独り抜け出し、校舎屋上のソファーに座り望遠鏡を覗いていた。すでにスピカは眠そうに西の空に消えようとして、「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」と、夏の大三角が天の川と共に地球に降り始めていた。
ー僕たちが眠りにつくころ君は目覚め、僕らが夜の終わりに起こされる時、君たちは白み始めた空に飲まれ眠りゆく―
結人はスピカに話しかけて帰路につく。
誰に言われるでもなく、誰から言われた訳でももちろん無く。だから誰からも何も言われない。望遠鏡から見える無限の銀河の、まだ誰も知らない宇宙で「空」(そら)を探していた。専門家でも無い、高校の天文部である結人が宇宙の中で空なんて・・・きっと存在しないだろう。
始まりですら見通せる、幾何学で美しいすばる望遠鏡や宇宙に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡は、人類が到達するにはあまりに遠く、あまりにも美しい宇宙を写しだした。遠くて遠い、それでも人に触れることができない結人にとっては、空を探すことの方が簡単に感じていた。
―今日も春の大三角と大曲線が綺麗だな―
望遠鏡を覗けば無限の自分だけの宇宙が広がる。そんな空間に自分だけが放り出され、まだ他のどの引力にも惹かれない、産まれたての感覚が好きだった。意識を街へ向ければ、それこそ星たちに負けない色彩りの燈があって、決して独りでは無い感覚と同時に、誰からも気付かれず自分だけが街を見ている居心地の良さも堪らなく好きだった。
ここは円形校舎の屋上。
若い時の独特の感覚かも知れない。夜の学校でみんなで学校祭の準備を夜な夜なやって、準備が好きなのかただただみんなでワイワイ過ごすのが好きなのか、とにかくこの年頃であれば妙にウキウキする初夏の夜。普段の制服と違い、思い想いの服装ということもあるのかカラフルな声が響き渡っている。結人は独り抜け出し、校舎屋上のソファーに座り望遠鏡を覗いていた。すでにスピカは眠そうに西の空に消えようとして、「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」と、夏の大三角が天の川と共に地球に降り始めていた。
ー僕たちが眠りにつくころ君は目覚め、僕らが夜の終わりに起こされる時、君たちは白み始めた空に飲まれ眠りゆく―
結人はスピカに話しかけて帰路につく。
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