Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

広裕と結那の鉄道相談室 第2回 ~車両形式のつけ方 気動車編

2013年09月05日 | 広裕と結那の鉄道相談室
広裕「『広裕と結那の鉄道相談室』へようこそ!」

結那「お相手をするのは、私、北浜結那と、」

広裕「那智広裕です。よろしくお願いします」

結那「……うん。こんな感じでいいよね」

広裕「俺は前の方がよかったけどな……」
(※前の方……第1回のオープニングトークを指す。)

結那「あんな大仰なのはいらないって。じゃあ、今回のテーマに参りましょう」

広裕「今回も車両形式のつけ方です」

結那「電車だけど凄い量になったもんね」

広裕「改めて形式の大事さに気付いたわ……」

結那「大丈夫だよ、広裕! 今回は気動車だから!」

広裕「うん。まったく大丈夫な理由が分からない」

結那「だって、私鉄で気動車は多くなかったから、国鉄・JRだけで十分だもん」

広裕「私鉄で気動車……確かに、JR以外の気動車っていうと、軒並み三セクばっかりだな。」
(※三セク……第三セクターの略。国や自治体が直接かかわる公企業を第一セクター、私企業(民間企業)を第二セクターといい、第三セクターは半官半民の会社を指す。廃止予定だった国鉄の赤字路線や建設が進んでいなかった予定線は、第三セクターに引き継がれた例が多い。前者にはしなの鉄道、後者は北越急行などが挙げられる。)

結那「でしょ? とりあえず国鉄とJRの気動車はこんな感じです」

例)キハ80-45、キハ110-221、キサシ180-4、キハE130-103 ……etc

広裕「みんな頭に『キ』がつくんだな」

結那「そう。頭に『キ』がついてたら絶対気動車だから、見分けは簡単ね」

広裕「ディーゼルエンジンが載ってるんだから音で絶対にわかるけどな」

結那「違うよ広裕。気動車=ディーゼルカーなわけじゃないの。今はほとんど液体変速のディーゼルカーばっかだけど、昔は機械式とか電気式もあったし、ガソリンカーもあったよ」
(※液体(式)変速……加減速のために、エンジンと車輪を直結することはできない。そのため、間に各部に繋がるプロペラと油をおき、エンジン側のプロペラの回転を液体の流れを通しての車輪側のプロペラに伝える方式。車のオートマチック(AT)車と同じ。
  機械式……車のマニュアル車と同じ仕組み。構造は簡単だが、統括制御ができないので2両以上運行できなかった。現在の液体変速に変わられてほとんど消滅。
  電気式……発電機を載せたディーゼルカー。日本ではレール規格の低い路線に気動車が投入されたため、重さが仇となり廃れた。)

広裕「ハイブリッドもあるぞ」
(※ハイブリッド……JR東日本のキハE200は電気式かつ蓄電池をもち、蓄電池に充電された電気でも走行できる。)

結那「それに、『キサ』のついた車両は動力用のエンジンは載ってないもん。キサシ180とかキサハ144とか」
(※キサシ180……キハ181系の食堂車。
  キサハ144……北海道で活躍していたキハ141系グループの一員。キハ143に増結されて運転された。)

広裕「そういえばキクハ45とかもあったな……」
(※キクハ45……客車から改造された国鉄のキハ45系(初代・後のキハ08系)の一員。オハフ61の車掌室を運転台に改造しただけの、最早客車。)

結那「まああれはオハフ61から改造だから仕方がないっていう面もあるけど。それにキサシ180だってキハ181系が大出力だけど重いDML30HSCを搭載した上にラジエーターがあったから食堂車にまで積んで重くはできなかったところがあるし、キサハ144も元は50系客車から」
(※オハフ61……木造客車を鋼製に改造された60系客車の一員。61は北海道向け。
  DML30HSC……水平対向12気筒排気量30L 予燃焼室式水冷4ストロークディーゼルエンジン ターボチャージャー付 連続定格500PS/1,600rpm、最大出力590PS/2,000rpmとのこと。なんのこっちゃ。
  ラジエーター……エンジンの排熱を外に出す装置。キハ181の中間車は屋上に水冷却式のラジエーターが並び、車両が重くなる原因の一つになっていた。
  50系客車……旧型客車を置き換えるべく1977年から登場した、電車並みの居住性を目指した国鉄の客車。1000両近くが生まれたが、電車・ディーゼル化が進んだことで僅か15年でほぼ用済みとなった。キハ141系は北海道向けのオハフ51・オハ51から改造されている。)

広裕「分かった。分かったから落ち着け」

◎国鉄・JRの気動車の車両形式のつけ方の基本 その1 カタカナ編

(前半)
キ……駆動用のエンジンがついている車両
キサ……駆動用のエンジンのない車両
キク……駆動用のエンジンのない車両のうち、運転台のある車両。
(後半)
ロ:二等車(三等時代)→一等車(二等時代)→グリーン車
ハ:三等車→二等車→普通車
シ:食堂車
ユ:郵便車
二:荷物車

結那「『キサ』はもういなくなってしまいましたが、『キク』は現在も四国にキクハ32
がいます。まあまがい物ですが」
(※キクハ32……JR四国のトロッコ車両。台車とか車体がキハ32に似てるから、同じグループってことでいいよね! というわけでこの番号になったが、実際は全く関係ない。というかただの客車。)

広裕「電車に比べるとバリエーションが少ないな」

結那「エンジン開発が遅れてたこともあって、長距離輸送に就いたのは国鉄も末期になってからだから、仕方がないよ。ローカル線の普通列車向けがメインだし」

広裕「さて、次の数字は……」

結那「ストップ広裕!」

広裕「どうした結那」

結那「キハ181系の前と後じゃ数字のつけ方が全然違うの!」

広裕「え……そうなの?」

結那「とりあえずキハ181系より後(※)を見ていくよ!」
(※これを新性能気動車と言ったりもする)

◎国鉄・JRの気動車の車両形式のつけ方の基本(キハ181系以降) その2 数字編

数字の前……E:JR東にh(略)

百の位……
なし・1・2:ディーゼル機関
3:ガスタービン機関

十の位……
〈国鉄〉8:特急型
    9:事業用車
〈JR〉各社によって異なるが、おおむね
   1~6:一般型
   7・8:特急型
   9:事業用車

一の位……1形式だけの場合偶数。それ以外では先頭車が奇数、中間車が偶数(奇数-1)のケースが多い。

結那「十の位は本当に会社によってまちまちなのでここでは触れません。ただし、JR東海だけは『7』を一般の気動車に充てています」

広裕「ちなみに一般=通勤+近郊。つまり普通列車用ということです」

結那「国鉄でこのタイプのつけ方をしたのは、キハ181系・キハ183系・キハ185系・キハ381系だけね」

広裕「このガスタービン機関ってのは?」

結那「早い話がジェットエンジンよ。キハ381系はその試験車として生まれたの。他にも連接台車とか低重心化とかいろんな試験をしたけど、肝心のガスタービン機関はうるさいわ燃費が悪いわでいまいちだったみたい」

広裕「ジェットエンジンならそうだよなあ……」

結那「フランスみたいに成功しているところもあるけど」
(※成功している……フランスではチュルボトラン、カナダでターボトレイン(いずれもスペルはTurbotrain)として営業運転していた。高速ではあったものの、やはり高い燃費が問題となり廃車となった)

広裕「そもそもジェットエンジンを車両につけようって時点でびっくりだわ」

結那「それから、一の位では、キハ185系だけ中間車は186(※)になっています」
(※キロハ186のみ存在)

広裕「あれ、184じゃなくて? ……ああ、そうか。184はもうキハ183系で使われてたか」

結那「そう。キハ183系は発電用のエンジンを先頭車のキハ183に詰め込んだから、長い編成ではそれを補うサービス電源を積んだ中間車が必要になったの。それがキハ184。後で500番台になった時にキハ183の電源は床下に移したけど、サービス電源をキハ184にあてこんで発電機をなくした500番台が生まれてるよ」
(※電源を移した……キハ183形0番台は車両の前方3分の1を発電機が占めていた。
  500番台……キハ183形500番台はエンジン付き・発電機なし。発電機有りの車両は1500番台となった。ちなみに、対応する中間車はキハ182形500番台なので、その後の改造では先頭車と中間車で番台が1000違っている。)

広裕「編成が短くなって、最終的にはキハ183形100番台に改造されたんだったな……あれ? これだとキハ187系は以降も番号がおかしくならないか?」
(※編成が短く……当初は10両編成だったが、その後7両、6両、5両の編成が登場した。
  キハ183形100番台……キハ184形を先頭車改造したもの。4両が改造され、現在キハ183-104が「オホーツク」にて現役。)

結那「大丈夫。キハ187系は先頭車しかないから」
(※キハ187系は先頭車しかない……JR西日本の山陰線特急用に生まれたキハ187系は、先頭車・トイレ付のキハ187形0番台と先頭車・トイレなしのキハ187形1000番台のみ。)

広裕「うまくできてるな……」

結那「それじゃあ、キハ181系の前の車両を見ていこー!」

広裕「(やけにハイテンションだな……)」

◎国鉄の気動車の車両形式のつけ方の基本(キハ181系以前) その2 数字編

十の位……
0:液体式以外(機械式・電気式)
1~4:液体式・エンジン×1
5:液体式・エンジン×2
6・7:液体式・大出力エンジン
8:特急型
9:事業用車

一の位……
(特急型以外)
0~4:両運転台
5~9:片運転台、運転台なし
(特急型)
系列の番号:中間車
系列+1:先頭車

結那「1957年から、国鉄はこの2桁の方式で番号をつけていました」

広裕「この『大出力エンジン』ってのは?」

結那「広裕は知ってると思うけど、国鉄はどの車両もDMH17をつかってたでしょ。だから、ここでのエンジンっていうのはDMH17のことなんだけど、それだけだと馬力が足りなくなったから、新しく大型のエンジンを載せた車両ができたの」
(※DMH17(系エンジン)……国鉄の液体式変速気動車の制式エンジン。DMはディーゼル機関、Hは8気筒(アルファベットで8番目)、17は排気量(17リットル)を表す。出力は大きくないが軽快なため、改良されつつローカル列車から特急まで全ての気動車に使われた。アイドリング中のガラガラガラ……という音が特徴。
 馬力が足りない……DMH17は150馬力→改良型(DMH17Hなど)で180馬力。キハ65やキハ181などで採用されたDML30系列ではなんと500馬力。)

広裕「むしろキハ67系みたいに全部大型のエンジンにすればよかったのに……」
(※キハ66・67……広裕はキハ67系と言っているが、呼び方は一定しない。筑豊地区のローカル線用に投入されたが、急行もこなすため転換クロスシートという、特急も真っ青の豪華設備。エンジンもDML30HSH(500馬力→440馬力)を採用。)

結那「それはコストが……って、本題は形式のつけ方でしょ」
(※キハ66・67のコスト……国鉄の財政事情もあり、キハ66・67は15組30両のみの製造で終わった。)

広裕「それにしても、面倒くさい形式のつけ方してるなー。今俺たちはキハ58系とかひとくくりに言ってるけど、実際にはキハ58の他にキハ28とかキロ28とかキハ65も入ってるだろ?」

結那「キロ58、キユ25もあるよ。改造車を入れるなら、キロ28からのキロハ28・キハ28・キニ28・キユニ28、キロ58からのキニ58、キハ58からのキハ53、それから……」
(※キロ58……通常グリーン車は騒音を避けるためエンジンは1機が基本だが、中央線の「アルプス」では出力が足りずやむなく2基をつけることになった。
  キユ25……気動車唯一の新製全室郵便車。四国の「いよ」「土佐」などで使用。
  キロ28からのキハ28、キハ58からのキハ53……どちらも重複車両あり。新製のキハ28は運転台ありだが、キロ28(運転台なし)から改造されたキハ28は中間車で、5000番台などが与えられた。また、キハ53はキハ45系(片運転台)の1両バージョンとして既にあり、キハ58改造のキハ53は200番台・1000番台が与えられた。)

広裕「全部あげなくていい! ……ともかく、これじゃあ同じタイプの車両でも型式がバラバラになっちゃうじゃないか」

結那「国鉄の後期は1エンジン車・2エンジン車とも車両がある形式が多かったから、どれもみんなばらつきがあったね。一番ひどいのはキハ45系かな? 片運転台がキハ45とキハ46、両運転台がキハ23・キハ24・キハ53だもの」
(※キハ45系……簡単に言うと、キハ40系の車体+キハ58系のエンジン。2003年にキハ23-520の引退をもって運用終了。)

広裕「何この統一感のなさ……」

結那「まあ、国鉄は中間車がほとんどなかったし、同じエンジンを使ってたからごちゃまぜでもくっつければ動いたからね。例えばこんな編成」

例)'キハ25+'キハ52'+'キハ58+キハ58' (’は運転台のある側)

結那「キハ25とキハ52はキハ20系、キハ58はキハ58系列。運転台側に運転台のない面を合わせたりしてるし、そもそも本来キハ20系はローカル用、キハ58系は急行用。全く外も中も違うのに、実際このようにして連結してました」
(※キハ20系列……キハ21・キハ22・キハ22・キハ25・キハユニ25・キハユニ26・キユニ21・キハ52の総称。ローカル列車で大活躍。特にキハ52は万能すぎて、2010年まで生き残った。
  キハ58系列……いわずとしれた国鉄を代表する気動車。急行消滅後は各地のローカル線で活躍していた。
  本来~……キハ20系を使用した急行は「外房」「いなわしろ」など多数)

広裕「先頭車を中間車代わりにする……国鉄らしいな」

結那「さすがに特急のキハ80系は先頭車に発電機があったこともあって、中間車は中間車として割り切ったけど」
(※キハ80系…先頭車はドックノーズ型のキハ81と貫通型のキハ82の2種類があった。キハ81はドックノーズの中、キハ82は車両前方3分の1が発電機のスペースになっていた。ちなみに中間車は共通。)

例)特急「くろしお」
'キハ81+キロ80+キロ80+キシ80+キハ80+キハ80+キハ82'+キハ80+キハ80+キハ81'

広裕「というわけで、列車形式のつけ方の気動車編はここら辺で終了と……って、電車編より伸びてるじゃねえか!」

結那「ええっ!? ちょっと広裕、どういうこと!? まだキロハ18とかキニ55とかの話をしてないのに!」
(※キロハ18、キニ55……いずれもキハ10系グループの一員。キハ10系は新製車だけでも9種類ある。ちなみにキニ55はキハ55系グループとは全く関係がない。)

広裕「そんなことをしてたら紙がなくなるだろ! はい、おしまい!!」


P.S.

広裕「駄々をこねる結那をなだめる途中で2発殴られた……それはさておき、静岡運転所札幌派出所から『前回より説明が増えて大変申し訳ない。写真はあまりもっていないので、手持ちの写真が整理出来次第貼っていきたい』とのことです。国鉄の気動車はグループが分かりにくいからしょうがないよね。次回は『車両形式のつけ方』の続きか、コラムをやりたいとのことです。以上、那智広裕でした。あいたたた……」


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