Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

広裕と結那の鉄道相談室 第1回 ~車両形式のつけ方 電車編

2013年09月02日 | 広裕と結那の鉄道相談室
広裕「広裕と」

結那「結那の」

広裕&結那「「鉄道相談室~!」」

広裕「はい、今日から始まります『広裕と結那の鉄道相談室』。このコーナーを担当する那智広裕と」

結那「北浜結那です。よろしくお願いします……って、広裕。この前ふり必要?」

広裕「分かってないな、結那。雰囲気だよ、雰囲気」

結那「つまり要らないってことね」

広裕「一蹴!? ……面白いと思ったんだけどなあ……」

結那「そんなことするぐらいならさっさと本題に入る! ……今日のテーマは?」

広裕「今日のテーマは車両形式のつけ方。第1回の今回は、一番わかりやすい電車から見ていこうと思います。会社によってつけ方が違うけど、とりあえずJRからかな」

結那「JRって会社だっけ? あ、そうか。民営化されてるんだった」
(※民営化……それまでの国鉄は会社ではなく公社=国が保有する企業だった)

広裕「JRになっていろんな電車が出てきたけど、だいたいどこも車両は3桁だな。313系とか731系とか……」
(※313系……JR東海ではポピュラーな電車。白い前面と、無駄に番台区分が多いのが特徴。写真は3000番台。


  731系……JR北海道の通勤電車。北海道の車両だけあって耐寒装備に力が入っている。しかし中身はロングシート。


結那「JR四国だけは4桁を採用してるけどね」
(※JR四国だけは4桁……国鉄のイメージを一新するため、JR化後の新製車は、私鉄のような4桁の車号をつけている。ただし、元からいた121系や、JR東日本から買った113系などは国鉄式の付番になっている。



画像は8000系(『鉄道雑画帳』様(http://koedaka.cocolog-nifty.com/blog/)よりお借りしました。)

広裕「ちなみに、3桁になったのは101系からだ」
(※101系/モハ90系……首都圏用に製造された通勤電車。それまでの吊りかけ駆動からカルダン駆動になったことでモーターの性能がぐんと上がった。

鶴見線時代の101系(『赤い電車は白い線』様(http://khkar2.exblog.jp/)からお借りしました)。

秩父鉄道1000系はその生き残り。)


結那「考えてみたら、電車の記号って複雑よね。カタカナ、数字、ハイフンの後にまた数字があるもの」

例:クハ313-2501、モハ208-33、クモニ143-2……etc

広裕「どの部分もそれなりの意味合いを持ってるからな」

結那「全部一気にあげると大変なことになるから、まずはカタカナからね」

◎国鉄・JR(四国を除く)の電車の車両形式のつけ方の基本(101系以降の電車) その1:カタカナ

前半……
ク:制御車(運転台のある車両・モーターなし)
モ:電動車(モーター付きの車両)
クモ:制御電動車(=ク+モ)
サ:付随車(運転台もモーターも持たない車両)

後半……
ロ:二等車(三等時代)→一等車(二等時代)→グリーン車
ハ:三等車→二等車→普通車
シ:食堂車・ビュッフェ車
ロネ:(二等寝台→一等寝台→)A寝台 
ハネ:三等寝台→二等寝台→B寝台
ユ:郵便車
二:荷物車
ヤ:職用車(他に分類のない事業用車)
[他に、救援車の『エ』、配給車の『ル』などがある]

※一等寝台からA寝台になったのは1969年。電車でのロネは1985年にサハネ583から改造されたサロネ583が初。

広裕「ちなみに、三等時代一等車は『イ』でしたが、電車では登場しませんでした」

結那「そりゃそうでしょ。確か、今の三桁のつけ方が始まったのは1959年で、次の年に一等車がなくなってるんだもの」

広裕「一等自体ほとんどなくなってたしな。マイテ49ぐらいしか思いつかん」
(※マイテ49……東海道本線の特急「つばめ」「はと」の最後尾車両として、一等廃止の最後まで使われた。現在JR西日本にマイテ49 2がおり、「SLやまぐち号」にて展望車(テは展望車の意味)として健在。)

結那「確か値段が三等の6倍だっけ……」
(※三等の6倍……かつては等級ごとに運賃・料金が設定されており、一等は二等の2倍、二等は三等の3倍の料金(最末期は運賃はおおむね2倍)がかかった。この料金システムは一等車廃止後もしばらく続き、グリーン車のように追加料金制になったのは1969年のことである。)

広裕「一等から順に綺麗に『イ』『ロ』『ハ』になっていたので、二等を一等、三等を二等に格上げするとき記号も変えようという(つまり『イ』と『ロ』の二等制)動きがあったようですが、書き換えるのが面倒という理由で三等時代の『ロ』『ハ』のまま残されました」

結那「一両に複数の設備を持つ車両(合造車)の場合、それに対応する記号を組み合わせます。例えばグリーン車+普通車なら『ロハ』、普通車+ビュッフェ車なら『ハシ』でした」
(※普通車+ビュッフェ車:ビュッフェはすべて普通車との合造車なので『ハシ』しかなかった。)

広裕「80年代になって短編成の特急が多く出来たから、今でも『クロハ』はかなりの数がいるよな」

クロハの例





結那「最近になってクモロハも出来たしね」
(※クモロハ……制御装置+半室グリーン車+半室普通車+モーターというへんてこな車両・クモロハ286が2011年に登場。

一番先頭がクモロハ286。


広裕「なにそれこわい」

結那「そろそろ次の数字に移る? とりあえずハイフン前までで」

広裕「数字はまかせろー」

◎国鉄・JR(四国を除く)の電車の車両形式のつけ方の基本(101系以降の電車) その2:数字の部分

数字の前……E:JR東日本の車両のうち、E351系以降の新製車両につけられる


右の残像がE351系。


百の位……
1~3:直流
4~6:交直流
7~8:交流
9:設定なし(※1)

十の位……
0:通勤型(※2)
1~3:近郊型(※2)
4:事業用車
5~7:急行型(※3)
8:特急型
9:事業車

一の位……
形式のくくり(113系、E231系など)にはかならず奇数を用いる
その数字と、1を引いた数でグループを構成(例えば209系なら209と208が使われる)
MM’ユニット(※4)の場合、M’車が偶数、M車が奇数になる。

※1:JR東日本では事業用車に使用(E991系など)
※2:JR化後は通勤型・近郊型という区別がなくなったため、現在は0~3が普通列車用というくくり。例えば、E231系は同一形式の中に通勤型と近郊型の両方が存在する。
※3:JR化後は特急にも使われる(JR東日本の651系など)
※4:主電動機を制御する主制御器・制御に必要な抵抗器やパンタグラフなどを積むM車と、MG(電動発電機:パンタグラフから取った電気を、クーラーなどほかの機器に向かう電気に変換する)やCP(空気圧縮機)などの補助機器を積んだM’車で分散して載せる方式。2両1組。

広裕「国鉄時代は、通勤型は4扉・ロングシート、近郊型は3扉・セミクロスシート、というように決まっていたけど、JRになってからは3扉・ロングシート(313系2600番台など)や4扉・セミクロスシート(E217系の一部車両など)の車両もでてきたから、変わるのもしょうがないよな」
(※○扉……1両の片面にあるドアの数。扉が多いほど乗降しやすいが、その分座席が減る。日本の車両は1両が約20メートルなので、定員と降り口の混雑の兼ね合いから3扉が多く用いられる。
  ロングシート・セミクロスシート……

ロングシート(写真は701系)

セミクロスシート(写真は113系))

結那「北海道は直流区間がないので、百の位のうち1~6は封印中です。そのほかにも、JRでは現在設定のない数字もいくつかあります」

広裕「この車号のいいところは、数字を見ればだいたいどんな車両かわかるところだな」

結那「最初の2ケタで用途が大体分かるからね」

広裕「一の位は登場順に1、3、5、7、9と振られていくけど、碓氷峠で協調運転する車両には優先的に9が振られました」
(※碓氷峠と協調運転……碓氷峠は、かつてJR東日本の信越本線にあった難所。群馬・長野県境の碓氷峠は急勾配のため電車のみでは登れず、機関車とモーターを同期して運転する協調運転という方式がとられた。169系・189系・489系しかいなかったけども。)

結那「って、他に末尾が9なのって、今のところ119系E129系ぐらいじゃない?」
(※119系……JR東海の飯田線で走っていた電車。旧型電車キラー。211系・313系に置き換えられ消滅。


  E129系……今度新潟に投入される新型電車。当地の115系を置き換える予定。

(画像はプレスリリースより))

広裕「あとはハイフンより先か」

結那「ハイフンより先って、製造順に1から付けられてくだけでしょ? 番台区分があったとしても同じ感じだし」

◎国鉄・JR(四国を除く)の電車の車両形式のつけ方の基本(101系以降の電車) その3:ハイフン以下

製造順に1から付番、番台区分がある場合はその数字+1から順に付番(例えば200番台なら201~)

広裕「番台区分は車両によるから、ここじゃ特になんも言えねーな」

結那「私の知る限り、一番細かい番台は10番台ね」
(※10番台……クロ381-10で存在。「しなの」用にサロ381から3両が改造されたパノラマグリーン車。)

広裕「次は新幹線か」

結那「新幹線はカタカナ記号は無くて、数字+ハイフン+数字の組み合わせです。『ハ』や『シ』にあたる部分もすべて数字で表しています。表してるんだけど……」

◎新幹線の車両形式

例)326-3002、E154-4……etc

数字の前……E:JR東日本のE1系以降のすべての車両につけられる

百の位……
(3桁系式の新幹線の場合)先頭の数字に同じ。
(1桁系式の新幹線の場合)形式に同じ。ただし0系は百の位はなし
9:事業用車

十の位……
1:グリーン車・グランクラス
2:普通車
3:食堂車・ビュッフェ車
4:グリーン車を含む2階建て車両
5:2階建て普通車
6・7:車両による
8:N700系の普通車

一の位……
1・2:制御電動車(※1)
3・4:制御付随車(※1)
5~7:中間電動車
8・9:付随車(※2)

※1:東海道新幹線系統は奇数が西向き。東北新幹線系統は奇数が南向き。
※2:500系とN700系では電動車(528、N788)が存在する。

ハイフン以降……在来線車両に同じ

広裕「……なあ、結那。この『車両による』ってどういうこと?」

結那「そのまんまよ。それぞれの形式で違うからまとめられなかったの」

広裕「?」

結那「6は100系の168とN700系と766の二つだけで、168は2階建ての食堂車(※)、766はグリーン車と普通車の合造車」
(※1階に売店、2階に食堂という構成)

広裕「……全然違うじゃん」

結那「7も100系の178・179とN700系の775・776・777だけ。178・179は下が普通車・上がグリーン車の2階建て車両で、775・776・777はただのグリーン車なの」

広裕「ちょうどかぶってなかったからいいものの、面倒くさいことをしてくれたな……」
(※かぶってなかった……100系の2階建て車両は2003年までに全車引退。一方、N700系は2007年から営業運転開始)

結那「そもそもN700系自体、かなり無理をした番号付けしてるし」

広裕「まだ600系はデビューしてないけど、奇数にこだわるところを見ると使いそうにないな」
(※デビューしてない……E1系は当初600系として開発がすすめられていた。)

結那「一桁の『7』系も北陸新幹線に使われちゃった
(※使われちゃった……金沢延伸での新車両は「E7系」(JR東日本保有)・「W7系」(JR西日本保有)になることが決定している)

広裕「そうなると、1000形以来の4ケタの車両が出てくるかもな」
(※1000形……実験線で用いられた車両。A~C編成の3本が作られ、0系の原型となった。)

結那「私鉄はどうする?」

広裕「一応こんな感じか」

◎私鉄のつけ方

◇カタカナ
モ・デ:電動車(制御電動車も含まれることが多い)
ク:制御付随車
サ:付随車
ハ:普通車(モ・デなどの後につける。つけない会社も多い)


例)デハ2100(京急2100系・先頭車と中間車の2種類が存在)、モ2660(近鉄2610系)

結那「上のカタカナはあくまで『形式』としてのもので、実際の車両では書かれないことがほとんどだね。ない会社の方が多いし」

◇数字
形式ごとに1から付番

例)3523(←ク3500:名鉄3500系)

広裕「JRと違って編成内で番号かぶりがないから、数字だけで識別できるってのもある。今の名鉄3500系で見ると……」

ク3500-モ3550-モ3650-ク3600 (例えば3565=3550+15だから、3565←モ3550)


画像は3100形(3500形の亜種・3700形の2両バージョン)。

結那「編成が近い117系で比べると一目瞭然」

クハ116-モハ116-モハ117-クハ117 (117-○だとモハなのかクハなのかわからない)


東海の117系は4両編成(クハのどちらかが100番台)だった。

広裕「……というわけで、電車だけでこんな分量になってしまいました」

結那「N700系が悪い!」

広裕「いや、どうみてもそれ以前が長いでしょ。まだ旧型国電も残ってるのに……」
(※旧型国電……101系以前の国鉄電車。付番方法が異なる)

結那「とりあえずJRの車両から片づけていけばいいじゃない。次回は『車両形式のつけ方 ~気動車』でお送りします」

広裕「ありがとうございましたー」



補記(×ホキ)

広裕「ちなみに、私鉄の場合も車号+1からつけるのが普通だけど、阪急みたいに0からつける会社もあるんだ。関西で多いから、初番マニアの人は下一桁が01とかでもぬか喜びしないように」
(※初番……はつばん。最初に製造された車両。大体初番は人気。)


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