Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

18きっぷで留萌本線全駅踏破の旅 第7回 ミニマム・ステーション~阿分駅(前編)

2016年01月17日 | 鉄道 ‐ 旅行(2016年)



[留萌本線 4927D 深川13:23→増毛14:51]
《藤山 14:12発(4分遅れ)》



 4925Dに引き続く全線踏破列車に乗り込みます。



 4925Dほどではないものの混雑しています。



 デッキに立っていましたが、そこにあるのは白く凍りついたガラスがあるばかり。



 留萌には4分遅れで到着しました。



《留萌 14:23着(4分遅れ)》

 閉塞の関係で有人駅の留萌駅。港町・留萌の玄関です。



 雪がひどくなったため、ついに除雪用モーターカーが出動しました。
 かつては除雪といえばラッセル車だったのですが、全国的にモーターカーに置き換わっています。モーターカーは書類上車両ではなく保線機械なので、運転免許などの条件がゆるくなるからです。



 留萌駅に着きましたが、乗客はほとんど入れ替わらないどころか増えました。
 それも仕方がないことでしょう。この先の留萌―増毛は、廃止が決まってしまった区間なのですから。



《留萌 14:26発(5分遅れ)》

 北海道の鉄道は、年を追うごとに環境が厳しくなっていきました。JRになる前でも大多数が廃止されましたが、JRになってからも天北線を始め1000km弱が廃止されています。
 そして、2015年、JR北海道は全道的に路線や駅の廃止を周辺市町村に勧告します。
 留萌本線にいたっては、当初深川~増毛の全線廃止が検討されていました。その後の自治体との交渉で全線廃止は免れたものの、2016年度をめどに、留萌~増毛を廃止することが決まったのです。輸送密度39人/kmではもはや期待すらも出来ません。



 海沿いを走る景色の美しい区間ですが、この日は吹雪。窓に雪が張り付き車窓は何も期待できません。
 ですが、今乗りに来ている人のほとんどはあくまで乗るのが目的ですから、見えなくてもいいのでしょう(たぶん)。



 まあ、中には私のような例外がいるわけですが。



《阿分 14:36着(3分遅れ)》

 14時36分。本日5駅目となる阿分駅です。



 無論(?)、下車は私だけです。



 吹雪の中に消えていきました。




[駅データ/阿分駅 Afun]

開業:1963年12月1日(仮乗降場)→1987年4月1日駅昇格
構造:1面1線
由来:アイヌ語の「アフン(アフニ)」ahun(-i)(入る[・ところ])、
「アフンルパル」ahun-ru-par(入る・道・入り口→あの世への入り口)など諸説ある



 阿分駅です。まず名前からして面白い駅名です。
 留萌~増毛は全駅がアイヌ語由来ですが、その中でも『阿分』のセンスは飛びぬけています。

 北海道ではよくあることですが、漢字を無理やり当てはめたことで由来があやふやになるケースが少なくありません。同じ留萌本線では、秩父別がそうでした。
 阿分という音自体は、「アフン」(入る)で間違いないですが、この『入る』が何を意味しているかは今でもよく分かっていません。

 一つは、「アフンルパル」説。アイヌでは洞窟のことをしばしば『あの世への入り口』=アフンルパルと呼んで、近づくのを恐れていました。アフンルパルはあの世からやってくる幽霊や、亡くなった人が冥界に向かうときの通り道であると考えられていたからです。近づくのはおろか、口にするのもはばかりアフンないしアフニと略されたといいます。阿分の場合は、3箇所ある洞窟がそれだといわれています。
 もう一つは、単純に入り江であることから「アフニ」(入るところ)としている説です。近くにはアフンシラリ川(afun-sirar:入る・岩礁)があります。



 降りると分かるホームの短さ。長さはおよそ6メートルほどで、1両どころか半分も入りません。
 元仮乗降場とはいっても1両分ぐらいはあるので、これほど極端に短い駅は他に例がありません。同じ留萌本線に1両未満のホームの駅(朱文別・箸別)がありますが、その中でも阿分はトップクラスの短さです。



 裏側から見た阿分駅。ホームと待合室があるだけの、コンパクトな駅です。


 さて、探索の時間ですが、実はさかのぼること3ヶ月前に、阿分を含め、留萌~増毛全駅下車を達成しています。



 2015年10月5日、午後6時。すっかり暗くなった阿分駅に降り立ちました。



 が、駅以外に明かりがない上、人気もなく、ほとんど探索は出来ませんでした。
 今回はそのリベンジというわけです。



 坂を下ると――すでに駅から見えていましたが、阿分小学校があります。
 間違えました、阿分小学校です。
 2015年3月をもって、この小学校は廃校となってしまったのでした。



 前回訪れたときは薄暗い中に人気のない白の校舎がぼんやりと浮かび、さながら「がっ○うぐらし」のようでした。廃校間もないこともあって余計に。
 完全な闇の中に飛び込む勇気はなく、このときは内部探索はしていません。



 1883(明治16)年に増毛小学校阿分分校として開校、1893(明治26)年4月1日に独立して阿分小学校となってから131年。長い歴史をもつ小学校も、少子化には逆らえませんでした。



 同じ場所には、開校100周年記念の『希望』の碑がありました。



 希望が潰えてしまったのを表したかったのかは知りませんが、それにしてもこの取り合わせはひどい。



 校舎1階は倒壊を防ぐためベニアでふさがれています。
 時を刻むのを忘れた時計が、今も壁面に残されています。



 ここが玄関口。



 職員と生徒で別れているのに驚きです。



 体育館。



 グランド。

 廃校になったのに閉鎖されていない理由は、グランドが有事の際の避難場所として指定されているからです。きちんと除雪が入っているのが分かります。



 敷地内には阿分会館と名前が付けられた公民館が。あれ、ここ学校の中だよね?
 廃校になった現在はともかく、現役時代も勝手に学校の中に入れたんでしょうか……



 ともあれ、小学校跡を離れました。



 学校正門からの道をしばらく歩くと、国道231号線。そしてその向こうは海です。



 海岸に打ち寄せる荒波。そして、強烈な海風。

 この日の留萌市は軒並み10m/sの強風に見舞われていました。コート+リュックの私の身体が浮き上がりそうになるほどの風が吹きつけます。そして気温はマイナス8度。寒い!!

 ということで、阿分駅探索は次回に続きます。


 次回予告:



 こんなところを通ります。



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