Local-Liner ~静サツ雑記帳

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札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

銀座線 渋谷なんてなかった ~銀座線渋谷駅切替え工事にともなう区間運転について~

2018年05月05日 | 日記

 GW真っただ中の5/3~5/5の間、東京を東西に貫く主要路線の一つである東京メトロ銀座線の渋谷駅では大規模な工事が行われました。



 この工事は渋谷駅の機能をすべて止めたうえで、表参道駅側のアプローチ間を広げるものです。



 なぜそんなことをするのかといえば、渋谷駅の再開発に伴い、JR駅と渋谷ヒカリエの間に銀座線のホームを移設するためです。
 現ホームは京王井の頭線とJR線の間に位置していますが、建造年が古くホーム幅や通路が非常に狭いという問題があります。
 今回の工事では、新ホームの片面を作るだけの線路幅を確保するために上下線間の距離を広げる、いわば前座の工事です。
 
 前座とはいうものの、3分に1本列車がやってくる銀座線では工事もままならないため、一部区間を運休しての大掛かりなものとなります。



 運休となっていたのは渋谷~表参道と青山一丁目~溜池山王駅の2か所です。
 残る区間のうち、表参道~青山一丁目間では上下線それぞれに1本ずつ電車を配置し12分間隔で運転。青山一丁目~浅草間は青山一丁目にあるポイントを利用して3分間隔の折り返し運転となっています。

 最終日の5/5に現地を取材してきたので、その様子をお届けします。

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[浅草~溜池山王]



 東西線で日本橋へ向かい、そこから銀座線へ乗り換えました。



 途中の通路で早速「溜池山王」に修正された跡が。
 東京メトロの執念はすさまじく、各駅の案内板はいたるところで渋谷の文字が消されていました。



 こちらは溜池山王の1つ手前の虎ノ門駅の案内。まるで溜池山王から先ははじめからなかったかのような案内です。



 銀座線B線(渋谷方面:メトロでは上り/下りではなくA線/B線と呼ぶ)ホームに着いた電車の行先はすべて「溜池山王」です。


[溜池山王]



 そのまま『終点』の溜池山王に移動します。



 溜池山王に到着した電車はホームに着くなり車内点検ののち、一度赤坂見附方面へ出発します。これは青山一丁目の転線ポイントが赤坂見附側にあるためです。
 列車は本線上でスイッチバックし、対面にあるA線(浅草方面)ホームに入線します。



 ご丁寧に「降車ホーム」にされたB線ホーム。



 昼間と言えど3分に1本やってくるので、溜池山王での停車時間はわずかに1分ほど。その間に、ホームに立つ社員や警備員が5名ほどで乗客を文字通りたたき起こし、車両の外に連れ出します。
 告知はずっと行われていましたし、すでに運休に入って3日目なのですが、1編成で15人ぐらいは叩き起こされて出てきます。
 当然、当日でも駅や列車などでポスターやアナウンスがなされているのですが、それでもボケーっと乗ってられる精神はさすがとしかいいようがありません。



 休む間もなく次の列車が到着します。
 溜池山王での折り返し時間は長くても5分ほどしかなく、その間に本線上でのスイッチバックがあるため、ホームには1分停まってればいいほうです。
 表示は溜池山王到着後に『回送』になります。



 こちらは折り返し浅草行列車の到着シーン。ヘッドライトとテールライト両方を点灯して入線してくる姿はなかなか見られないではないでしょうか。
 幕はスイッチバック中に営業列車の『浅草行』になった状態で進入してきます。



 運悪くいつもの感覚で銀座線に乗ってしまい溜池山王まで連れて来れられてとしても、東京メトロはきちんとルート案内をしてくれます。
 溜池山王は山手線内のほぼ中央部にあり、国会議事堂前駅にも隣接しているため、南北線(以上「溜池山王」駅)・千代田線・丸の内線(以上「国会議事堂前」駅)に乗り換えができます。
 この図が理解できなかったとしても、駅のホームには案内専門の係の人がいて、そっちに誘導してくれるので安心ですね!

 溜池山王駅の見学を終えたところで、もう一つの運行区間へと向かいましょう。

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[青山一丁目~表参道]

 南北線と半蔵門線を乗り継ぎ、青山一丁目にやってきました。



 青山一丁目に着くと、さっそく表参道方面という見慣れない表示が目に飛び込んできます。

 とはいっても、実は半蔵門線は青山一丁目~表参道~渋谷で銀座線と並行しているため、単純に表参道に行くのであれば銀座線に乗り換える必要は全くありません
 それでもわざわざ区間運行が設定されているのは、区間運行で唯一の途中駅・外苑前を半蔵門線が通らないからにほかなりません。
 
 ちなみに外苑前は青山一丁目および表参道からも歩ける距離(約700m)にありますが、銀座線単独駅という事情から、減便で12分間隔にしてでも維持しています。これを執念といわずしてなんと呼ぶべきか。



 って乗せる気ないんかい!!

 (※ここ以外はいたるところで「渋谷」→「表参道」の変更を受けています)



 気を取り直してA線ホームへ。なんだか支線みたいな案内図です。



 青山一丁目はホームドアが設置済みで車両がうまく撮れないためこんなカットでご紹介。



 表参道行き。一つ隣が渋谷なので定期設定はありません。



 わずか4分で表参道に到着。外苑前の利用者はかなり多く、列車によってはわずか3駅間にもかかわらず立ち席乗車も見られました。



 到着した列車はすぐに回送となり青山一丁目に戻っていきます……が、この区間は少々変わった運転をしています。
 この回送、線路を逆走して戻っていくのです。
 青山一丁目~表参道の各駅に転線できるポイントはありません。そのため、一度終点に到着した電車は、来た道を回送で始発駅まで戻るのです。
 A線・B線それぞれに1編成ずつが用意され、片向き(B線の青山一丁目→表参道、A線の表参道→青山一丁目)は営業運転、逆向きは回送のダブルピストン輸送が行われます。
 両駅間の往復にかかる時間はおよそ10分。これが12分間隔の決定要素です。

 「逆向きも営業運転させれば1本で済むんじゃないか」と思う人がいるでしょうし、実際やろうとしたようなのですが(※)、逆走時に問題が起きるため回送としているようです。
 また、青山一丁目~表参道はすべて対向式ホームなので、仮にただのピストン運行×2とするならば、6分毎にホームが切り替わることになり不便になってしまいます。
 いずれにしても12分間隔より縮めるのは無理といえます。

 ※……2016年も同様にして工事の関係で区間運行を行っていた。

 それでは逆向きに乗車してみましょう。



 しつこい案内に定評があるメトロ(?)。表参道も例外ではなく、他の駅ではない手持ちの立て看板が登場しています。
 これだけ出していても誤乗車が絶えないようで……



 B線を担当する1013編成。朝から晩まで2駅間を往復する仕事についています(A線は1036編成)。
 運用番号はA線が66、B線が70で、どちらも表参道で夜を過ごします。



 青山一丁目から先が途絶えてしまった世界線。



 あっという間に終点の青山一丁目に到着です。





 こちらも徹底的に「浅草」の文字が伏せられています。



 青山一丁目だけの特徴として、到着ホームが完全に外部から入れないようになっていました(溜池山王は島式、表参道は半蔵門線とホーム共用のため立ち入り可能)。
 このため、2か所ある2番線(A線ホーム)出入り口には柵と警備員が配置されていました。
 なお、これだけあっても入ろうとする乗客が(略)。

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[渋谷]

 最後に、半蔵門線で渋谷へ移動し、工事現場を見に行くことにしました。



 封鎖された銀座線地上入口。



 渋谷駅東口のバスターミナルの上空こそが、今回の工事現場であり、未来のホーム設置位置となります。
 ホーム設置に合わせ高架橋自体の増設および取り換えを行っており、高架橋の断面がさらされています。



 その東方にそびえる渋谷ヒカリエからは、工事現場を含めた渋谷駅全体を見下ろすことができます。
 奥には今月末から切替工事を控えるJR山手貨物線(湘南新宿ライン・埼京線)があり、この光景もまた止まることを知りません。



 作業3日目の午後にはすでに大体の工事が完了していました。私が見物している間に作業員が消えたことから、この時点で残るは管理者によるチェック作業のみと思われます。
 無事開通すれば、明日の始発から何事もなかったかのように、銀座線は全線通しでの運行が再開するでしょう。
 あたかも、今回の運休区間が初めからなかったのようにされていたのと同じように。

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 次回の工事は2019年に予定されていますが、ここからは渋谷駅を封鎖せずとも工事ができる(2線のどちらかが支障ない状態)ため、今回のような区間運転はこれが恐らく最後かと思います。
 しかしながら、銀座線は各駅でホームドア設置に絡んで駅改良工事が行われているため、また変わった運用が出てくるのかもしれません。

 以上、銀座線の切替工事に伴う区間運転のレポートでした。


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