このシリーズもついに最終章に入りました。
学園都市線で活躍してきたディーゼルたちの最後の雄姿を見届けてあげてください。
そして、新天地へと旅立ったキハ143形(室蘭本線・苫小牧~室蘭間の普通列車で活躍中)とキハ141・キハ142・キサハ144(釜石線で運転予定のSLの、エンジン付きの客車として使用)のさらなる活躍に期待して。
前回・10月25日編はこちら
前々回・10月24日編はこちら
第4回・10月22日編はこちら
第3回・10月19日編その2はこちら
第2回・10月19日編その1はこちら
第1回・10月12日編はこちら
初回・あらすじはこちら
10月26日、金曜日。
最終日ということでいつも以上に早起きして札幌駅にやってきました。
前も書きましたが北海道の鉄道は始発後遅いので、札幌でも6時前に出る列車は多くありません。しかし、ターミナルである札幌は6時になると一気に動き出します。電光掲示板に並ぶ列車はみんな6時台です。
学園都市線の始発は6:16なのでしばらくホームをうろつくことにします。
8番線に停車中の列車はなんの変哲もないキハ40の2両編成。
実は旭川行です。
どういうわけか、電化路線である函館本線の始発はこの921D(札幌発旭川行)です。札幌と旭川の真ん中にある奈井江で7:20発のスーパーカムイ1号に抜かされるほどの鈍足鈍行です。
ダイヤ改正後も925Dとして存続しています。
一方、3番線にはキハ150の然別行が停車しています。
この1930Dは超レアな列車です。然別行自体が珍しいのに加え、札幌~小樽の札幌近郊区間と小樽~長万部の“山線”区間を直通する列車はこれの他にはニセコライナーぐらいしかないからです。小樽から先は非電化なので直通列車は気動車になります。 電車に比べて気動車は急な加減速が苦手なので、普通列車では特に時間差が目立ちます。本数の少ない朝だからできる運用なのです。
5番線に急行「はまなす」が到着しました。津軽海峡線と函館本線を直通する数少ない列車の一つであり、2012年現在、最後の定期急行列車でもあります。中もリクライニングシート・カーペット・B寝台と多種太陽です。
新幹線が新函館までくる2014年にこの表示を再び見ることはできるのでしょうか?
ホームの限界にまで止まっているのでヘッドマークは見えませんでした。3・4番線ホームからは見られるでしょうが、時間的にみてそこに行きつく前に回送されてしまいます。無念……
ところ変わって10番線にいるのは711系の127M(始発滝川行・札幌6:34発)です。函館本線電化に合わせて作れられた北海道の電車の基礎となる車両です。厳しい北の大地を走るため耐雪・耐寒装備が十全に施されています。それに加え寒気が中に入らないように2扉(←扉を少なくする)・デッキ付(←入り口からの寒気をシャットアウト)・クロスシートという設備のおかげで、普通列車用の車両なのに急行運用もこなしていました。
中でも伝説的な活躍をしたのは「さちかぜ」です。旭川と札幌を結ぶビジネス急行として誕生したのですが、なんと全区間ノンストップ。当時の特急ですら岩見沢・滝川・深川に停車していた(現在はこれに美唄が加わる)ことを考えればとんでもない速さです。その表定速度(始発駅から終着駅まで停車時間を含めた時の平均速度)は驚きの85.5㎞/h。参考までに、東北本線を新幹線並みの停車駅で爆走していた特急「ひばり」「やまびこ」ですら85㎞/h前後ですから、その速さはまさに風に如しでした。
「さちかぜ」は後に特急「いしかり」(→「ライラック」→「スーパーカムイ」となって現在に至る)に格上げされ、残りの急行も特急になったため現在急行運用はなく、普通列車として札幌を中心に各所で走っています。もっとも、他の電車の増備で廃車が進み、今は3両編成16本のみが残っています。これらに関しても2014年までに廃車になることが11月22日付の北海道新聞などで報じられています。
711系は通常赤色にクリームの帯が巻かれていますが、写真のS-110編成とS-114編成の二本は登場当時の塗色に戻されました。
と、ここで隣の9番線に同じく711系の2726M(手稲発東室蘭行き・札幌6:24発)がやってきました。函館本線・千歳線・室蘭本線と、道内随一の幹線を3時間ほどかけて走ります。実は千歳線方面に向かう711系列車ははこれ一本のみ。その一本も、10月の改正で廃止されました。というのも、2726Mは手稲の札幌運転所から苫小牧以西で使われる711系の送り込みを兼ねた列車なのですが、苫小牧~室蘭での711系がダイヤ改正ですべて気動車に置き換わるため送り込む必要がなくなるからです。改正後は学園都市線から移ったキハ143形がほぼ同じ時刻で運転をしています。
室蘭本線では一日に5本前後が働いているので、日によって編成が変わります。さて、どの編成が来るか……
おや、これは……
やってきたのはなんと旧塗色車のS-114編成!
まさかの奇跡です。
千歳・室蘭本線最後の711系がよもや旧塗色車になるとは、そして、その最終運用の日にこうして旧塗装車同士が並ぶとは、誰が考えたのでしょうか。
あるいは、室蘭へ最後の仕業(運用のこと)へ向かう711系の、最後のはなむけだったのかもしれません。
もう見られなくなる「東室蘭」の行き先。ダイヤ改正前の時点で、苫小牧~室蘭の運用のうち半分はキハ150形になっています。
旧塗装車が並ぶ横を、札沼線ワンマン用のキハ40-400が通過していきます。
やがて2726Mは定刻に出発。朝日を身に浴びて最後の室蘭線運用に向かいました。
さあ、ここからが本番ですよ!
予想外に長くなってしまったので今回はここまでにします。次回は6:41発の531Mから始まります。
学園都市線で活躍してきたディーゼルたちの最後の雄姿を見届けてあげてください。
そして、新天地へと旅立ったキハ143形(室蘭本線・苫小牧~室蘭間の普通列車で活躍中)とキハ141・キハ142・キサハ144(釜石線で運転予定のSLの、エンジン付きの客車として使用)のさらなる活躍に期待して。
前回・10月25日編はこちら
前々回・10月24日編はこちら
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第3回・10月19日編その2はこちら
第2回・10月19日編その1はこちら
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10月26日、金曜日。
最終日ということでいつも以上に早起きして札幌駅にやってきました。
前も書きましたが北海道の鉄道は始発後遅いので、札幌でも6時前に出る列車は多くありません。しかし、ターミナルである札幌は6時になると一気に動き出します。電光掲示板に並ぶ列車はみんな6時台です。
学園都市線の始発は6:16なのでしばらくホームをうろつくことにします。
8番線に停車中の列車はなんの変哲もないキハ40の2両編成。
実は旭川行です。
どういうわけか、電化路線である函館本線の始発はこの921D(札幌発旭川行)です。札幌と旭川の真ん中にある奈井江で7:20発のスーパーカムイ1号に抜かされるほどの鈍足鈍行です。
ダイヤ改正後も925Dとして存続しています。
一方、3番線にはキハ150の然別行が停車しています。
この1930Dは超レアな列車です。然別行自体が珍しいのに加え、札幌~小樽の札幌近郊区間と小樽~長万部の“山線”区間を直通する列車はこれの他にはニセコライナーぐらいしかないからです。小樽から先は非電化なので直通列車は気動車になります。 電車に比べて気動車は急な加減速が苦手なので、普通列車では特に時間差が目立ちます。本数の少ない朝だからできる運用なのです。
5番線に急行「はまなす」が到着しました。津軽海峡線と函館本線を直通する数少ない列車の一つであり、2012年現在、最後の定期急行列車でもあります。中もリクライニングシート・カーペット・B寝台と多種太陽です。
新幹線が新函館までくる2014年にこの表示を再び見ることはできるのでしょうか?
ホームの限界にまで止まっているのでヘッドマークは見えませんでした。3・4番線ホームからは見られるでしょうが、時間的にみてそこに行きつく前に回送されてしまいます。無念……
ところ変わって10番線にいるのは711系の127M(始発滝川行・札幌6:34発)です。函館本線電化に合わせて作れられた北海道の電車の基礎となる車両です。厳しい北の大地を走るため耐雪・耐寒装備が十全に施されています。それに加え寒気が中に入らないように2扉(←扉を少なくする)・デッキ付(←入り口からの寒気をシャットアウト)・クロスシートという設備のおかげで、普通列車用の車両なのに急行運用もこなしていました。
中でも伝説的な活躍をしたのは「さちかぜ」です。旭川と札幌を結ぶビジネス急行として誕生したのですが、なんと全区間ノンストップ。当時の特急ですら岩見沢・滝川・深川に停車していた(現在はこれに美唄が加わる)ことを考えればとんでもない速さです。その表定速度(始発駅から終着駅まで停車時間を含めた時の平均速度)は驚きの85.5㎞/h。参考までに、東北本線を新幹線並みの停車駅で爆走していた特急「ひばり」「やまびこ」ですら85㎞/h前後ですから、その速さはまさに風に如しでした。
「さちかぜ」は後に特急「いしかり」(→「ライラック」→「スーパーカムイ」となって現在に至る)に格上げされ、残りの急行も特急になったため現在急行運用はなく、普通列車として札幌を中心に各所で走っています。もっとも、他の電車の増備で廃車が進み、今は3両編成16本のみが残っています。これらに関しても2014年までに廃車になることが11月22日付の北海道新聞などで報じられています。
711系は通常赤色にクリームの帯が巻かれていますが、写真のS-110編成とS-114編成の二本は登場当時の塗色に戻されました。
と、ここで隣の9番線に同じく711系の2726M(手稲発東室蘭行き・札幌6:24発)がやってきました。函館本線・千歳線・室蘭本線と、道内随一の幹線を3時間ほどかけて走ります。実は千歳線方面に向かう711系列車ははこれ一本のみ。その一本も、10月の改正で廃止されました。というのも、2726Mは手稲の札幌運転所から苫小牧以西で使われる711系の送り込みを兼ねた列車なのですが、苫小牧~室蘭での711系がダイヤ改正ですべて気動車に置き換わるため送り込む必要がなくなるからです。改正後は学園都市線から移ったキハ143形がほぼ同じ時刻で運転をしています。
室蘭本線では一日に5本前後が働いているので、日によって編成が変わります。さて、どの編成が来るか……
おや、これは……
やってきたのはなんと旧塗色車のS-114編成!
まさかの奇跡です。
千歳・室蘭本線最後の711系がよもや旧塗色車になるとは、そして、その最終運用の日にこうして旧塗装車同士が並ぶとは、誰が考えたのでしょうか。
あるいは、室蘭へ最後の仕業(運用のこと)へ向かう711系の、最後のはなむけだったのかもしれません。
もう見られなくなる「東室蘭」の行き先。ダイヤ改正前の時点で、苫小牧~室蘭の運用のうち半分はキハ150形になっています。
旧塗装車が並ぶ横を、札沼線ワンマン用のキハ40-400が通過していきます。
やがて2726Mは定刻に出発。朝日を身に浴びて最後の室蘭線運用に向かいました。
さあ、ここからが本番ですよ!
予想外に長くなってしまったので今回はここまでにします。次回は6:41発の531Mから始まります。
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