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人生の残された時間で読んでおきたい本

3月17日

□本や映画でぜんぶ観た読んだって作家はたぶんヒッチコックだけ。でも、95%は観た読んだって作家はけっこういるのです。

□ヘンリー・ミラーは「ネクサス」だけ読んでない。フランスの哲学者ベルクソンは「物質と記憶」がまだ。ドゥルーズは「映画論」と「千のプラトー」をまだ読んでない。他、ローレンスの「精神分析と無意識」など。

□これらを自分が生きている間に読むのか読まないのか。まだ人生の時間はだいぶ残されてますが、どれも分厚くて難しい本なので、年をとってからだと読むのがおっくうになりそう。

□ミラーの「ネクサス」は薔薇色の十字架三部作の最後で、二部読んだ時点でなんだかもういいって感じになってしまった。全13巻の全集はもちろん、マイナーな作品までぜんぶ手に入れて読んだ。晩年は画家になったが、画集も買いました。




□「物質と記憶」はたぶん読まなそう。ベルクソンは最も好きで最もよく読んだ哲学者ですけど、代表作のこれだけなぜか読んでこなかった。今さら物質や記憶についてなど知りたい気がしないし。




□ドゥルーズもマイナーなものも含めて、ほとんど読んできた。「映画論」は翻訳がだいぶ遅れた影響でまだ読んでいない。でも、映画好きだし、これは読むと思います。「千のプラトー」はどうかな。これは最後の楽しみにとっておいたところ、とうとう読まなかった。



□作家の大岡昇平にこんな話があります。彼がフランスに遊びに行ったときのこと。セーヌ川近くにある小さな書店でドゥルーズの「千のプラトー」を買って帰りの飛行機で読んだのですが、もう年をとっていた彼にはフランス語でこんな分厚い本を読むのは辛かった。そこで結論だけ読もうと最終章を開いたらその冒頭に「結論から読んではならない」と書かれていて読むのを断念したのだという。

□この大岡のエッセーは今も忘れられない。年を取るとこんなにも本を読むのが大変なのかと。目は悪くなるし、頭は働かないし、なにより気力がない。高校生とか大学生のときに読んだんで、記憶は定かではないですが、ユリイカのドゥルーズ特集かプルースト特集に収録されてたような気がします。
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