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レオポルドとローブ事件

7月8日

■自分は超人間的な天才で、完全犯罪をも成し遂げられると考えたシカゴ大生の二人が、身代金目的の誘拐に見せかけて、知人を殺害した。1924年の話である。



■二人は裕福な家庭の子息なので、金目的の犯罪に見せかければ疑われることがない。彼らはそう考えたのだった。

■ところが、金を受け取る前に死体が発見されてしまう。こうなると、警察もこの犯行は金目的であるはずがなく、金目的に見せかけた犯行であるとわかった。二人は逮捕された。逮捕の手がかりとなったのは、現場に所持品を落としていったこと、脅迫文を書いた手紙が二人が法学部のゼミで共用しているタイプライターと同じであったことなどだった。

■完全の「か」の字もなかったんだが。

■犯行の理由はスリルを味わうのが愉快だったから。この事件は今でも米国史上最悪の事件の一つに数えられている。

■彼らの弁護人であるダロウ弁護士の弁護内容は次の通り。「ニーチェの超人思想を真面目に受け止め、自らの人生を賭してこれを実践したことは咎められたことではない。大学で教わったことで少年が死刑になるなんてなんと公平性に欠くことだろうか。」

■ニーチェの思想は常識よりも常識的な非常識だったように思う。そんなニーチェの思想は数多くの弱虫どもに強き者の幻想を抱かせてきた。しかし、とにかくニーチェの思想はこんな犯罪とは無関係だし、こんな犯罪を少しも呼び起こすものではない。

■ひどいことに、この弁護により二人は死刑だけは免れることとなった。

■なおヒッチコックの「ロープ」はこの事件を舞台設定を変えて映画化したものだ。

■「ロープ」の二人の学生は、教授が殺人が許される場合があると言ったことを真に受けて、これをニーチェの超人思想と重ねたのだった。




殺した友人をテーブルの中に入れる場面。なにも知らない被害者の父親を部屋に招待してパーティするっていう。スリルを楽しむ二人。
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