松凬からくり帖

松凬さんが73年の人生と吟道50年からの体験や、これから起こるであろう!未体験談を写真と共にお届け!

菅原道真の【九月十日】と大恩人の宇多天皇陵へ道真公に成り代わり参拝!

2016-09-09 18:38:16 | 日記

   

  九月十日〈くがつとおか〉      菅原道真 〈すがわらのみちざね〉

去年の今夜清涼に侍す    昨年の今頃は清涼殿にての菊花の宴に侍していた

秋思の詩編独り断腸     その時即興で披露した〖愁思の詩〗が今では断腸の思いだ

恩賜の御衣今此に在り    その詩に感動された天皇から頂いた御衣が今此に在ります

捧持して毎日余香を拝す   大宰府の地までお持ちして毎日天皇様を拝する私で御座います

 

本日の 9月10日に因んで、菅原道真公の漢詩【九月十日】を取り上げました

右大臣であった道真公が九州は大宰府へ左遷されます、原因は【愁思の詩】にありました

本人がこの詩の承句〈二行目〉で ”愁思の詩編独り断腸” と云っているのですから

西暦でいうと丁度900年の9月10日に京都御所に於いて重陽の節句を祝い醍醐天皇を中心に

菊花の宴が開かれた、「9月9日の重陽の節句の翌日に開かれていた」 

この時期すでに、左大臣の藤原時平は右大臣の菅原道真が疎ましくてならなかった

道真の側近からは 『あまり出過ぎた事は控えられた方が・・・』、と云われていたのに

【愁思の詩】と題した律詩〈八行詩〉を即興で発表してしまったのです・・・こんな内容の詩です

自分〈丞相〉は大臣職と云う重責に在って今迄に何度心から楽しめたことか

今宵、この席に於いても、その事を考えますと、自然に悲しくなるのです

折から秋の虫が〈クツワムシとかコオロギ〉寂しそうな声を風が運んできます

庭ではいつの間にか降ってきた雨が、青桐の葉を落としています

何という寂しい詩なんでしょう、このままであれば醍醐天皇も起こるかもしれません

そりゃそうでしょう、折角の菊花の宴に水を差すようなないようですから・・・

ところが菅原道真公は、学問の神様と云われた人、後半の四行が天皇に訴えたかった

だから醍醐天皇様に合わす顔が御座いませんと云うのが・・・次の四行なんです

君は〈醍醐天皇〉時が経つごとに、御立派にお成りになられますが、私は老いるばかりです

天皇様から受けた御恩は果てしない限りですが、この歳では報いる事は出来ません

今の気持ちをどうすれば、お伝えすることが出来ましょうや

ただ白楽天の様に、酒を頂き、琴を聞いて、即興詩を発表している私です

この詩の内容に、傍からすれば素晴らしい反面、なんと天皇にヨイショした事か・・・と

一番にカチンときたのが、云わずと知れた左大臣の藤原時平でした・・・

腹が立つだけでは収まりません、ここからが時平の恐ろしさが暴露します

醍醐天皇に讒言します・・・最初は取り合わなかった天皇も最後は時平の云うまま

ナント翌月には右大臣の地位を剥奪そして年が明けて2月に大宰府へと左遷されます

この時、宇多上皇が御所に向かいますが、息子の醍醐天皇は扉を閉ざしたままでした

左遷された大宰府は囚人扱いだったとか、左遷後3、4ヶ月目に作った詩がこの詩です

  自詠       菅原道真 作

家を離れて 三、四月  〈京都御所を離れ大宰府に来て、3,4ヶ月経ちました〉

涙を落とす 百千行   〈大宰府に来てから、涙・涙の〈百千行〉毎日で御座います〉

萬事皆 夢の如し    〈今までの事はすべてが夢のようでございました〉

時時 彼蒼を仰ぐ    〈今は虚しく、青空を仰ぐばかりでございます〉

それから三か月が過ぎた九月十日に一年前を思い浮かべて作ったのが【九月十日】です

この様にまだまだ若かった醍醐天皇では時平の言いなりになるしか仕方がなかった

宇多天皇のままであったら、ここまでには至らなかったかも

そのあと【九月十日】の詩から、一年後にこんな詩を・・・

  九月尽く    菅原道真 作

今日二年の九月尽く       〈本日、大宰府に来て二年目の九月が過ぎ去った〉

此の身五十八回の秋       〈此の私も、五十八回目の秋を迎えた〉

何事をか思量して中庭に立つ   〈秋は過ぎたというのに、尚物思いに耽りながら中庭に佇めば〉

黄菊の残花白髪の頭       〈黄菊の残花も色あせ、私の頭は、もう真っ白になってしまった〉

そして翌年の二月二十五日に京へ戻ることなく、大宰府の地で亡くなっている

後に北野天満宮の神としてあがみ奉られる道真公、天神さんの日の25日は命日で

祥月命日の2月25日には梅花祭が行われている 

では最後に菅原道真公を右大臣に大抜擢した大恩人、宇多天皇の御陵に

道真公に成り代わり参拝した時の写真を掲載して終わります

 

 

 

 

 

 

 

 



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