「読む会」だより(22年1月用)文責IZ
(12月の議論)
12月19日に開かれた読む会では、「たより11月用」への追加(5)について、チューターより「第5章では、価値増殖過程は、価値形成過程での労働力の使用が一定量を越えたものと説明されている。(4)でも触れているが、価値形成過程を価値増殖過程ときちんと区別して把握する必要があると考えて(5)項を設けたが、ほとんどまとまっておらず意味がなかったかと反省している」と説明がありました。これに対して参加者から「生産手段の価値が生産物に保存されるのであれば、それは価値増殖になるのでないか」という質問が出ました。チューターは、「前回説明したように、生産手段の価値が新たな生産物に保存されるとしても、それは新たな生産物の生産に必要な労働時間に含まれる(その一部分として数えられる)ということであって、その生産物の価値が、すなわちその生産ための必要労働時間が自己増殖するというわけではない。価値が自己増殖する唯一の方法は、流通を媒介にしてではあるが、支出された労働時間の対価を越える労働時間を生産物のために支出させるというやり方だ。言われるような誤解を招かないようにと思って追加したが、ピント外れになった」と述べ、了解されました。
(説明)では、生産手段の価値の保存が、労働過程において(すなわち使用価値の生産において)、人間“活動”としての労働(すなわち生きた労働)を媒介にして行われるという点が強調されて説明され、「死んだ労働(対象化された労働)と生きた労働の対立」といった形で資本と賃労働について語るのも良くないのではないか、という疑問も出されました。引用が長かったこともあり、議論には進みませんでした。
またお茶の時間には、最近の労働環境の変化についてあれこれと話が出ました。
なお、最後のページの2段落1行目、「ここでは要するに……価値すなわち労働一般を付加することができるのは、ただその労働が」とあるのは、「ここでは要するに……価値『を保存する』ことができるのは、ただその労働『によって生産手段が』」に訂正願います。
また、その3段落目、「有用労働は、……流通するという社会関係でしかありません。」の部分は、「……その生産物が、社会的生産物として登場するからに他なりません」といったように訂正したいので、当面は削除ということに願います。
◎オミクロン株の収束が見通せませんので、今回は昨年12月の「読む会」の紹介だけにして、(説明)部分の続きは先延ばしとさせていただきます。