6月某日 釣果:これといってなし
守谷・荒熊の磯にメジナ狙いで釣行。
今日の天気予報は曇り一時雨。
風さえ強くなければ大丈夫、と気にせず出発。
早朝5時、守谷漁港に到着。
レインウエアを着込み、洞窟を通って磯に出る。
磯にはまだ誰もいない。
空はどんよりしているが、風も波もさほど強くない。
岬の先端のャCントに陣取り、チャランボ(荷物や竿鰍ッ用の長いピトンのこと。波で足元を洗われるような低い磯で使う。)を打ち込む。
コマセを作り、仕鰍ッをセットして、釣り開始。餌はオキアミ。
しばらくして、一人の初老の男性が磯に現れた。
まっすぐ私のところへやってきて、釣れますか?と訊く。
丁寧な、紳士然とした物腰だ。
まだ釣り始めたばかりなので釣果は無いが、この天気ならそこそこ期待できますよ、と答える。
彼はャCントを定めようとして磯のあちこちを動き回り、再び私のところへやってくる。
ワンドの向こう側、センヅツ方向の磯を指して、向こうの磯はどうでしょうか?と尋ねる。
無理をすれば入れそうにも見えるが、波が高くなると戻れなくなる。
危ないからやめたほうがいいです、と答える。助ける自信は無い。
私は、ここはどうですか?と私の釣り座のとなりを指差した。
岬の先端手前のワンドの内向き。ここも実績のあるャCントだ。
それじゃ、お言葉に甘えて、と初老の紳士は釣り支度を始める。
コマセが効いて、手のひらサイズのメジナがコンスタントに釣れ始める。
これから上げ潮のベストタイムだ。さらなる大型に期待をかける。
隣の紳士もぽつぽつと小メジナを鰍ッている。
色鮮やかなニシキベラを釣り上げて、これはなんという魚か、毒は無いか、と訊く。
釣りを始めてまだ間もないようだ(笑)。
と、そこへ突然のスコール。
かなりの雨量だ。
コマセの入ったバッカンのふたを閉めて、私たちは守谷洞窟の穴の中に一時避難した。
洞窟の中で雨宿りをしながら、私たちはどちらからともなく世間話を始めた。
聞くと、彼ははるばる船橋からやってきたという。
定年退職後の趣味として釣りを始めたそうだ。
現役時代は仕事が忙しくてこれといった趣味も無かったが、釣りを始めてからというもの、毎日がとても楽しい、という。
このあたりにも最近よく来ているらしい。
彼は携帯電話で家に電話をかけて、今の状況を家族に説明した。
「家内です。今日は大物を釣って帰ると約束したんだけどなあ。なにやら大雨警報が出ているようですよ。」
雨は一向に弱まる気配は無い。それどころか、遠くのほうからかすかに雷鳴のような音も聞こえてくる。
私は撤収を決意し、彼にそう告げた。
しかし彼はもう少しここで様子を見るという。
私は、雷雲かもしれない、危険だから雲が切れて晴れ間がのぞくようになるまでは竿を出さないようにと伝えて、その場を去った。
彼は、わかりました、ありがとう、といってにっこり笑った。
その後も大雨は私が自宅に到着する頃まで、約2時間降り続いた。
その影響で外房線の電車も止まっていたらしい。
あの紳士は結局どうしたのだろう。
雨が上がるまでじっと待っていたのだろうか。
そうかもしれない。そんな気がする。
その日、午後からは、午前中の雨が嘘のような晴天が広がった。
(2002年6月)
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