『 うさぎの言霊 』 Rabbit's Kotodama 

宇宙の謎、神と悪魔と人とは?

《 序章 》 〈 第十五話 〉 迷子の兎

2019年01月31日 21時30分09秒 | 小説




   《 キャラクター&キャスト 》

創造主の娘 : スミレ / 現在分身を地球に派遣! / 石原 さと〇
 ( 極秘情報 / 彼女は自分の宇宙を創造中なのだ!)

十和田湖 : 神の光玉の守護神 : 大山津見神 / 境  正〇
                 
円座の龍 ( 筒状花火付き ) / ジャン ・ レ〇

円座を知らない方は下記のサイト参照。 
http://www.shinguya.com/enza.html

うさぎの妖怪の肉ポケットの中は、ねずみのぬいぐるみです!

  キャスト / キャサリン・ゼータ・ジョーン〇

うさぎの妖怪 : 信造 : 作者 / 伊藤  敦〇




    ( 推奨BGM )

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
クラリネット協奏曲イ長調 K. 622

クラリネット:レオポルト・ウラッハ

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団





   さて~~、空中であたくし一人じゃなくて一羽!

   いつまでもこうしている訳にもいきません 。
  そろそろ戻るとしましょう。

  ・・・が、しかし戻るって何処へ?
  何処だあそこは、土門家。

   十和田湖なら、別に地球上何処に居たって来れますけど・・・
   もももも、もしかして、物凄い失態をやらかしたのでは?

    住所知らないぞ ・・・


  「 超接近! 恐怖の花火見物 」 の後、
  気絶して気付いたら土門家の前に居たんだから、
 住宅街としか知らない。しっかし、気絶するとは情けない。

もしかして、土門拳三とか剣三郎とかいたから、
山形県の酒田市じゃないのかな?

あの、土門 拳、ていう人御存知です? 写真家の。
あの人の写真は凄いですよぉ~。
でも、あの家の人達、ず~ず~弁じゃなかったし、
いやっ、ず~ず~弁は内陸地方で、酒田の辺りは違った。

 んだのぉ~、とか言って・・・あっ、いや失礼。
 山形の皆さん御無沙汰しております。

とにかく、標準語で大きなビルが見えたから大都会です。
多分東京の純日本家屋 ・・・ですよね?
あ、あの~、もしかして御存知では?

私、たまに気絶して知らないことが結構御座いまして ・・・
そのぉ、教えて頂くと有り難いのですが ・・・

 あ、いえ、ただとは申しません。
 私、一日ペットとして伺います。

 駄目か、人には見えないんでした。

では今日の夜、あなたの夢に出て夢の共演とか、ぷっ、如何でしょう。
そんなので宜しければ・・・えっ、いいですか。

 やっぱりそう言って下さると思いました。

では私、この大きな耳をすましておりますので、
土門家の住所を念じて下さい。

はい、どうぞ・・さあどうぞ・・何か目印は?
気合を入れてもう一丁 ・・・

助けて下さいとか、スミレ様にお頼みするのは、ちょっとまずいので・・ 
あなたもお分かりになるでしょう ・・・・

 空の上で何やってんだ僕 ・・・


  《 あ、あ~これ、もし ・・・ 》


  まさか、あなたの声が聞こえた。

 いや、後ろでどなたかの声が ・・・
 私は、ゆっくり後ろを振り向いた。

  あれえ、水戸黄門?


「 あの、どちらさまで御座いましょう?
 アアッ、もしかして大山津見神様でいらっしゃいますか?」


《 おおーっほっほっほっほっほぉ~、御名答。
 わしがさっきの鬼雲、大山津見神である!

この衣装は、たまにはいいかなと思ってな。むふふ ・・・
ああ~コスプレとか申すなコスプレとかぁ ・・・・

それに言っておくが、この印籠には葵の御紋は無いぞ~。
ほれ、神の御紋は十字と決まっておるでな。

それから、さっきの忌々しいヘリの残骸を空き地にばら撒いたのは、
十和田湖を汚さない為の配慮じゃ。全く、世話ばかり焼かせおって ・・・

ところで、おぬしが信造じゃな。
どれどれ、ちこう寄りなさい。》


「 は、はい。お初にお目に掛かります。
 全く以って光栄の極みに御座います。」


《 おお、そうかそうか。ん~しかしおぬしはちっこいのお。
 その割りに耳は長いかな。ほほお~なるほどなるほど・・・》


「 あ、あの、耳の中を、く、くすぐったいでごさいます。グヒッ。」

《 ファスナーは付いておらなんだな。スミレ様のおっしゃる通りじゃ。》

「 そっ、それは、ないと思いまする。」

   あっ、そう言えば鏡で自分の背中見た事ないんだった。

《 よく出来ておるのお、流石は大黒天様じゃあ。
  この毛並みの色艶が何とも言えんわい。

   きめ細やかな白い毛を光に透かすと、
    七色に輝いて見えるわ。う~む。》

    「・・・お、恐れ入ります。」


《 おぬしに言っているのではないわ。
  ふむふむ・・・この皮膚は良く伸びるのぉ。
    着心地はどうじゃ?》  ほ、ほっぺやあは、ちょっと・・・

「 は、はい、それはもう何の違和感も無く、快適そのもので御座います。」

《 そうであろう、そうであろう。
  何よりは、そのペンダントと腕時計じゃ。実に見事じゃあ。
   ここは、わしからも何か贈り物をせんといかんのお。》


「 あ、いえいえ、勿体ないことで御座います。」

《 まあまあ遠慮せんで。おお、そうじゃ。これなんかどうじゃ。》

   すると、小さくて真っ赤な、ざざっ、座布団が僕の体の下に ・・・

《 むふふふ、ピッタリじゃ、一片が八寸の赤い座布団じゃ。
  おまけで、神の紋章を四隅に付けてあげたぞい。金糸でな。
   白と赤で、めでたいのお。

  それに、ここは日本じゃから、空飛ぶ絨毯というのも不似合いじゃ。
  だから、空飛ぶ座布団! こりゃあ~受けるぞい、スミレ様に!

 あっぱれ、あっぱれ、大黒天さっまにっも受っけるぞい~♪
 で、どうじゃ、座り心地は?》

   大山様は、左手に扇子をパタつかせておっしゃいました。

「 それは勿論最高に御座います。
 このような物を賜われるとは無常の喜びに存じまする。」


《 おお、そうかそうか。それは良かった。
  でな、その~気になるんじゃなあ。 
   スミレ様の評価なんじゃがあ~、おぬしは何点と見るかの?
    無礼講じゃあ。遠慮はいらんぞ。》


「 そそそそ、そんな、大それたことなど私、とても・・・」

《 良いと申しておるに。》

「 そうおっしゃいましても・・ん?
 あの、何故ぇ、小声なのでいらっしゃいますか?」

《 大声なら、おぬしも言い難いじゃろ。それにわしも恥ずかしいでの・・・》

  「 そういうものでございますか?」

    《 そういうものなのじゃ。ほれ、わしの耳に。》

       「 了解致しました。」

          《 よく聞こえんぞ。》

            「 これは、失礼を致しました。」

              《 でぇ、どうなのじゃ。》

               「 はあ~~、ん~~。スミレ様は ・・・」

               《 はよう、言わんか。》

               「 よ、四十点位で御座いましょうか?」

             《 四十点はきついのお~。そんなものかのお。》

          「 恐らく、相当厳しい採点になるものかと存知まする。」 

        《 そうであろうのお~。》

    「 もう少し、座布団に工夫が必要と思いまする。」 えっ、おう?

《 おお、ど、どうするのじゃ、それは。》   あ、あの私は、うぶぶ。 

「 それはですな。これを、あ~してこ~して、こんなもので如何でしょう?」

《 それはまた、面白い趣向じゃのう。おぬし只者ではないな。ふふ~ん。》
 
「そうで御座いましょう。むふっ ・・・ あああ、お待ち下さい。
              危険ですので今のは無しということで。」

《 なんじゃあ、急に? 言いだしっぺはおぬしじゃろうが。
  可笑しな奴じゃなあ。

   ん?・・スミレ様 ・・ははあ ・・おお ・・・それは ・・
    ほほほほ、ではお待ちしておりまする。

    おいっ、信造。今スミレ様から御連絡があってな、
    直ぐお出ましなされるそうじゃから、しゃんとせい、しゃんと。》

    「 はは、はいっ、畏まりました。」

   こりゃあ、あかん、いかん、あかん、いかん・・・

《 だあ~まらっしゃい! 気持ちは分かるが落ち着かんか。戯けが。》

   う、うひぃ~~

「 はい、申し訳ございません。」

   うう~、ん、ん? 空の彼方から ピユ~~ッ と、
   金龍のお姿でお出ましで・・御座いますが、どうしてでしょう?

《 おお、お久しぶりですな、大山殿。》  あれっ、男性の声が・・・?

《 ほんに、御久しゅう御座いまする。
 しかし、随分と金属っぽい龍体でいらっしゃいますなあ。》

   あ、そう言えば大山様のおっしゃる通り、金属だ。なんでかな?

《 よく思い出して見られよ。天の岩戸を開いた時の私の姿を ・・・》

《 おおっ、そういえば ・・・ あっ、もしかして、あの神々が絶賛した髪型の「髪飾りの龍」で御座いますな。
とすれば今スミレ様は、後ろをお向きでいらっしゃるということで・・・》
 
《 御名答で御座いますよ。大山殿。》

   ギョギョギョギョ~~~~~ン!



右端の「髪飾りの龍」、 実にしょぼくて大雑把であります。
何故なら、面倒なのでこれ以上細部を描くのは断念致しました。
この黄金製の龍は、スミレの意思でどのようにも動きます。



龍が両手に持っているのは、下記図の「天意の杖」です。
この杖も未完成で、赤青2種類の螺旋表面に
アジチ文字が彫り込まれるデザインとなります。

ちなみにアジチ文字は、モーセの十戒石に彫り込まれたもので、
ヘブライ文字とも共通点が多いのです。
詳しくは、「超図解」 竹内文書 Ⅰ/高坂和導 編著 徳間書店
でお確かめ下さい。

これらはインクスケープというフリーソフトでの作成です。





 むむっ、龍の口からスミレ様の御声が・・・

あああ、そう仰せになると、
金龍の龍体の途中から真っ二つに切り裂くような光が走り、
そのまま左右二体に別れてかっ、髪の毛になり、ひえっ、
徐々に途中で交差をし、尻尾の先がスミレ様の後頭部に繋がった。


《 おおおおお~~、ぶはあ~~っ!》
「 おおおおお~~、ぶはあ~~っ!」


   あれっ、大山様と妙にハモって仰け反った。

   改めて見ると後ろ側は凄過ぎる。
   お口あんぐりであります。


《 ほほほほ、いいハモリ具合ですこと。》


   振り向かれたスミレ様がおっしゃいました。

   すると、大山様に何やらゴニョゴニョと言霊で耳打ちを・・・
   それで、わたくし判決を待ちます ・・・ ゴオ~~ン。


《 ・・・おほほほ、それはそれは、ところで大山殿。
 ミカエル殿は二十五点でしたが、大山殿は五十点で御座います。

 いやはや、龍を模った円座を信造に授けるとは、
 ほんに粋な上にユーモアが効いて御座りまするなあ。

 しかも龍の口に銜くわえているものが筒状の花火とはプッ、
 これでは、まるで鼠花火ならぬ龍花火では御座りませぬか。
 もう可笑しくて堪りません。

 それに、この点数はおちょい様と同じですから、
 誇りに思われて宜しいですぞ。》

 
《 おほ~~、そこまで御喜び頂けるとは、
 わたくし無常の喜びに存じまする。
 くう~~、良かったな信造よ。実はスミレ様、これはですな。》 

   あたあ~~

《 のおのお、細かい事はともかく、わたくし早く空飛ぶ龍の円座花火を
 見たいのですが、宜しいですかのぉ?》 ・・・ いえいえ

《 勿論で御座いますとも。
  しかし、この者はよっぽど回るのが好きと見えますなあ。
   ところで、点火はどうなさります?》

    キターー!・・・蘇るトラウマ!

《 大山殿、実はこの者は花火が大好きなのじゃ、
 じゃから他の者には着けさせんと思いまするぞ。のう、信造。》

「 ぎょ、御意に御座います。
 もう是非ともわたくしに着けさせて下さいませ。」

《 おっほほほほ、こりゃあいいわい。
 物好きにも程があるというものじゃあ。
 ただ、見方を変えれば怖いもの知らずとも取れなくも無い。
 まあ、侍の末裔だから勇猛なのは当然なのかな?》

《 その通りで御座いますぞ大山殿。 あ、そうそう信造よ。
 ほれ、おぬしのお腹のポケットに
 点火装置が入ってある筈だから、探してみよ。》

 「 ぽぽぽぽ、ポケットぉーで御座いますか?
  はあ? お腹を ・・・そんなものは元々ありませんがって?
  あああ、ありました。

  ええ~、てて、点火装置らしき? ん?
  ねずみのぬいぐるみ?・・・が御座いました。」
 
     エエ~ッ、何これ? 

《 何と、先程はポケットなど見当たりませんでしたが、
      流石に大黒天様で御座いまするなあ。》

《 で御座いましょう。それで、その点火装置の商品名は、
「 点火でチュウ!」 なのですよ。面白いでしょう。
 むぷっ、ではさっそく点火を心置きなく、信造よ分かっておろうな。》

   と、とっても優しくおっしゃいました。
    
  「 ははは、はい~。」 なんか震えが ・・・

   しかし、この点火装置とは思えない白鼠のぬいぐるみが、
   両手に石を持っていて? ど、どう使うのか? はて???

《 分からぬか? その鼠が持っている物は、火打石と火打金でな、
「点火してちょうだい、お願い。」 と カワユク 言って、
 導火線に近付けるだけで良いのじゃ。簡単であろう。》 んなぁ~

「 ははは、はい。
 では、かわゆく、て、点火してちょ~だい、おねがい!」

   あ、すると僕より小さいから、
   かなり小さい鼠のぬいぐるみの右手が上に動き、           
   左手に持った火打石目掛けて火打金が振り下ろされ、
   擦れた瞬間火花が散った。

  時代劇で見たのと同じだ。 カチカチッ、チュウ!  わあ、喋った。

 ・・・ 後は導火線に近付けるだけだ ・・・ うぬぬぬぅ ・・・

《 ん~? はようせぬか。
 それとも、またわたくしの手を借りると申すのか?》

   と、スミレ様が急かされた。

「 め、滅相も御座いません。只今、すぐに・・・」

   これ、点火した瞬間におっそろしく回転するんだろうな。 
   左回転で ・・・

     カチカチッ、チュウチュウ!

   おまえの名前はチカチュウとかどうだ? ・・・ チュウチュウ! 
   ハハハ、良かったネェ、はは ・・・ 

                     
《 なんじゃ余裕か? それと~も怖気付いたかあ~あ?
 ( バリッ! ) 扇子を開いた音じゃ。

  侍がっはあ、聞いて呆れるぞっほお♪
   これで~は~、池の中のふ~な~じゃっ、はい鮒侍じゃ♪
    ふなふなっはあ、鮒ははは ~ あ ~~ ヨオーーッ、パチン! 》  

                         おうわっ!


   と、まるで忠臣蔵 「刃傷(にんじょう)、松の廊下」 の場面、
   憎々しい吉良の様な一人芝居でェ・・

   一瞬で黄門様から吉良の衣装に代わっちゃったりしてぇ・・・ はあ

   それで、つまり軽快な節回しの歌舞伎調でおどけて舞って歌われ、
   扇子をパチンと御自分の額に当てられたのでありまするう。

  もう、御見事と言う他御座いません。

  当然、スミレ様は両手を叩いて 満点大笑い です。 くうう ・・・
 私は焦りか血迷ったのか、変に閃きました。

  ・・・ カチカチカチ、チュ~ウ?

「 では、点火の前に辞世の句を一つ・・・
 風さそふ~ 花よりもなほ我はまた~ 春の名残りをいかにとかせん~~!」 
 
   あッ、やな空気が ・・・  エ~~、チュ~ウ。

《 信造殿、全部盗作で御座いますな。
  捻りも無いので三点ですぷっ、点が付いただけ増しであろう。
   では心置きなく存分に。》

    ああ、ささ、三点とは、あったあ。
    行くかチカチュウ! カチカチ、チュウ~~!

「 お心遣い恐縮に存じます。腹が決まりました。
 では、参ります。土門家にいざ出陣!あたたたたぁ!」

    カチカチッ! チュウ! 

       ビシュウゥゥ~~~。 うわあ、一発点火ぁ~~!

    皆様、固唾を飲んで導火線を見つめておられます。

 ユゥ~~~ッ、バッ!!

   ブシュシュシュッ、 ヒュルヒュルビュルルル ・・・・・
     ブシュルルルル、 ビュルルルウウウ~~~  ・ ・ ・


「 あああぶ、まわまわ回って、はぶれれ、
 コメントトトルル~、できん~まぁわせん! あひぃ~~・・・・」

《 うさちゃ~~ん。ぷぷ、もう土門家の住人から目を離しちゃ駄目よ~。
 ヒュウルリ~、ヒュウルリ~~ルラア~~♪ 》

《 回って回って何たらかんたら、う~う、ううう~♪ ・・・
  で御座いましたかな? 
   しかし、良い飛び具合ですなあ~。ガメラみたいだ。

    はらら、本物の竜巻になった。回り過ぎじゃな、むはは ・・・》




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