遂に始まった正邪の最終決戦!
その決戦も三日目に突入致しました。
今まで月面特設リングにおいて、アンドラスタ司令長官と拳三は、
百本の剣の死闘を繰り広げていました。
拳三と相対する中で、悪魔の騎士は神の愛に大きく心が揺さぶられ、
何と改心してしまいます。
改心したアンドラスタは、徹底的に拳三を鍛え上げ名刀とすることで、
神へのお詫びの証としたい思いなのです。
そして今、百本目になろうとしていましたが、
ここで拳三から提案がありました。
それは、父、剣三郎直伝の 「活人剣の構え」
なるものを披露したいというものでした。
その構えとは如何に ・・・
月の裏側
( 推奨 BGM )
フレデリック・ショパン 作曲
00:00 - Nocturne in F major, Op.15 No.1 (1967)
03:41 - Nocturne in D-flat Major, Op. 27 No. 2 (1972)
09:41 - Nocturne in C minor, Op. 48, No. 1 (1978)
14:54 - Nocturne in E-Flat Major, Op. 55 No. 2 (1965)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
https://www.youtube.com/watch?v=q6vq5YarPe8&index=18&list=RDAYCaAU5N0Sg
( うむ。ところで、もう一本で百本目になる。
これで最期にしよう。随分時間も経過してきた。
僕はもう充分 君と剣で語り合ったと思うが、君はどうかな?)
( はい、私も先生の御指導を十二分に魂に刻み込みました。
ただ、一つお見せしたいものが御座います。
これは、技ではありません。
我が父、剣三郎が編み出した
「 活 人 剣(かつじんけん)の構え 」 と呼んでいるものです。
これは戦国時代、上泉信綱 が提唱した 「 活人剣 」 に父が傾倒し、
「 戦わずして相手から戦意を奪う 」を
極意として辿り着いた構えであります。
どうか、御覧頂きたいのですが、如何で御座いましょう。)
( いいだろう。
まあ、その 「活人剣の構え」 から君の父の想いを感じ取り、
この胸に刻み付けよう。さあ、見せてくれ給え。)
そう言いながらも、理解出来ない顔だ。
( あ、有り難き幸せに存知ます。
では参りますが、私は先生を倒す気は御座いません。
ただ、先生は普通に構えて頂ければ結構です。)
拳三はうれしそうな顔から、直ぐに穏やかな顔になった。
( それは構わんが、わざわざ言う事か?)
彼は言われた通り通常の構えで相対した。
拳三が、ニ コ ッ、 と笑った。
ただ静かだ ・・・
殺気は無い ・・・ なんで???
気合も無い ・・・
拳三は右手を、えっ? 妙だ ・・・
刀の刃先を上にしてゆっくり抜いた。
アンドラスタも驚いている。
それで、抜いた刀の柄を左手で軽く添え、そのまま中段に構えた。
つまり上向きの刃先を相手は見下ろす訳です。
見るだけなら怖いですが、峰打ちの構えでしょうか?
あ、まだあるようです。
次に、その刀を持った腕を前方に軽く伸ばし、
切っ先をアンドラスタのへその辺りに向け、
そのまま腰を落としつつ、
右足を後方に大股で一歩ほど伸ばしました。
体重は、ほとんど左足に掛かっていますが ・・・
へっ? 何のポーズ??
あまりに奇妙な前傾姿勢の構えです。
これでは、如何なる攻撃を仕掛けることも不可能です。
しかも刃っ先の向きは上下逆。
あなた、どう思います?
漫画 「 るろうに剣心 」 の逆刃刀とは訳が違います。
この構え、やってみて下さい。
腕を伸ばしていると攻撃の動作に移る時、
腕を引いて力を溜めてからでないと、
突くなり斬るなりが出来ません。
そりゃ勿論、腕を引いてから攻撃すればいいのですが、
その僅かな時間に、相手の攻撃は当たってしまいます。
ましてやフェンシングの剣士が相手なのですから ・・・
つまり、この構えは攻撃を放棄しているとしか思えません。
致命傷を与える等とても?
あ、いや、拳三君は相手を倒す気はないと言っていました。
すると、相手に刃先を見せ付け怯ませておいて、
隙を見て腕か足にちょっと突きを放つ。でしょうか?
それで、
「 今日はこの辺で勘弁しておこう。もちっと腕を磨かねばならんぞ。」
とか言って、めでたしめでたし ・・・ という結末?
実に平和的解決法であります。
しかし、真の目的は何でしょう?
ただアンドラスタは、
この構えの意味を掴もうとしていますが怪訝な表情は変らない。
( いや、確かに攻撃はしづらい。
ただ、僕が攻撃を仕掛ければ君の腕は落ちるぞ。)
( はい、おっしゃる通りです。
先生が相手の場合には通用しません。
ですが、レベルを グッ、と落とせば話は別です。
失礼ですが、
人間並みのスピードで攻撃を仕掛けて頂けますでしょうか。)
( それは構わんがねえ ・・・?) 私も ・・・? です。
彼の言う通り、アンドラスタは攻撃に転じる為、
一瞬右腕を上げた。
その刹那、拳三の刀の切っ先が、
その右腕に向かって少々間合いを詰めた。
するとアンドラスタは攻撃を止めた。
出端を挫かれたからだ。
そのまま少しでも前に体重移動していれば、
彼の腕は拳三の上向きの刃先に触れて傷を付けられてしまう。
拳三が ニヤッ、と笑った。
( おいおい、これでは人間の一流剣士でも、そう攻撃は出来んぞ。
では左右に回り込もうとしたら、
君は左足を軸に回転して対応するのだろう。どうかな?)
( 仰せの通りで御座います。
私は単に相手の腕、
又は踏み込んで来る足の動きに刃先を合わせるのみで、
こちらから仕掛ける事はしません。
それに、間合いに入られ危ないと思ったら、
剣を引きつつ後方に下がります。
それだと、
相手の剣に私の小手や腕を狙われても容易にかわせます。)
拳三は実際に動いて示した。
( 理屈は分かった。
防御面に特化した構えということになるが、
あ~~相手を倒す気が無いとか始めに言って、
「 戦わずして相手から戦意を奪う 」 構えか?
自分も戦意無し、
相手からも戦意を奪い、戦う意味無し ・・・ 何だと?
では実力が上の相手等に対抗する為の構えということか?
それに 「 無益な殺生すべからず 」 かな?
それじゃあ、まるで坊主ではないか?
はっ、坊主武士だ! 君の父は正気かね?) あ~なるほど。
( は、はい、そういった意味も含まれます。
父曰く、
「 命のやり取りなどつまらない。
勝敗を気にするより仲良く剣技を磨こう。」
だそうで御座います。)
こりゃいい!!!
( 何だと? それが現代武士の心得か?
つまらんつまらんというよりはっ、
おかしくて、ははは、はぁ~はっはっは ・・・
おい ・・・ わ、笑わせるなよ。)
彼は腹を抱えている。
( 先生。正直私も以前は理解出来ませんでしたが、
今やっと理解出来ました。) 何だ?
( 今頃かね。親不孝者だな、全く ・・・
お、御蔭で プッ、力が入らんぞ。)
( せ、先生。) ニコニコ 楽しそうだ。
( ん? ぷ っく く、何だ。) 苦しそうだ。
( 先生は完全に戦意喪失なされました。
こ、これって一本取った事になりませんでしょうか?
ぷぷっ ・・・ ) 戯けだ。
( な、何だとお~~!!
ん~それはある意味一本取られた感はあるが ・・・
もしや、この僕から剣聖の称号が欲しいのか?
全く現代武士はなっとらんなぁ。
分かった、しょうがない。
約束だから剣聖の称号を授けよう。
ただし君の父、剣三郎にだ。当然だろう。
悔しかったら、父上君に認められるまで精進することだな。)
父は偉大なり!
( ええ~~ッ、それはないですよ!
そこを何とかならないでしょうか?)
( ならんなぁ。騎士に二言は無い!
それにタイムリミットだ。
総帥がお呼びなのだよ。もう行かねばならない。
楽しい一時だったよ拳三。
最期に君を弟子と認めよう。
君には僕の全ての奥儀を見せたといっても過言ではないからね。)
( あ、ありがとうございます。 師匠ぉ、うう ・・・ )
( 泣くな。 我々には、まだ別の戦いが待っている。
僕は総帥と共に、地球で最期の戦いに挑まねばならない。
相手は正神軍。つまり君も含まれるのだ。
ただし、君が自力で地球に戻れたらの話だ。
それに君の体の大きさは、まだ適性ではないだろう。
これからは一人。
だが、寂しさなど今の君なら微塵も無い筈。
良いか、光の粒子の左回転を意識し中心を貫くのだ。
さすれば一瞬で地球だが、甘くは無いぞ。
まずは飛ぶスピードを上げることだ。
大黒天様は時間に厳しいお方だから遅刻などしたら、
メンバーから外されかねないだろう。)
( 師匠、お約束致します。
必ず時間内に地球の神の光輪へ戻り、邪神軍を向かえ打ちます。
ただ、師匠は邪神軍を抜けては頂けないのでしょうか?)
( おい、戯言を言うな!
いいかぁ、僕が生きる目的は既に切り替わっている。
この瞬間に於いて、主神の為に成すべき事。
それは、堕天した天使の無様に断罪される姿を、
神の子人の魂に刻み付ける事だ。
邪道魔道に堕ちた者の末路、
それがどんなに醜く愚かなものかをなぁ!
その神の演出は、
世にも恐ろしい姿でこの物質界に顕現されるであろう。
この僕でも血が凍る程の恐怖を感じる。
だが、もう逃げられない。
僕は魂で全てを受け止め永遠に懺悔するのみ!
君もその姿を見届けるのだ。 急げよ、拳三!! )
そう言うと、
アンドラスタの姿は名残惜しそうに静かに消えて行った。
( 師匠ぉ~、ありがとうございました。
時間内に必ず地球へ帰還します ・・・
え、あれっ、お、おあっ ・・・
じゅ、重力が戻った。軽いなぁ。それと誰もいない ・・・
何時の間に消えたんだろう。 一人かぁ ・・・ )
そうなんです。
アンドラスタが去る前に、三機の邪龍は地球に戻ったのです。
それで、電磁シールドも悪魔の蜘蛛の巣も、
地球へ転送されたようです。
一人残った拳三 ・・・
月から地球までの距離、344,400キロメートル。
光 = 電磁波 ( 秒速30万キロ ) のスピードで換算すれば、
一秒余りで到着ですが ・・・
瞬間移動の技は容易に身に付かないようです。
( 推奨 BGM )
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 作曲
ピアノソナタ 14番 嬰ハ短調 作品27ー2 「月光」
マウリツィオ・ポリーニ( ピアノ )
https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=oj75TeQmSHA
光 ・・・ この全宇宙全次元は神の光と愛の充満界。
故に物質界も然り。
つまり瞬間移動、テレポートとは、
己の全身全霊が光その物だと認識出来た時に、
初めて可能になる技ではないだろうか?
その他の霊力にしても、
根幹にその自覚が無いと発揮出来にくいと思います。
全てが光。一点も光の一粒子。
全次元はその光の充満界。
故に汚れた醜く重い魂、汚れた心と体のままでは、
神の子の力、霊力が復活しないのであります。
更に人の体は、
本人の意識無くして太陽やその他の光が当たっているから、
その反射に因り、他人から自分の体が認識されるのです。
そこには色霊のみ働きがあるのです。
加えて、自らの魂を光らせ真の光の放射体となる。
これが最も人を光らせ、
他人にも神にも讃えられる要素になるのです。
月やその他の星にしても、
太陽(恒星)の光を浴びないと地球からは見えません。
それと同じことです。
加えて己の体、
特に顔や背中という部分は鏡を使わないと見られません。
とは言え、反射した姿ですので逆向きです。
きっと神様は、「人の本体は違う次元に有るのだ。」 と、
おっしゃりたいのではないでしょうか?
そう考えると面白いでしょう。
人の魂も体内も、自分では見る事は出来ません。
自分の心でさえ良く分かっていない者多しで御座います。
逆に他人の方が良く理解している場合があります。
したがって人というものは、
利他の為、神の為に存在している証拠とも言えるものであります。
是非、意識されて下さい。
更に、魂が強く光らないと、
神様から救いの手を差し伸べられることはありません。
地獄の人間界は、既に真っ暗な泥沼の中にあります。
そこで魂が輝いていなければ、
救いたいと思われた神様でも見つけることはできません。
逆に言えば、泥沼の中にいるのに脱出しようと努力しない人間は、
もう救わないということです。
だからこそ、心と魂の浄化の行が最も大事な要素になるのです。
私の座右の銘の一つは
「 汚れが取れずば磨けまい! 磨けずば輝けまい!」
であります。
それは、心と魂の浄化を意識してのことなのです。
人の魂といえる主要な八つのチャクラは、
頭頂部から背骨沿いに点在しています。
そのチャクラが光輝くと、光の柱、或いは 火柱 となり、
我の神性なる魂は此処にありと、神々に示すことができるのです。
そうは思いませんか?
私はそう思います!!!
宇宙根源の『 生命の樹 』の謎 参照
神を表す単位は、「 柱 」 です。
宇宙根源の 「生命の樹」=「創造主」
から分けられた魂が幾多の神々でありますから、
「柱」 と称される訳が理解出来るでしょう!
「木」の「主」と書いて、「柱」ですね。
みなさん、心と魂の汚れを取り、磨いて光輝かせましょう!
そして自分の中心軸を光の柱とするのです!!
ここで、何度もお伝えしている情報を再度記載致します。
《 アセンションの3ヶ条 》
1、心と魂の浄化が、100%中81%まで到達している。
2、DNA12条が完全解除している。
3、光のネットワークに繋がり、地球意識に到達している。
さてさて、拳三君が飛ぶにしてもどれ程のスピードが出るのか?
先程からの戦いで見る限り、
戦闘機の機動力よりはあるように見えました。
現在時刻、何と日本時間、午後六時を回っています。
つまり、剣の神前試合百本に要した時間は凡そ五時間です。
拳三は百回死んだようなものです。
そして、実際は一本どころか傷一つも付けられず、
剣聖の称号はおあずけ ・・・
大黒天様とのお約束の制限時間は、午前八時から午後十一時。
残り五時間弱。
( ああ、とにかく行こう。
瞬間移動のイメージはまだ掴めないから飛ぶしかない。
地球は見えるんだけど、後五時間しか無いぞ。
もう行こう ・・・ では、月の女神様、行って参ります。
あちこち散らかして申し訳ございませんでした。
よ~し待ってろ地球 ・・・ ?
ああ、あれは何だ?)
あれって、あれは ・・・ ななな?
スゴスゴすご~~~!!!
《 あたたたた、あのお方は 月讀命(つくよみのみこと)様 と
素戔嗚尊(すさのおのみこと)様 ではないかぁ!
あわわわ、何という神気じゃあ!!
太陽のオーラを纏ったかの如き御姿!
おい、うさぞう、控えよ控えよ頭が高いぞ! 》
チュチュチュチュ ちゅうううう ~~~~~!
「 ははは、はい~~~~っ! 」
《 はっはっはっは、わしらは女神ではないぞ!
残念じゃったな!
わしは月の守護神、素戔嗚尊である!
こちらは兄上の月讀命殿じゃ!》
《 ほほほ、紹介ありがとう。
拳三よ、なかなか見応えのある試合であったぞ。
大義であったな。褒めて遣わすぞよ。ほほほほ。》
( あああ、何と偉大な神様にお会いできるとは光栄至極に存じます。)
《 まあまあ、そう畏まらんでもよいぞ。
しかし、隕石でも落ちたかのような散らかりようじゃな。
その衝撃は、月の内部世界まで響いておったわい。
よくぞ悪魔共の攻撃に耐えたものだ。見事であったぞ!》
素戔嗚尊様が仰せです。
( はは、有り難き幸せに存じます。)
《 拳三よ、我等と同様に汝を見守っていた同志達がおりますから、
引き合わせて差し上げましょう。
さあ、月の住人を代表とする神々よ。
そして宇宙連合の皆よ姿を見せなさい!》
すすっす、すると、
あああ、満天の星々が一斉に動き出しました!
それらの動く星は、なんと宇宙船だったのです。
なんという壮大な光景でしょう!
そして輝くオーラを纏った神々が、拳三の頭上にお出ましです。
《 拳三よ、汝は一人ではありませんね!
それに月以外の全宇宙の恒星、惑星の同志達も祈っているのです。
そのことを決して忘れてはいけませんよ。
では、我々が暫くこの場で見送ります。
そして、私と素戔嗚尊は地球で待っていますよ。
何しろ我等二人は、地球の守護神、「丑寅の金神」 なのですからね。
つまりは月と地球の守護を兼務しているということです。
ただし、地球に於いては、
国之常立神(くにのとこたちのかみ)様の補佐的役割 を仰せつかっています。
三位一体の神が守護することで、「丑寅の金神」 と呼ばれるのです。
もう地球の表層上は汚染と破壊が限界域まで達しています。
我等、「丑寅の金神」 は、
地球表層上全体を大浄化する苦渋の決断をしました。
その地球の大浄化を最期まで見届けるのです!
さあ、全身全霊をもって地球の魂、
「丑寅の金神」 を意識しながら飛ぶのです!! 》
《 拳三! わしも地球で待っているぞ!!
さあ、ゆけ~~い!
己の神性に自信と誇りを持って、
燃える魂を爆発させて飛ぶのだ!!
それに振り向く必要はないぞ。
何しろ時間が無いでな! はっはっは ・・・》
( ははあ、有り難きお言葉を肝に銘じ、
全力で地球に向かいます!!)
そう言うと、拳三は地に額づいた後、
ゆっくり立ち上がり、飛び立ちました。
彼の魂には燃え上がる闘志が漲っています。
思いがけない神々と宇宙連合の皆様の激励は、
よほど彼の魂に響いたようです。
それからは振り向くことなく、
厚い雲で覆われた地球を目指したのです。
ところで、残り五時間でどれ程の平均時速が必要か、計算してみて下さい。
月から地球までの距離、344,400キロメートル。
簡単でしょ。
最低、平均時速、約8,000キロは出さないと余裕で到着出来ません。
ただし、地球に到着前にすることがあります。
それは減速です。
ブレーキを掛けなければ地球に衝突となります ・・・
とはいえ、
そんな計算をするコンピュータは持ち合わせていないでしょうから、
勘ピュータを使う他ございません。
あ~~こりゃ厄介だ!!!
大気圏突入時の摩擦熱は、何等問題無しですから、
後は速度を上げることと、
もう一つ ・・・ 体の大きさを適性にする事です。
さて、我等も後を着いていますが何でしょう、速いのか遅いのか?
周りの景色が変らないので、実感が湧きません。
拳三もピンときていません。
《 では、現在の速度を教えて進ぜよう。
時速二千飛んで二十キロじゃ。
音速の二倍すら出ていないとは話にならんわい! 》
チュチュウ。
その時、上から巨大な白い物体が迫って来ています ・・・
邪龍じゃない何か?
いや、邪気を少し感じるが ・・・
ただ、あれは恐らく彗星だ。長い尾を引いている。
直径数キロはあるでしょう。
彗星は一瞬で通り過ぎました。
拳三はそのガス状の尾を避けようとしましたが、
避け切れませんでした。
ガス状の塵を被ってしまったのですが、
何か顔に纏わり付いているようです。
粘り付く何か分かりませんが、特別支障は無いようです ・・・
彼は、また飛び始めました。
《 いや、支障はあるぞ。これを見よ。》 チチ~
叡智晶で先程の彗星を拡大して見ていますが ・・・
「 こ、これは何でしょう? 奇妙な形ですね。」
《 いいか、これはシアニードの邪龍が
縮こまって彗星に化けていたのじゃ。
あの塵の成分は恐らく蜘蛛の糸だ。
何か仕掛けがあるに違いない。
これは気を付けて見ておらねばならんな。》
チュウ~!
「 はは、気を付けます。」
何と、ただ塵を着ける為だけにわざわざ彗星に化けるとは、
当然この先に待ち受けるものは地獄でしょう。
《 しかしなぁ、マーフィーの様子も気になる。
もう地球で待つことにしよう。では、ゆくぞ。》
チチッ!
「 ははっ!」
《 戯け、ふざけるな!》 タワケ。
「 いやその、偶然でして・・・」 あは~~
さて、月の住人達から見送られ、
意気揚々と地球を目指して飛びった拳三ですが、
幾多の試練が待ち受けています。
果たして、無事に地球に到達できるのでしょうか?
皆さんも祈ってくださいね!
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