「今日もたくさんお客さんが来てくれているので」
「ステージからお客さんを見ると、泣いている人とか、一緒に歌っている人とかいて嬉しい」
なんてことを、私の推しはよく言ったりする。
嗚呼、なんて残酷な、愛すべきひと・・・
お客さん、って言われると悲しくなるのは、私だけだろうか?
たしかに、ライブに来る人全員がファンというわけではないかもしれないけど、それでも私は「お客さん」なんて、言われたくない。
だってそれって、お金払ったのでライブ来ました、みたいじゃん?
それって、お金払ってくれてるので精一杯歌います、みたいじゃん?
どちらにせよ、元々遠い存在である推しが、もっと遠い存在になってしまったような気がするのだ。
私の推しは元来、ファンとの間にわざと距離を置くタイプだ。
「沢山の人が応援してくれるようになった分、その人たちに流されないようにしている」という言葉を聞いた時は流石だと思ったが、だから、どんなに曲が売れても、結局4人で完結しているのだな、と思って少し寂しかった。
だから以前、深瀬さんが一人で出演した番組で、ライブ中ダンスを披露した映像が流れた時、
「こういうダークな演出はファンと楽しんでるって感じですね」
とはにかみながら言っているのを聞いて、少しだけ泣いた。(あまりにも限界オタクすぎる気はするが)
私たちは演者と客だけれど、演者と客だけの関係にはなりたくない。
「おれはあんまりそういうのが伝わりにくい人間だけど、みんなのこと大好きだよ」
と、推しが深夜に突然ツイートした時、ああ、応援してきてよかった、と思った。
もちろん、見返りを求めてファンをしているわけではない。中には、認知されたくて仕方がないファンや、本気で付き合いたいと思っているファンもいるだろうが、それはちょっと違うと、私は思う。
推しが私たちを「ファン」と呼んでくれた。ただそれだけで、心が通じ合ったような気がして、私はなんだか報われた気がするのだ。
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