小野寺史宜 「みつばの郵便屋さん 」
大事件が起こるわけでもなく、淡々と進む物語は、少し物足らなかった。
いつも小野寺作品の主人公には魅了されてしまうのだが、秋宏は「いい人」の香りが少しキツかった。
街の住人達は、普通はそれぞれお互い交わらず、いやむしろ、交わることを避けつつ暮らす。でもこの「みつば」の街は、その孤立した核を郵便屋さんが訪れ、少しずつ、糸で結んでいく。どの街でも起こることではない。この郵便屋さんが律儀で仕事熱心でいつも配慮を忘れないから、住民達も、つい心を開いてしまうのだ。実際、みつば住民以外の人達を糸で結ぶのは難しいみたいだから。
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