キミは、もうきっと僕のことなんて
覚えていない。
僕はキミのこと覚えているのに、
キミはそんなことすら知らない。
でも、キミが抱えていたものを
僕は同じように気づかなかった。
綺麗な光が僕を夢の世界へと誘う。
でもそれは、あくまで僕の空想。
キミにとっての矛盾も僕の前では
美しい物語となる。
この先もキミと気持ちが通うことはないんだね。
僕たちは、もう他人なのかな?
その答えは誰に聞けばわかるのかな?
キミ?それとも僕?
「蛍になりたいな〜」
独り言のように、遠い願い事のように
君は言うから僕は無責任なことを言った。
「なれるよ」
でも、キミは笑うから、何も疑わなかった。
どうして僕に教えてくれなかったの?
キミが隣にいないなら、僕だって蛍になりたいよ
でもキミのことを忘れてしまうくらいなら
僕は人の皮を被った、何かでいるよ。
キミは、寂しそうに笑った。
「また来年」
あえて意地悪を言ってみたけれど
結局、どれがキミなのかわからなかった。
「もう、戻れないよ」
頭の中で囁く彼女に、僕は呆れたように言った。
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私も亡くなった祖母に、
ひとりごとを話すときがあります。
でもそれを「ふたりごと」だと信じています。