4️⃣ P650K単独でのサウンドプレートの周波数特性
ダクトから放出される定在波を抑えるために、天板、並びに第一キャビネット片側面にポリエステル吸音シートを少量はり、底板には5mm程に薄く剥いだフェルトを敷きました。
吸音材やツイータ、ダクトなどを全て取付けた状態で、P650K単独でのSPL周波数特性とインピーダンス特性を測定した結果を図4に示します。
図4 P650K単独での SPL並びにインピーダンスの周波数特性(ツイータ軸上30cm)
インピーダンス特性を見ると、山が三つと谷が二つあります。谷の周波数に注目すると、300Hzと120Hz付近にあり、シミュレーションでの第一ダクトと第二ダクトの共振周波数とほぼ一致しています。
SPL周波数特性は、シミュレーションと異なり凸凹していますが、比較的フラットで全体的な傾向は概ね想定通りになっています。
最低再生周波数はシミュレーションと同じ90Hz程度です。400Hzと3,500Hz付近では大きなディプを生じ、17kHz以上で音圧が急激に低下しています。400Hzでのディブはダブルバスレフ特有のものですが、想定よりも5dB以上深くなっています。3,500HzでのディップはP650Kユニットのエッジ共振によるものです。12.7kHzに見られるビークは、振動板のBreak-upです。これ以降、ボイスコイルの駆動力が正しく振動板に伝わらないために音圧が急激に低下します。
ツイータ軸から15°、30°での軸外特性 SPL変化測定しました。併せて軸上特性も示します。
図5 P650K単独でのツイータ軸からの軸外特性(0°、15°、30°)
7kHz位からSPLが低下し始めて、軸外角度が大きい程、低下が大きいことがわかります。軸外角度15°でも、12kHzから20kHzで10dB以上音圧が低下しています。
このP650Kユニット単独の状態で、バッハの無伴奏チェロ組曲やトッカータとフーガを聴いてみました。なかなかスケールの大きな、迫力のある音がします。また、FMで人の声を聞くと、男性も女性も、声が明瞭に聞き取れます。ツイータ無しでも、TV専用スピーカとしては充分満足な性能があるようです。
〈続く〉