スポイチ編集長日誌

最近はGTAオンラインの攻略ばっかりです。
日付そのままで修正・追記したりします。

高齢層はまだGoogle Street Viewを知らない

2008年08月17日 | 社会
話題になってますね、Google Street View。

サービス開始直後から、職質受けてるヒトとか、立ちションしてるヒトとか、火事の直後とか、いかにもこれからですって感じにラブホ入ってくDQ(略)風カップルとか、不法侵入中?の怪しいヒトとか、もう「ネタかよ!?」てな感じでイロイロ発掘されてましたね。

俺も自分家の近くは対応してなかったけど、俺の実家の近くとか試しに見てみたら、近所の知ってるばっちゃんがゴミ出ししてる姿が映ってたりとかして驚愕です。
あのなー、いくら顔がボカしてあるったって、知ってる人が「その場所に居るその人」を見たら、すぐに誰だか特定出来てしまうじゃないか。

祭りにおいても、ブログとかミクシィの日記の些細な記述から絞り込まれて特定された住所へ向けて放たれるバーチャル・スネークとして実戦投入されるのも時間の問題だろう。いや、もうされてたりして。


このグーグルストリートビューについて、
「便利だ、おもしろい」、と言う人が居る一方で、
「気持ち悪い、プライバシーの侵害だ」と言う人も居て、ちょっとした騒ぎになっています。

最初は私もおもしろいなあと思ってましたが、それはあくまで「おもしろい」だけであって、「便利」とは違うと思います。

なぜなら、ストリートビューは、その場所の、「ある一瞬の光景」を切り取った画像を見せているにすぎないからです。

行ったことのない場所や店の外観が事前に分かるのは確かにメリットですが、それでも予想される各種のデメリットを相殺できるものではありません。
また、「行ったことのない場所の様子が分かる」と言っても、一般人にどれほどのメリットがあるかは甚だ疑問です。
なぜなら、そこに写っているのは、2008年の2月だか3月だかの、昼間の一瞬の光景にすぎないから。
時間によってガラリと雰囲気が変わる場所(繁華街や飲み屋街など)や、季節によって様子の変わる場所(海水浴場の近くなど)についてはあまり参考にならない。
この辺のことは、今後リアルタイム性を高めることにより解決できますが、そうなる前にこのサービスは危機を迎えると思います。
ですが、いまのところこのサービスが潰れるような気配はありません。
なぜでしょうか。


グーグルストリートビューに対しての、ネットの中での反応を見ると、どうも有名人の中には肯定的な意見が多いように見えます。
特に「顔出しOK」で活動している人は、この種のサービスに対して拒絶感が薄く、単純に面白がっていたり、技術的なプラス面を評価しているようです。なぜそうなるのかを推測すると、彼らは「自分の知らない人間」から一方的に「見られる」ことに慣れているから。
つまり、「自分は相手を知らないが、相手は自分の顔を知っている」という関係が多いし、そのことを現実として受け入れなければ、彼らの活動は成り立ちません。

しかしながら、ストリートビューが一般人から気味が悪いという印象を持たれる理由の一つは、その容赦の無い「カメラからの視線の近さ」にあるのだと思います。

よくあるストリートビューを肯定する、あるいは「ストリートビューは気持ちが悪い」という意見を否定するものとして、「グーグルマップやグーグルアースが登場したときには何も言わなかったくせに、グーグルストリートビューに拒否反応を示すのはおかしい」云々というものがあります。

しかし、グーグルマップやグーグルアースでは、対象に近づけるのはせいぜい地上50メートルとかまでで、しかもそれは真上からのアングルのみで、画像もピンぼけです。
そしてそこには基本的に人間の全身像や個人の生活ぶりは写りません。
ところが、グーグルストリートビューでは、カメラは対象まで数メートルの距離まで容赦なく近づいてきます。しかも横や下から。そして、その光景を即物的に切り取っていきます。


ストリートビューへの異議として、「日本独自の文化」がどうとかなどと言い出すからややこしくなる。
このグーグルストリートビューは、

グーグルマップやグーグルアースとは比べ物にならないくらいにカメラからの距離が圧倒的に近いために、単なる地図情報サービスの範囲を超えて否応無しに一般人の生活風景を切り取ってしまう

ことが問題なのです。

それでも、いまのところは表面的にはストリートビューのサービスが続いているのは、日本人がこのサービスを受け入れたから、ではなくて、単にこの国における物事の決定権を持っている層、言い換えると、マスコミや政治家が何を取り上げるかについての大きな影響力を握っている層、すなわち高齢層が、グーグルストリートビューの存在そのものをまだ知らないというだけのことです。

いいえ、彼らはストリートビューどころか、「グーグルマップ」や「グーグルアース」のことさえ知りません。
事件が起こったときにニュース番組で使用されるグーグルマップの画像でさえ、「テレビ局が使用申請して公開される何か特別な許可をとって使っているもの」ぐらいに考えていて、まさかネットを使っている人間なら誰でも見られる性質のものだとは思ってもいないようです。
なもんだから、まさかネットで自分の家の庭やら愛車やら洗濯物やらが晒されているなんて、まさかまさかの思考の蚊帳の外なんでしょう。

今後ストリートビューが有名になり、ネットに無知な高齢層もその存在を知れば、風向きは一気に変わると思われます。


思うのですが、こんなサービスを本気で必要としているのは、よほどの方向オンチで、もはや普通の地図やグーグルマップなどでは目的地にたどり着けないというレベルの方々ではないでしょうか。
そうであったとしても、対象とするエリアは、せいぜい都市部の主要な駅前等に限定すべきでしょう。

世の中には「地図を見ても位置関係がサッパリ把握できない」人々は現実に居て、しかもおそらく人類の約半分がこの種の人々ですので、この人たちのことを「バカだなあ」などと切り捨てることは避けたほうが賢いのでしょうが、それでも、彼らの為にストリートビューを大々的に公開するのは、3Dカーナビを売るのとはわけが違います。
確かに、自分の進行方向に対して地図をさかさまにして見てたりして、地図上でも自分が上に向かって進んでいないとパニックを起こすような人々や、3Dカーナビをありがたがっている人々の一部は、このサービスを歓迎していそうではありますが。

このストリートビューについては、地図か上空からの映像で十分なところを、横からの3Dの画像にしなければ理解できない、という人々が得られるメリットよりも、はっきり言ってもはや犯罪とか何かしらの「よからぬこと」に悪用されるリスクしか思い当たりません。

Google マップ ストリートビューのまとめのサイトでも紹介されてましたが、こんな路地の住宅地の光景を、誰が必要としているんですかね?犯罪者以外で。


ある技術が一般的になって敷居が下がり、利用者が増えてくると、それに比例してバカなユーザーが増え、バカなユーザーが増えると悪用する者が増える、という鉄板な原則にハマるのも近いのではないか。

要するに、

グーグルストリートビューって一体誰が得するんだよ?

ということです。


では、このサービスが中止や縮小、サービス内容の大幅見直しに追い込まれるためには、どんな要因がありうるか。

この国では、そんなのカンタンです。

「ストリートビューで被害者物色か 暴行容疑で逮捕の男」
とか、
「ストリートビューでいじめ。”お前ん家ってボロイな”小学生男児が不登校に!」
とか、
「”塀に政党のポスター” ストリートビュー身元調査で不採用に」
とか、
「駐車所に高級車」「ストリートビューで下見」「一家強殺の男が供述」
などなど、いろいろと事件が起こって、それがマスコミによってストリートビューと関連付けられて報道されればいいのです。

え?ストリートビューだけ見て犯罪するような奴は居ない?必ず自分で下見もするはず?
たしかに、その通り。ストリートビュー「だけ」のせいで犯罪が起こるとは思えません。
しかし、この世の中では、実際にどうなのかなどとは関係なく、一旦、「容疑者がストリートビューで見て…」という供述をしたらしい、ということがマスコミによって流されれば、それでよいのです。
そして、その「報道」に対して政治家や官僚が反応を示し、それを高齢層がマスコミを通じて見ればいい。それだけで目的は達成される。
そう、なにかと騒がれる「ゲーム」や「ネット」と犯罪の関係と同じことです…。

つまり、そういう「ストリートビューが原因」という方向の報道に対して、ソッコーで毎度お馴染み官房長官とかが「本当に問題は無いのか」「よく考えてもらいたい」とか談話を出して、それがまたマスコミネタになり、マスコミを素朴に信奉している高齢層はその時点になってようやく、「こんなモノがあるのか!?」とストリートビューの存在を知ることになる。
そして、マスコミによる「ストリートビューマジでヤバイ!」というキャンペーンに接した彼らが、ストリートビューに対して猛烈な拒絶反応をひき起こし、さらに高齢層の声を無視出来ない政治家が反応し…と、連鎖の嵐が起これば、それでいいのだ。

その嵐に、はたしてストリートビューとグーグル社は耐えられるのか?

私は耐えられないと思います。
そこまでしてこんなサービスを続けるほどの意義は見当たりませんから。

そうなる前に、オモシロ映像を発掘したり、バーチャル旅行やドライブを楽しんでおくのがいいのではないでしょうか。


道は既に踏み固められ、草は枯れました。一旦火が点けば燃え上がるのはあっという間でしょう。

もしストリートビューに不満があるなら、訴訟(笑)なんかやって貴重な時間を潰すよりも、老人を利用するほうがこの国では圧倒的に早い…。


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