スポイチ編集長日誌

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企業が面接で応募者を見ている時、応募者もまた企業を見ている

2014年11月09日 | その他
企業の面接における「圧迫面接」の話は定期的に話題になりますが、圧迫面接をしている当の人事担当者は相変わらず「応募者のとっさの対応や即応能力を見るため~」とか「ストレス耐性チェック」みたいないつもの言い訳を重ねた後、その程度のことも分からないのかよと悦に入っているようです。人事も鳴かずば撃たれまい

いやさあ、圧迫面接なんてわざとやってるなんてことはみんなもうとっくに承知のうえで、それでも応募者にウソをついたり演技で脅したりするようなことをして本心を探るようなことをしていても、結局は信頼関係の構築のためには悪影響しか及ぼさないよ、という話なのに、相変わらず周回遅れなことを得々としゃべる人事関係者は、もはや企業の評判に害を与える存在でしかないと思います。

なぜなら今時の面接とは、企業(人事担当者)側が一方的に応募者を観察する場ではなく、企業もまた、応募者によって観察されているからです。

面接の時に観察されているのは企業も同じなのです。


■就活生はなぜ黒いリクルートスーツを着るのか
よく、採用活動は男女関係やお見合い・結婚にもたとえられます。
男女関係と採用活動との相似は、面接だけでなく、労働者の採用後についても見られることで、男女関係において「付き合う前はまともそうに見えた人が実は……」ということが決して珍しくないのと同様に、就職・転職においても、入社前は良さそうに見えた会社(労働者)が、入社(採用)してみたらとんでもない地雷・クソカスフンだった!!ということもまたよくあることなのです。
そういった事態を出来る限り防ぐために、企業側は組織防衛のためにも、どんな特徴を持った奴を採ってはいけないとか、落とすべき奴の特徴みたいな裏資料は厳として存在しますし、労働者の側にも「ブラック企業の見分け方」みたいなものが出回っているわけです。

たとえば、どんなに「知識人」が「就活生の黒リクルートスーツなんてくだらない!」と言っても、学生が黒いリクルートスーツを着続けるのは、企業の側がファッションセンスのおかしな学生に「違和感」を感じてこれを回避しようとしているのが明らかだからです。
学生にとっては相手先企業のセンスにぴたりとかなう、相性のいいカモフラージュを用意することはそうそう難しいので、どんな企業であってもそこそこ安定したカモフラージュ効果を発揮する黒いリクルートスーツを着ることで、「悪目立ちによる減点狙撃」を受けないようにしているわけです。


■初めに感じた「違和感」は的中する
男女関係においては、付き合う前に相手から感じたちょっとした違和感・不安感というものは多いと思います。そしてそれは「虫の知らせ」的に後で的中することも多いのです。
たとえば物の食べ方が汚いとか飲み物をベチャベチャこぼすとか、普段は優しいのに時おり目つきがヤバいとか、突然大声を出すとか、冗談めかして蹴ってくるが、その一発が橋本のトラースキックばりに重いとか、こちらのちょっとした一言をきっかけに激昂するがすぐ元に戻るとか、そういう「えっ?今のは何?」という違和感を感じた相手は、まともそうに見えても付き合うようになると豹変することが多いものです。
男女交際において、交際中や交際前に感じた、ちょっとした「違和感」の正体に、付き合い始めてから、または結婚した後になって気づき、やはりあの感覚は正しかった!と思っても後の祭り……ということはよくあります。

労働者にとっての企業も同じであり、企業から見た労働者もまた同じです。

結婚しちゃった後に相手の正体が分かっても、離婚するのはなかなか大変ですし、一度正社員として就職(採用)しちゃった後に辞める(辞めさせる)のもなかなか大変です。


■企業から感じる「違和感」は重要
就職・転職活動においても、活動中に応募先の企業から感じた「違和感」は大切にしたほうがいいということが言えます。
就職・転職活動中にその企業から放たれる「違和感」を感じ取るセンサーを磨くことが、地雷回避には重要になると言えます。
就職転職活動時にきちんと「違和感」を感じ取ることが、ブラック企業・ブラック労働者避けにつながり、双方にとっての利益になるのだといえます。

先のリクルートスーツの話で言えば、企業がおかしなファッションセンスの学生(自社のセンスに合わない学生)を忌避するのと同様に、応募者がおかしなファッションセンスをした経営者・役員・採用担当者に「違和感」を感じることもまた、地雷企業の回避には有効であると言えるのです。

それでは以下に、応募者が企業を観察して「違和感」を感じやすいポイントを、オフィス訪問から面接までの間に絞って取り上げてみます。


■面接の時に企業・オフィス・社員・面接者から受ける違和感の例
●オフィス外側~入口から観察
・企業規模と分不相応に立派すぎる自社ビル
・企業規模と分不相応に都心の一等地にオフィスを構えている
→経営者の「見栄」のツケは、社員の給与で贖われることになります

・オフィスビルが異常にボロい・汚い
→オフィスビルが分不相応に立派すぎるのとは逆に、社屋がボロすぎるのもまた「何かある」と思って間違いないです(会社に金が無い・経営者が変わり者等)。

・同じビルのテナントに公序良俗に反するような団体・企業が入っている
→同じビルにオフィスのある人たちとは何かと顔を合わせることが多いため、必ず同じビルに入っている団体の文化に染まるようになります。経営者が反社や他のブラックの影響を受けてアウトレイジみたいな口のきき方するとか。

・休日・深夜まで煌々と灯りがついている
→言うまでもなく長時間労働や休日出勤が常態化していないかのチェック項目です。一方、長時間労働や残業の常態化を探るために業務時間終了後にオフィスに電話してみるというのは現在ではあまり有効ではなくなっています(就業時間後の外線電話には出ないように指導されている、またはつながらないようになっている会社が増えたため)。

・自社ビルやオフィスの入口に、やたらとでかい置物、存命中の経営者の像とか揮毫が麗々しく飾ってある
→経営者崇拝強要文化の存在を示すものとして有名ですね。

●面接開始までに観察
・すれ違う社員が挨拶しない
→これは大事な項目です。

・社員がガンを飛ばして来る
→「入るな」というメッセージ、またはよそ者はとりあえず威嚇するカルチャーの企業。どちらにせよ悪いサインです。

・社員が明らかに疲弊している
→入社すればあなたもその仲間入りです。

・社員の服装が汚れている(服が汚れる業務を除く)
・社員が不潔
→服とか体の汚れとか気にしている間もないくらいの激務・長時間労働続きの職場です。

・社員が臭い(臭くならざるを得ない業務を除く)
→体の臭いとか気にしている間もないくらい以下略。

・用件を告げても誰も出て来ない、または内線を入れても応答がない
→来客のことなんかいちいち気にしている間もないくらい以下略。

・来客用のスペースの備品が汚れている
→備品の汚損なんかいちいち気にしている間もないくらい以下略。もしくは予算不足。

・トイレが汚い
→有名なチェック項目です。トイレを汚しまくるくらい社員のレベルが低い、または社員の精神状態が荒んでいる。あるいは経営者がトイレなどにかける経費をケチっている。

・オフィスは静かか・うるさいか、明るいか・暗いか
・オフィスから変なかけ声・怒声が響いてこないか
→この辺は労働者と企業文化との相性次第でして、私語厳禁という企業(オフィス・部署)は現実に存在します。普通にコミュニケーションを取りたい人にとっては息が詰まる空間ですが、同僚との雑談など単なる苦痛、喋らないで済むなら気楽という人にとっては、逆に相性がいいということになります。反対に毎朝大声で営業報告をし、毎週末は飲み会、休日はスポーツ大会、全員で社員旅行(いずれも強制参加)みたいなオッスオッスのオラオラ系の会社には合わないという人もいることでしょう。

●面接時に観察
・採用担当者、管理職が明らかに疲れているor疾病持ち
→入社すればあなたも仲間入りです。

・採用担当者の服装が汚れている・臭い
→体の臭いとか気にしている間もないくらい以下略。

・その一方で経営者と役員はエネルギッシュでハツラツとしている
→社員の生気を経営者が吸い取る経営をしているから。

・経営者・役員のファッションセンスが変
→あなたとは美意識が合わないということです。入社後も「この会社とは合わないな」と感じる機会が多くなることでしょう。

・職位の低い面接担当人事がいきなり圧迫面接してくる
→問題外・すぐ帰ったほうがいい。

・経営者、役員が面接中にふとしたことで激昂してくる
→かなり危ない会社。入ったら毎日同じ扱いを受ける可能性が高い。


「企業が一方的に労働者を選別することができる」時代はもはや終わりました。現在では企業・経営者・人事担当者もまた、労働者によって観察・峻別され、評判は蓄積されてデータベース化されているのです。



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