スポイチ編集長日誌

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責任者が真っ先に逃げるのは、よくあること

2014年05月21日 | 社会
韓国における「セウォル号」の沈没事故では、船長はじめ船員らが乗客を放置して真っ先に自分たちだけ逃げ出してしまったため、乗客の犠牲者が増大したことが明らかになっています。

船長および船員らが乗客を見捨てて逃げ出したことは同国内でも強い非難にさらされていますが、歴史上においては、「最高責任者が下級の兵士や民間人を置き去りにして自分たちだけで逃亡した」ケースは決して珍しくない、むしろそのほうがよくあることでした。


第二次大戦時の日本軍では、それは多くの指揮官が部下も民間人も見捨ててよく逃げました。
フィリピンで特攻隊の指揮を執っていたものの自分だけ敵前逃亡同然に生還した富永恭司や、ソ連侵攻の報に接するや、徹底的な証拠隠滅の上逃亡、その後もアメリカと取引して生き延びた石井四郎(七三一部隊長)の例はとくに有名でしょう。

指揮官が自分だけとっとと逃げるのは、なにも日本だけのことではありません。
少しさかのぼった1937年の南京攻略戦では、日本軍による南京包囲が完成する前に、まず蒋介石および国民党首脳が脱出。続いて情報を得ていた市の富裕層や有力者らが退去し、南京には兵士のほかは日本軍の侵攻を避けて流入してきた避難民と、下層の流民雑民だけが残されました。
蒋介石から南京防衛軍司令官に任じられた唐生智は、当初「南京絶対死守」を掲げておきながら、南京陥落が確定的になると、わずかな側近を連れて自分たちだけひそかに脱出。この時に南京を守備していた兵らには明確な撤退命令を出さなかったため、多数の兵士が置き去りになりました。結果、統制を失った中国兵は、撤退を敵前逃亡と見なす督戦隊と同士討ちになったり、市内の略奪に走ることもありました。

指揮官逃亡は近代だけのことではなく、一例を挙げると、中世のホラズム帝国では、モンゴル軍による侵攻を受けた当初、徹底抗戦の構えをとっていましたが、国王があっさり逃亡。残された各都市はモンゴル軍による徹底的な破壊と虐殺を受けて、ホラズム朝も滅びることになります。

政治的・軍事的な事情で野戦での迎撃を選択できず、徹底抗戦を呼号して籠城したものの、最高司令官が真っ先に兵と民を置き去りに逃亡したために下級兵士と市民が犠牲になるというパターンは、南京攻略戦時とよく似ています。

また、ソ連の侵攻に際して関東軍首脳が配下の将兵も民間人も見捨てて脱出したこと、そのために多くの犠牲や悲劇が生まれたことは今さら説明を要しません。

福島第一原発事故時、保安院のスーパーバイザーらは、原発事故時において現場と保安院・政府との連絡・アドバイザー役になることを担っていましたが、彼らは真っ先に30km圏から退去しました。
また、東電の社長も事故対応の大変な時期に、単身病院に逃げ込みました。
ある学者はテレビで「安全です実際安全です」と連呼しておいて、大学へ戻るや窓を締め切り空調も止めていたといいます。

このように、脱出時において「“もうヤバイ”という情報を持つ者」は、そのことを他人、すなわち下級の部下や一般人に伝えることは、まずしません。

なぜなら、多数の人間が「脱出ルート」に殺到することにより、自らの脱出や避難が難しくなることを避けるためです。

これは、いわゆる「てんでんこ」とは全く異なる、完全な生存本能・エゴによるものです。

韓国の旅客船沈没事件においては、乗客に対して「安全だから船室にとどまるように」という、結果として偽情報になる放送をしつづけて命を落とした船員は、味方の大将(船長ら)を安全に逃がすための囮になる“すてがまり”の役割を果たしたと言えます。
もしも放送で避難を呼びかけて、多数の乗客が甲板への脱出ルートに殺到したら、船員らが脱出することが難しくなるからです。

すてがまりの目的は、自分が犠牲になって味方の大将を脱出させることですが、その方法には「敵の追撃を防ぐ」というほかにもう一つ、「邪魔になる味方による妨害を防ぐ」というものもあります。

脱出に使うためのリソース(道幅、車両、船舶、救命ボート、航空機)は有限なのです。

パニックに陥った雑兵・下級兵士または一般人が、エライヒトの避難ルートを塞いだり、脱出のための手段の奪うなどということは、彼らにとってはあってはならないことなのです。


ホラーとかパニック系の映画だと、自分勝手に一人で逃げるのは死亡フラグですが、このように、現実ではそういう勝手で卑怯なヤツのほうが、結構生き延びたり勝ち組になったりするのだ、というなんともやりきれない現実があります。

ただし、アジア以外の地域においては、「最高指揮官と一部の幕僚が、部下も配下の兵も保護すべき民間人も置き去りにして自分たちだけスタコラサッサと逃亡した」という例をあまり思いつきません。単に私が知らないだけで、探せばアジア地域以外でもよくあることなのかもしれませんが、主旨とはあまり関係ないのでここでは考えないことにします。

ともかく、日本も含めてアジアでは、「最高責任者が自分たちだけでとっとと逃げ出すほうが常なのだ」という厳然たる事実を胸に、我々雑兵・パンピーももっと狡賢く生き残りを図るべきかと考えます。



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