夕方、彼女から電話がかかってきた。
彼女の母親が、彼女のスマホの留守電に
いろいろ結果を吹き込んでいたらしい。
何があったのか聞きたい彼女。
でも、声を聞くと決意がブレそうだった。
だから出なかった。
代わりにLINEで会話した。
正直に、彼女の親のことを「バカ親」と言った。
ちょっと彼女に悪いなとは思ったが、
もうここまで来たら、自分の気持ちを正直に
伝えようと思った。
それで彼女がどう思っても、仕方ないと決めたから。
「バカ親」だが「かわいそう」とも言った。
大人として成熟できていないことへの哀れみだ。
確かに母親は言った。
「私たちは小さい世界で、小さな幸せを感じながら生きているの」と。
だからかき乱さないで欲しい、とでも言いたかったのだろうか。
それは娘に強要すべきことではない。
自分たちが隠居して、思うことであればいいはずである。
彼女のご両親は、この街の人ではない。
どちらも関西の、別々の県の出身者だ。
転勤族は、地域のコミュニケーションに弱い。
知らない街で、他社との交流を断ち、
ひっそりと暮らしてきたのだろう。
かわいそう・・・かもしれない。
そこに、地元人の男がズカズカと踏み込んできた。
親のスネをかじらせて育てた娘が、
この男にいつの間にかたぶらかされていた。
男の家は百姓。
大学教授の家からすると、株価急落みたいなものなのだろう。
何が結婚だ。身分が違うだろう。
バカらしいが、そういう発想をしたらしい。
会ったこともない男の家を想像し、
異常な拒絶感を受けたのだろう。
そして、男と会わぬまま、拒絶し、拒絶し、拒絶し・・・
拒絶することが、一種のアクションと言い張りたいのだろうが、
そんなのすねた子どもと変わらない表現方法だ。
こうなると、ある意味で本当に「かわいそう」だ。
病気ではないとしても、これが感性なら、治らない。
教授の旦那と意見の相違でケンカでもすれば変わるかもしれないが、
旦那も同じ感性だから、これはもう治りようがあるまい。
彼女のことは好きだ。そこに変わりはない。
突っ込みどころは満載だが、しっかりした子だ。
親の子育ての結果なのだとすれば、それは素直に親も偉いと思う。
なのに・・・
治らないだろう親を説得し、
彼女と結婚できたとしても、
ずっと私は悪者扱いされるに決まってる。
家庭にいいことするのは当然。
駄目なことをしたら、メッタメタ。
相手の意見を聞こうとしない、聞いてもアラ探しのために聞く人間は、
いつまで経っても変わらないのだから、
容易に想像が付く。
彼女と結婚する自信が崩壊した。
彼女をその気にさせ、9年も連れ回したことに罪悪感を感じた。
もっとしっかりした男なら、
こんなにも彼女に時間をかけさせることはなかった。
早く親にさせてあげることもできた。
家庭を持ち、精神的にも自立すれば、
もっと幸せの幅が広がったはずなのに。
もっと早く親にアクションを起こしていたら、
バカ親だともっと早く気付けたし、
別れを切り出すこともできただろうに。
自分が正しいから、何とか打破できるものと信じていた。
でも、甘い考えだったと気付いた。
彼女の親もバカだが、楽観的だった私もバカだった。
悔しさよりも、
敗北感と、彼女への申し訳なさがこみ上げる。
ごめん、申し訳ないとたくさんLINEに打ち込んだ。
彼女が親の言うことを聞いて生きていくのか、
精神的に自立して生きていくのか、
それは彼女に任せ、彼女がきっと幸せになってくれることを、
ただただ、祈ろう。
彼女の母親が、彼女のスマホの留守電に
いろいろ結果を吹き込んでいたらしい。
何があったのか聞きたい彼女。
でも、声を聞くと決意がブレそうだった。
だから出なかった。
代わりにLINEで会話した。
正直に、彼女の親のことを「バカ親」と言った。
ちょっと彼女に悪いなとは思ったが、
もうここまで来たら、自分の気持ちを正直に
伝えようと思った。
それで彼女がどう思っても、仕方ないと決めたから。
「バカ親」だが「かわいそう」とも言った。
大人として成熟できていないことへの哀れみだ。
確かに母親は言った。
「私たちは小さい世界で、小さな幸せを感じながら生きているの」と。
だからかき乱さないで欲しい、とでも言いたかったのだろうか。
それは娘に強要すべきことではない。
自分たちが隠居して、思うことであればいいはずである。
彼女のご両親は、この街の人ではない。
どちらも関西の、別々の県の出身者だ。
転勤族は、地域のコミュニケーションに弱い。
知らない街で、他社との交流を断ち、
ひっそりと暮らしてきたのだろう。
かわいそう・・・かもしれない。
そこに、地元人の男がズカズカと踏み込んできた。
親のスネをかじらせて育てた娘が、
この男にいつの間にかたぶらかされていた。
男の家は百姓。
大学教授の家からすると、株価急落みたいなものなのだろう。
何が結婚だ。身分が違うだろう。
バカらしいが、そういう発想をしたらしい。
会ったこともない男の家を想像し、
異常な拒絶感を受けたのだろう。
そして、男と会わぬまま、拒絶し、拒絶し、拒絶し・・・
拒絶することが、一種のアクションと言い張りたいのだろうが、
そんなのすねた子どもと変わらない表現方法だ。
こうなると、ある意味で本当に「かわいそう」だ。
病気ではないとしても、これが感性なら、治らない。
教授の旦那と意見の相違でケンカでもすれば変わるかもしれないが、
旦那も同じ感性だから、これはもう治りようがあるまい。
彼女のことは好きだ。そこに変わりはない。
突っ込みどころは満載だが、しっかりした子だ。
親の子育ての結果なのだとすれば、それは素直に親も偉いと思う。
なのに・・・
治らないだろう親を説得し、
彼女と結婚できたとしても、
ずっと私は悪者扱いされるに決まってる。
家庭にいいことするのは当然。
駄目なことをしたら、メッタメタ。
相手の意見を聞こうとしない、聞いてもアラ探しのために聞く人間は、
いつまで経っても変わらないのだから、
容易に想像が付く。
彼女と結婚する自信が崩壊した。
彼女をその気にさせ、9年も連れ回したことに罪悪感を感じた。
もっとしっかりした男なら、
こんなにも彼女に時間をかけさせることはなかった。
早く親にさせてあげることもできた。
家庭を持ち、精神的にも自立すれば、
もっと幸せの幅が広がったはずなのに。
もっと早く親にアクションを起こしていたら、
バカ親だともっと早く気付けたし、
別れを切り出すこともできただろうに。
自分が正しいから、何とか打破できるものと信じていた。
でも、甘い考えだったと気付いた。
彼女の親もバカだが、楽観的だった私もバカだった。
悔しさよりも、
敗北感と、彼女への申し訳なさがこみ上げる。
ごめん、申し訳ないとたくさんLINEに打ち込んだ。
彼女が親の言うことを聞いて生きていくのか、
精神的に自立して生きていくのか、
それは彼女に任せ、彼女がきっと幸せになってくれることを、
ただただ、祈ろう。