これは、ナチスが選抜し、わずか数ヶ月間の延命と引き換えに同胞であるユダヤ人の死体処理に従事した特殊部隊であるゾンダーコマンドとして働いていたユダヤ人男性を主人公にした映画で、内容的にも過酷だったけど、方形のスクリーンの中、カメラは殆ど主人公サウルに寄りっぱなしなので息苦しくて、早く映画が終わって欲しいという気持ちと、息子の遺体を埋葬したいというサウルの行動を見届けたいという気持ちに引き裂かれながら異様な緊張感で観てしまった。
ユダヤ教のしきたりなどがわからないと理解できないところもあったけど、サウルのとった行動は人間らしさを取り戻そうとしているようにも思えたというか、ネメシュ・ラースロー監督自身がハンガリー系ユダヤ人で祖先をナチスのホロコーストで失っているとのことで、サウルを通して人間の尊厳を描こうとしていたことが痛いほど伝わってきて、決して何度も観たい映画ではないけど、記憶に残しておきたい1本になった。
ストーリー
1944年、アウシュヴィッツのビルケナウ収容所。ハンガリー系ユダヤ人のサウルは同胞の屍体処理に従事する特殊部隊の仕事に就く。ある日、彼はガス室でまだ息のある息子に似た少年を発見。あえなく少年は処刑されるが、サウルは手厚く埋葬しようと心に誓う。
原題 SAUL FIA
107分
監督
ネメシュ・ラースロー
出演
ルーリグ・ゲーザ
モルナール・レヴェンテ
ユルス・レチン
トッド・シャルモン
ジョーテール・シャーンドル
アミタイ・ケダー
イエジィ・ヴォルチャク
ヒューマントラストシネマ有楽町1 14:40~観客7割程/161席
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