まるで墨絵のようなオープニングから名もなき人たちに捧げる歌が流れるエンドロールまで、一瞬のまばたきもしたくないほど美しい映像に圧倒されっぱなしの104分だった。
出稼ぎ労働者の子供である、いわゆる“留守児童”問題を取り上げながら、捨て猫扱いされる主人公の少年が獅子舞を通じて運命を切り拓くという話なんだけど、2Dなのに3Dのようなリアルな映像で獅子舞の演舞が生き生きしていて、これがどうしてあまり宣伝もされずにひっそり公開されているのか不思議。
日本語吹替版での鑑賞だったけど、主人公のチュン役の花江夏樹さん、同じ名前のヒロインのチュンを演じた桜田ひよりちゃんをはじめ、山口勝平さんや落合福嗣さん、そして大御所の山寺宏一さんなど日本語吹替版のキャストも好演、エンドロールでのんちゃんの歌を聴くことができたのもよかった、次はオリジナルの中国語も聴いてみたいので字幕版も観てみたい。
今回が初公開と思ったら中華映画を届ける「電影祭」で、2022年に「雄獅少年 少年とそらに舞う獅子」として日本語字幕版を上映したとのこと、全然知らなかったけど、反響が大きくて評判を聞きつけた映画配給会社が、日本語吹き替え版の全国公開を即決したとのことで今回の上映にこぎつけたことに感謝、もっともっと多くの劇場で上映してほしい、というかなんならIMAXでも観てみたいかも。
☆あらすじ☆
2世紀ごろ魏晋南北朝時代の中国大陸が発祥とされる獅子舞。現代中国の獅子舞は、前足を担当する1人と、背中と後ろ足を担当するもう1人が獅子となり、そこに楽団も加わって、旧正月や店舗の開店祝いの場などで「招福駆邪」として演じられる。広東の田舎で暮らす少年チュンは家が貧しく、両親は長年にわたり都会の広州に出稼ぎしていた。ある時、自分と同じ名をもつ獅子舞の演者の女の子と知り合ったことをきっかけに、チュンは獅子舞の世界にあこがれを抱くようになる。かわいい女の子を目当てにチュンに誘われ参加したマオ、そしてマオの知り合いのゴウとともに獅子舞チームを結成したチュンは、若いころは町一番の獅子舞の踊り手だったという干物屋の店主チャンに師事し、獅子舞の演者として成長していく。
※映画.comより
キャスト
日本語吹き替え
花江夏樹
桜田ひより
山口勝平
落合福嗣
山寺宏一
甲斐田裕子
監督
ソン・ハイペン
日本語吹き替え版主題歌
のん
原題 雄獅少年 I Am What I Am
104分
G
T・ジョイPRINCE品川2 17:45〜観客数15人程/190席