続・とりあえずの映画鑑賞メモ

「月」(2023/スターサンズ)

《「舟を編む」の石井裕也監督が宮沢りえを主演に迎え、実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の同名小説を映画化。洋子の夫・昌平をオダギリジョー、同僚のさとくんを磯村勇斗、陽子を二階堂ふみが演じる。》

これは観る人を選ぶというか、2016年に相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた大量殺傷事件をモチーフにした同タイトルの小説を映画化したもので、「意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべき」「重度・重複障害者を養うには莫大なお金と時間が奪われる」などの犯人の自説はいまさらながらに許されるものではないとしても、「福田村事件」を観た時も思ったけど、役を生きる役者さんたちの覚悟のようなものが感じられて安易な感想などを垂れ流しにするのが烏滸がましいような気持ちになる作品だった。

そこを敢えて言わせてもらうと事件が起こってからの周囲の反応など、もう少し社会的に踏み込んだ描写もあるのかと思ったので、終わってみれば手の込んだラブストーリーのようにも見えなくもなかったけど、それがある意味救いになっていたというか、子供を失った夫婦の喪失と再生の物語りとして受け入れられたのは、宮沢りえさんとオダギリジョーさんという、題材を変えればおしゃれ夫婦にもなりそうな2人が演じていたからかも。

犯人さとくんを演じた磯村勇斗くんがまた複雑な役どころを好演、嘘を繰り返しつくことによって自分も傷つきながらも物事の本質に迫る陽子を演じた二階堂ふみちゃんも印象的だった。

宮沢りえさんと月といえば、内容的にはまったく違うけど2014年に公開の年下の恋人のために顧客の金を横領してしまう銀行員の女性を演じた「紙の月」を思い出した、あれから10年近く経ったけどますます役者としてチャレンジングな宮沢りえさんのこれからも注目したいかも。

☆あらすじ☆
夫と2人で慎ましく暮らす元有名作家の堂島洋子は、森の奥深くにある重度障がい者施設で働きはじめる。そこで彼女は、作家志望の陽子や絵の好きな青年さとくんといった同僚たち、そして光の届かない部屋でベッドに横たわったまま動かない、きーちゃんと呼ばれる入所者と出会う。洋子は自分と生年月日が一緒のきーちゃんのことをどこか他人だと思えず親身に接するようになるが、その一方で他の職員による入所者へのひどい扱いや暴力を目の当たりにする。そんな理不尽な状況に憤るさとくんは、正義感や使命感を徐々に増幅させていき……。
※映画.comより

キャスト
宮沢りえ
磯村勇斗
長井恵里
大塚ヒロタ
笠原秀幸
板谷由夏
モロ師岡
鶴見辰吾
原日出子
高畑淳子
二階堂ふみ
オダギリジョー

監督
石井裕也

144分

PG12

T・ジョイPRINCE品川2 15:30〜観客30人程/190席






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