《女性の選択の権利としての人工妊娠中絶を題材に、1960年代後半から70年代初頭にかけてアメリカで推定1万2000人の中絶を手助けしたとされる団体「ジェーン」の実話をもとに描いた社会派ドラマ。主人公ジョイを「ピッチ・パーフェクト」シリーズのエリザベス・バンクス、「ジェーン」のリーダー、バージニアを「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバーが演じる。「キャロル」の脚本家フィリス・ナジーが監督を務めた。2022年・第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。》
まずは、出産することで母体が危険にさらされることになっても、母体への配慮より宗教や法律的な観念から形式的に中絶に反対を唱えるお偉いさんたちに反発しながらの、タイトルからしてもっと声高なメッセージを叫んでいる映画と思ったら、静かに話が進んでいくのは意外だったけど、中絶が許されない時代に、安全な中絶ができるように尽力する女性の話として興味深いものがあった。
女性器の描写とか掻爬の様子などかなりきわどいところもあるけど、当時のシカゴの街並みをリアルに再現するために見つけたというコネチカット州のロケ地や1960年代の衣装、暮らしぶりなども見どころ!
“ジェーン”のリーダーで創設者メンバーでもあるヴァージニアを演じたシガニー・ウィーバーの包容力のあるたたずまいもよかった。
彼女たちの尽力で条件付きながら中絶が合法化された1973年の判決から49年が経った2022年に判決が覆るという異例の事態がおこって、2023年時点では14州で中絶をほぼ全面的に禁止する法律があるのだとか、その後のことも映画になりそう。
☆あらすじ☆
1968年、シカゴ。裕福な主婦ジョイは何不自由ない暮らしを送っていたが、2人目の子どもの妊娠時に心臓の病気が悪化してしまう。唯一の治療法は妊娠をやめることだと担当医に言われたものの、当時の法律で中絶は許されておらず、地元病院の責任者である男性全員から手術を拒否されてしまう。そんな中、ジョイは街で目にした張り紙から、違法だが安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな団体「ジェーン」にたどり着く。その後ジョイは「ジェーン」の一員となり、中絶が必要な女性たちを救うべく奔走するが……。
※映画.comより
キャスト
エリザベス・バンクス
シガニー・ウィーバー
クリス・メッシーナ
ウンミ・モサク
ケイト・マーラ
コリー・マイケル・スミス
グレイス・エドワーズ
監督
フィリス・ナジー
原作 Call Jane
121分
PG12
TOHOシネマズシャンテ2 19:45〜観客40人程/201席