一昨日こちらを聴きに行って参りました。
席はなんとと3列21番。
ファンクラブに入っている友人が先行予約で当ててくれました。
席は選べず割り振られます。
ピアノは前キャスターが中央の梁に乗った位置(ソロリサイタルのスタンダード位置)でした。
普段は絶対選ばない席なので、どんな音が聞こえるのかワクワク。
音は頭の上を通り過ぎていくんじゃないかと想像していましたが、全然そんなことがなく、サロンで間近で聞いているような聞こえ方。
全曲に渡ってシフトペダルを使ったppppが多用されていて、ごく繊細に音を聞き分けられるこの席最高だったのでは?!
何よりラッキーだったのは、ピアノ技術者(女性)が、開演間近&休憩中に調整する様子が間近で見られた事。
なんとチューハンが私と同じJAHNのCARBONでした。
弾かれる楽曲をよく理解して重要なフレーズのオクターブ確認や、鍵盤蓋を外す必要のない工具を多用して、限られた時間を有効・フルに活用し、手際よく作業を進めて行きます。
ピアニシモを出すのに必要不可欠な、精密なタッチ調整、音の硬さや煌めき、ぺダルのシフト整音と調整、どれをとっても技術者にとりとても気を使う作業です。
シフトペダルの調整のスタンダードは、ペダルを踏んだ時ハンマーから弦が一本外れるかわずかにかかる動き量を作ることです。
しかしコンサート時は必ず外れる事が必須と感じます。
何故なら弦が一本外れる効果として、音量が落ちるだけでなく、2本の弦振動が開放された残り一本の弦と共鳴し自然の法則に則った複雑な弦振動を生むからです。
音量は小さくなり、ソフトで、太い、音が伸びている時間の長い、まろやかな音が生まれるのです。
彼のピアノの醍醐味のひとつに、オーケストラのような表現力が挙げられると思います。彼の持つ指のコントロール性と音楽性の賜物であります。
メロディは自ずと耳に入ってくるので、私は内声の響きに特に耳を傾けて響きを十分に楽しませてもらいました。
その内声の響きの芳醇さを表現するのに、シフトペダルの多用は大きな役割を担っていたと感じます。