伊藤隆道展

2006-04-30 | ART
今から25年前、札幌大通公園に立った1本のイルミネーションツリー

から札幌の冬の風物詩、ホワイトイルミネーション始まった。


そのツリーをデザインしたのが、北海道で生まれ育った彫刻家、

伊藤隆道。


日本の照明デザインの基礎をつくり出した一人でもある伊藤隆道は

その後、札幌のホワイトイルミネーションのほとんどを手がけ、

現在に至ってるという。




彫刻家、伊藤隆道の作品は道立近代美術館の前庭にもひとつあって

随分前から目にはしていたが、恥ずかしながら作者については

まったく知る由もなかった。


鏡面仕上げのチューブをくねらせた作品といえば、思い出す人も

いるかもしれない。




先日、テレビで彼を取材した番組を見て初めて知ったのだ。


そして今回の展覧会に行ってみた。



作品を形成する素材はほとんどが直径6~200mm位のステンレス

の丸棒や丸パイプ。


それを自由自在に優雅な曲線に曲げて、溶接、研磨して鏡面仕上げに

フィニッシュしたものだ。


そして、それを機械仕掛け(モーター)でゆっくりと回転させている。


計ってみると回転数は4rpm位だった。




一見、適当な曲線と思いがちだが、センターがぶれることなく

綺麗に回っていることから、かなり精度のある形状だという

ことが見て取れる。



これらの作品は札幌市内のよく知っている会社の工場で製作され

ているのだが、設備的にも技術的にもかなり職人技が要求される。


仕事柄、とても興味深く観ることが出来たw。



作品を近くでじっくり見ても溶接、曲げ精度、研磨技術は大したもの。


伊藤隆道の要求するものを具現化する工場の職人たちも相当大変な

思いをしていることだろう。


そのおかげで技術力が上がったとは言っていたが。



ただ、設置するときに作品に付いたであろう手垢が、

ちょっと残念だった。

せっかくの鏡面仕上げが台無し。





前述のように鏡面仕上げされピカピカの作品はすべて、速すぎず

遅すぎずゆっくりと絶妙な速度で回転している。


落とされた照明の中で、綺麗なスポットライトを浴びて生き物

のように艶かしく輝く。


怪しくもどこか知性を感じる雰囲気を醸し出していた。



1本の丸棒を曲げただけの単純な形状であるにもかかわらず、

瞬間瞬間に表情が七変化して見ていて飽きることが無い。




いつも見慣れている絵画やオブジェとは正反対に、こういう動きの

ある作品はとても新鮮に感じた。


と同時にこういうのもアリなのかと衝撃も受けたのだった。




道立近代美術館にて5月14日まで。







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