高く乏しい石油時代

2005-08-04 | コラム
先日、第1回地質調査総合センターシンポジウムとして、

「高く乏しい石油時代が来た」、“21世紀のエネルギーをめぐる問題”

というテーマで、日本学術会議・講堂において、日本とアメリカの

専門家による講演会と、パネルディスカッションが行われた。

その中の一部から抜粋。

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安く豊富なエネルギーとして、ごく当たり前に使ってきた

石油の時代は終わりを告げ始めた。

つまり、今が石油のバランスピーク(2010年と考えているが

2000年だったと言う学者もいる)

であり、とどまるところ石油減耗である。

減耗と言うからには、有限ということであり、

1970年代の石油ショックとは違う。


あの状況は政治的に起こさせたもので、油田にはタップリ

と石油があった。

ところが、今日では石油の有限に直面した。

考えてみれば、地球でさえ有限である。

人類は石油可採量(埋蔵量ではない)の半分を使ってしまった。


まだ半分あると楽観するの大間違い。確かにまだまだある。

しかし、良質のものではない。質の悪いものまで入れれば、

と言う話である。


エネルギー(この場合は石油)を取り出すために使う

エネルギーが、取り出した後のエネルギーを上回ったのでは

意味がない。


EPRが重要になる。EPRとは出力エネルギー/入力エネルギー

の比で、1.0以上であることが大切であることがわかる。

ほとんどの巨大油田は、このEPRが60と高い。

つまりエネルギー効率がいい。


1970年頃のアメリカ油田は20と低い。

そして、1985年には10を下回る。

今では3程度に落ちていると言う話もある。


同じ石油でも、このように油田によってEPR値は大きく異なる。

そして、同じ油田でも生産とともにEPRは低い方へ変化する。


石油は2兆バーレルあったとされる。

その2兆バーレルあった石油は、1兆バーレル使った。

そして、今まで使った1兆バーレルは、取り出しやすいエネルギー

だったが、今後残る1兆バーレルは、多量のエネルギーを使わないと

取り出せないと言うこと。

つまり、いくら残っていても使えないエネルギーであると

いうことである。

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こうしてる間にも、石油はどんどん使われ減り続けている。

確かに大抵の液体は底へいくほど不純物がたまっていて

それを除去するのに、手間がかかる。


最近、じわじわガソリン価格が上がってきているが、

こういう理由もあるのだろうか。

内燃機関の時代も終わりに近づいてきたのだろうか。

また、このことはガソリンだけでなく石油を原料とした

製品すべてに影響してくる。


ずいぶん前から、後何年で石油が無くなると言われ続けて、

今では「オオカミが来た」のようにほとんど何も

感じなくなっていたが、もうそろそろ心の準備くらいは

しておいた方が良いのかもしれない。
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