ものつくりおじさんの制作日誌

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【溶接】半自動溶接の多層盛り

2023年04月29日 | 溶接

皆さん、多層盛りってやりますか?

というか、このブログを見てる人で「多層盛り」が伝わるでしょうか…簡単に説明すると溶接で強度が求められる箇所に使う方法で、溶接金属を何層も重ねて盛る、というやつです。

溶接って経験とか感覚で「この程度盛っとけばいいかな!」ってやってるわけじゃなくて、製作図面に指示があるので、その指示を守って溶接をするわけです。

例によってネット上からパクってきた画像ですが、図面に6㎜だの5㎜だの溶接金属の必要量が指示してあるので、それに従うわけです。

6㎜くらいであれば一回で必要量を溶接できますが、これが8㎜とかになると1回では盛れないのです。溶接は母材と溶加材をアークで溶かし込んで一体化させるわけですが、電流が高くないと溶かし込めない、でも電流が高いと母材が溶けすぎて“アンダーカット”状態になるわけです。

逆に、電流を低くしてゆっくり盛ると“オーバーラップ”状態になります。オーバーラップは溶けてない溶接金属が母材の上に乗っかっただけの状態で、これも溶接欠陥で強度が下がります。

8㎜を超える溶接はどうすればいいのかというと、1層だけでなく何層も溶接を重ねる多層盛りをします。通常は3回ほど盛っていきますが、ものによってはそれ以上に盛り盛りMAXで仕上げていきます。

僕がやったやつじゃないですが、ネットにいい感じの多層盛り画像ありました↓

こんな感じでピラミッド状に溶接金属を重ねて所望の溶接脚長を目指すやりかたです。今回は3層盛りをやってみましょう。

下手なイメージ図ですが、イメージとしては断面図こんな感じです。理想は45°の直角三角形みたいな形で上も下も均等に溶接されていることが望ましいですが、まぁ無理ですが近づけることはできます。10㎜の脚長だったら上下ともに10㎜盛れているのがいいんですがね。

まずは普通のトーチ角度45度くらいで最初の1層を盛ります。あまり溶け込んでペタッとなっても困るので1層目はソリッドワイヤで盛ります。

どうしてもソリッドワイヤだと硬いというか、オーバーラップしがちなのでフラックス入りワイヤに変更して溶け込みやすくします。ペタッと平らになって見た目も良くなります。

トーチの先端は1層目の下際を45度くらいの角度で狙うといいです。1層目の中心くらいに2層目が被るくらいに盛ればいいでしょう。イメージとしては3層目のための棚を作る感じです。大丈夫かな?というくらい棚になっていたほうがちょうどいい感じになります。

下際だけにいっぱいついていますが、これが下の脚長になります。画像では大体12㎜くらいです。ここから3層目にいきますが、3層目は上際の脚長を出していくのでトーチ角度をかなり浅く15度くらいで溶接します。

トーチを浅くして溶接金属を下から上に押し上げていくようにアークを出していきます。普通の角度でやってしまうと、重力の影響で下ばっかり溶接されて上側の脚長が出ません。

 

こんな感じになりました。横から見ると↓です。まぁ概ね45度の直角三角形で上も下も同じくらいに溶接できていると思います。

上手いわけでもないですが、下手なわけでもない、普通の多層盛りです。上手い人はもっとバシッと直角三角形になります。

あと他にもこんな多層盛りもやってみました。細くなる隅部などはどうしても溶け込みが悪くなるので、上からさらに溶接を盛って隅の合流部分を溶かし込んでます。

多層盛りってこんな風にどんどん盛っていくので完成形の脚長をイメージして、何層で仕上げていくかを明確にして始めないといけません。適当に盛っていくと上と下の脚長がアンバランスになっていき、それはそれは大変なことになっていきます…無理に1層で仕上げずに余裕をもって多層盛りするのも結果的によくなりますので、8㎜を超えたら多層盛りでいきましょう。

物によっては10層の多層盛りもあったりとか…嫌ですね



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