■フィシルマの燃える山
【燃え盛る地】
世界の「奇観を呈する地域」といえば、「東の浮島」と並び称されるのが「南の火炎樹の森」であろう。
南部地方をさらに南下すると、赤峰連山と呼ばれる山々があり、その斜面には見る者を圧倒する光景が広がっている。
「火炎樹の森」――それは文字どおり、燃える木々が立ち並ぶ空間である。
火炎樹は他の植物に例えるなら、常緑の針葉樹のような見た目をしている。
ただその葉は常に赤く燃え盛り、火の元素をその身に強く宿す生物でもない限り、焼き尽くされることだろう。
そうしたことから「火炎樹の森」は空気が薄く、猛烈な熱気と乾燥が待ち受けているため、普通の生物が暮らすには過酷すぎる場所といえる。
強烈な火の元素の集まりともいえる「火炎樹の森」は、ある種の異界といってもよい。
森の奥深くある火炎樹の中には、「精霊の火炎樹」と呼ばれる一対の精霊が宿る霊木が存在しているらしい。
そして「精霊の火炎樹」をはじめ、森に集う精霊たちの顔役といわれるのが、美しき炎の女神ブリガンディーネであるといわれている。
【絶望の火吹き山】
物理的な過酷さに加え、「精霊の火炎樹」やブリガンディーネなどの多くの護り手が住まう火炎樹の森を越えることは、人に身には耐えがたき試練といえるだろう。
しかし翼を持つものたちであれば、熱気たちこめる「火炎樹の森」を飛び越えることも不可能ではない。
しかし、「火炎樹の森」の先にあるものは、それを上まわる絶望の景色なのだ。
赤峰の山々を越えた先には、ラストゥラ山脈だ。
その中央、世界の南の最果てにあるのが、世界最大の火山、「火吹き山」とも呼ばれることがあるフィシルマ山である。
「フィシルマ」は、元をたどれば現地の方言で「絶望」を意味する言葉だといわれている。
その名の示すとおり、フィシルマ山を抱くラストゥラ山脈は死の土地といえる場所だ。
周囲の「火炎樹の森」から押し寄せる熱気、高山と燃焼による空気の欠乏、そしてとどめは噴煙を上げ続けるフィシルマ山の存在。
だが、こうした死と絶望を連想させるフィシルマ山にも、確かに生き物は存在する。
それはドラゴンをはじめとする、壮絶な生命力を持つ存在だ。
空高く舞い上がることができる火竜や、溶岩を避け地中を移動できる地竜たちにとって、フィシルマ山の近辺は繁殖や巣作りに邪魔な生物の少ない、心安らかな土地であるようだ。
そしてフィシルマ山の象徴として知られるのが、不死鳥の転生伝説である。
数百年に一度その身を火口へさらし、炎の中から新たな姿で生まれ変わる不死鳥の伝承は、あまりに有名である。
《精霊の火炎樹》《焔火の女神ブリガンディーネ》《不死鳥エスメラルダ》
【ファイア・ドラゴン】
いわゆる「ドラゴン」といえば多くの人が思い浮かべるであろう存在が、ファイア・ドラゴンであろう。
空を悠然と飛ぶ雄々しい姿と、身の内に蓄えた熱を一気に吐き出す灼熱のブレスは、太古の昔から人々を恐怖に陥れ続けてきた。
その姿と凶暴性の印象が強すぎるために忘れられがちなことであるが、ファイア・ドラゴンは極めて高い知性を持っており、さらにその巨体は炎の魔力で満たされている。
ただの大きなトカゲのようなもの……という思い込みでファイア・ドラゴンに襲撃をしかけ、灰と化した騎士の話は、もはや笑い話として伝わっているのだ。
この巨大で残忍なドラゴンにとっては、甲冑に身を包んだ騎士など、猫にとってのネズミ程度の存在でしかない。
そして高い知能を持ちながらも、エモノをもてあそぶようにいたぶるファイア・ドラゴンの性質は、まさしく猫に近いものといえよう。
それでもなお、ファイア・ドラゴンを倒して「ドラゴンスレイヤー」として名を上げようとする騎士や冒険者は、後を絶たない。
そこには勇名を馳せようという野望もあるだろうが、金銀財宝をこの上なく好むファイア・ドラゴンの巣穴をつきとめ、一獲千金を狙いたいという欲望も絡んでいることだろう。
《ファイア・ドラゴン》《レイジング・ブレイズ》
【ベヒモス】
火竜の巣が多く存在することで知られるラストゥラ山脈だが、そこには他にも地竜など、北部地方を中心に住まう巨大生物のねぐらがあることでも知られている。
中でも特筆すべき存在は、地脈をくすぐり大地を揺るがす力を持つといわれる巨獣、ベヒモスだ。
ベヒモスはその巨体で土の元素を操ることで、局地的な大地震を引き起こすことで知られている。
土の元素を操るという性質からもわかるとおり、ベヒモスは土の因子を強くその身に宿す生物であるため、北部地方での目撃例が多い。
しかしベヒモスが自らが起こす地震だけでなく、自然現象としての大地の揺れを好むという説は、あまり知られていない。
この説によると、ベヒモスの生息地域には、必ず地震のきっかけとなる「大地の裂け目」があるというのだ。
つまり、ベヒモスの起こす局地地震は、その裂け目を揺さぶるのが原動力である……というわけだ。
その証拠かどうかはわからないが、ベヒモスはラストゥラ山脈の他にも、水の元素が強いロスウェル火山の近辺でも目撃されることがある。
大地のもっとも大きな裂け目である「火山」には、ベヒモスを強く惹きつける「何か」があることは、確かなようだ。
《クラック》《ベヒモス》
【燃え盛る地】
世界の「奇観を呈する地域」といえば、「東の浮島」と並び称されるのが「南の火炎樹の森」であろう。
南部地方をさらに南下すると、赤峰連山と呼ばれる山々があり、その斜面には見る者を圧倒する光景が広がっている。
「火炎樹の森」――それは文字どおり、燃える木々が立ち並ぶ空間である。
火炎樹は他の植物に例えるなら、常緑の針葉樹のような見た目をしている。
ただその葉は常に赤く燃え盛り、火の元素をその身に強く宿す生物でもない限り、焼き尽くされることだろう。
そうしたことから「火炎樹の森」は空気が薄く、猛烈な熱気と乾燥が待ち受けているため、普通の生物が暮らすには過酷すぎる場所といえる。
強烈な火の元素の集まりともいえる「火炎樹の森」は、ある種の異界といってもよい。
森の奥深くある火炎樹の中には、「精霊の火炎樹」と呼ばれる一対の精霊が宿る霊木が存在しているらしい。
そして「精霊の火炎樹」をはじめ、森に集う精霊たちの顔役といわれるのが、美しき炎の女神ブリガンディーネであるといわれている。
【絶望の火吹き山】
物理的な過酷さに加え、「精霊の火炎樹」やブリガンディーネなどの多くの護り手が住まう火炎樹の森を越えることは、人に身には耐えがたき試練といえるだろう。
しかし翼を持つものたちであれば、熱気たちこめる「火炎樹の森」を飛び越えることも不可能ではない。
しかし、「火炎樹の森」の先にあるものは、それを上まわる絶望の景色なのだ。
赤峰の山々を越えた先には、ラストゥラ山脈だ。
その中央、世界の南の最果てにあるのが、世界最大の火山、「火吹き山」とも呼ばれることがあるフィシルマ山である。
「フィシルマ」は、元をたどれば現地の方言で「絶望」を意味する言葉だといわれている。
その名の示すとおり、フィシルマ山を抱くラストゥラ山脈は死の土地といえる場所だ。
周囲の「火炎樹の森」から押し寄せる熱気、高山と燃焼による空気の欠乏、そしてとどめは噴煙を上げ続けるフィシルマ山の存在。
だが、こうした死と絶望を連想させるフィシルマ山にも、確かに生き物は存在する。
それはドラゴンをはじめとする、壮絶な生命力を持つ存在だ。
空高く舞い上がることができる火竜や、溶岩を避け地中を移動できる地竜たちにとって、フィシルマ山の近辺は繁殖や巣作りに邪魔な生物の少ない、心安らかな土地であるようだ。
そしてフィシルマ山の象徴として知られるのが、不死鳥の転生伝説である。
数百年に一度その身を火口へさらし、炎の中から新たな姿で生まれ変わる不死鳥の伝承は、あまりに有名である。
《精霊の火炎樹》《焔火の女神ブリガンディーネ》《不死鳥エスメラルダ》
【ファイア・ドラゴン】
いわゆる「ドラゴン」といえば多くの人が思い浮かべるであろう存在が、ファイア・ドラゴンであろう。
空を悠然と飛ぶ雄々しい姿と、身の内に蓄えた熱を一気に吐き出す灼熱のブレスは、太古の昔から人々を恐怖に陥れ続けてきた。
その姿と凶暴性の印象が強すぎるために忘れられがちなことであるが、ファイア・ドラゴンは極めて高い知性を持っており、さらにその巨体は炎の魔力で満たされている。
ただの大きなトカゲのようなもの……という思い込みでファイア・ドラゴンに襲撃をしかけ、灰と化した騎士の話は、もはや笑い話として伝わっているのだ。
この巨大で残忍なドラゴンにとっては、甲冑に身を包んだ騎士など、猫にとってのネズミ程度の存在でしかない。
そして高い知能を持ちながらも、エモノをもてあそぶようにいたぶるファイア・ドラゴンの性質は、まさしく猫に近いものといえよう。
それでもなお、ファイア・ドラゴンを倒して「ドラゴンスレイヤー」として名を上げようとする騎士や冒険者は、後を絶たない。
そこには勇名を馳せようという野望もあるだろうが、金銀財宝をこの上なく好むファイア・ドラゴンの巣穴をつきとめ、一獲千金を狙いたいという欲望も絡んでいることだろう。
《ファイア・ドラゴン》《レイジング・ブレイズ》
【ベヒモス】
火竜の巣が多く存在することで知られるラストゥラ山脈だが、そこには他にも地竜など、北部地方を中心に住まう巨大生物のねぐらがあることでも知られている。
中でも特筆すべき存在は、地脈をくすぐり大地を揺るがす力を持つといわれる巨獣、ベヒモスだ。
ベヒモスはその巨体で土の元素を操ることで、局地的な大地震を引き起こすことで知られている。
土の元素を操るという性質からもわかるとおり、ベヒモスは土の因子を強くその身に宿す生物であるため、北部地方での目撃例が多い。
しかしベヒモスが自らが起こす地震だけでなく、自然現象としての大地の揺れを好むという説は、あまり知られていない。
この説によると、ベヒモスの生息地域には、必ず地震のきっかけとなる「大地の裂け目」があるというのだ。
つまり、ベヒモスの起こす局地地震は、その裂け目を揺さぶるのが原動力である……というわけだ。
その証拠かどうかはわからないが、ベヒモスはラストゥラ山脈の他にも、水の元素が強いロスウェル火山の近辺でも目撃されることがある。
大地のもっとも大きな裂け目である「火山」には、ベヒモスを強く惹きつける「何か」があることは、確かなようだ。
《クラック》《ベヒモス》
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