■ゾルドイルの黒い沼
【ゾルドイル城砦】
オルクス軍の各地への進出を食い止めるべく、中原南部に築かれた急造要塞、それがゾルドイル城砦である。
「ゾルドイル」とは、古代帝国時代の魔導師ゾルドイルの術式を指す言葉で、かの魔導師は黒曜石を触媒とした技術を培ったことで知られる。
ゾルドイル城砦は、サザン帝国と大学院が巨額を投じてゾルドイルの術式に沿って建造したことにより、短期間で築かれたにもかかわらず堅固な守りを誇るものとなる――はずであった。
エレメンタルストームの影響は、中原地方でも多数見かけられるようになっている。
そしてその影響が、ゾルドイル城砦の近辺にも現れてしまったのだ。
ただでさえ予測不能の事態を巻き起こすエレメンタルストームが、完成間近のゾルドイル城砦を襲ったとき、空前絶後の超自然現象を引き起こした。
それは、一夜にしてゾルドイル城砦の周囲が「黒い沼」で埋め尽くされるという壮絶なものであった。
しかもこの「黒い沼」の一部は「暗黒領域」にもつながっているようで、中原地方北東部に広がる湿原地帯にも空間的につながっている場所があるというのだ。
これは、城砦の各所に施されていたゾルドイルの術式が、エレメンタルストームの力をより増幅してしまったためだという説がある。
いずれにせよ、この広大な「黒い沼」は、オルクスの盟友たる爆殺王の軍勢に利用されることとなった。
そもそも爆殺王の率いるミノタウロスの軍勢は、命知らずの蛮勇で知られる。
黒い沼の瘴気すらミノタウロスたちの士気を下げることはなく、中原で戦う人間とその同朋の種族たちは、爆殺王の軍勢と「黒い沼」のドラゴンどもによって、文字どおり泥沼の戦いに持ち込まれてしまったのである。
【黒い沼】
中原地方北東には「死者の眠る湖」と呼ばれる地域があり、この一帯を近隣の民は「マーシュラント」と呼ぶ。
そして特にマーシュラントの北側に広がる湿原地帯を指す、「黒い沼」という呼称がある。
この湿原地帯の広くは底なし沼として知られ、さらに深い霧で覆われている地域もある。
「黒い沼」の一部には瘴気を放つ場所があり、この瘴気は近づく多くの生物を死に至らしめる毒性を持つことで知られている。
この「黒い沼」にはもともと「沼蛇」や「蛇竜」と呼ばれるドラゴンの眷属が生息しており、人の踏み込めぬ危険地帯として知られていた。
そこへエレメンタルストームが吹き荒れる。
空間を越えゾルドイル城砦にまで広がった「黒い沼」には、さらなる異変が起こっていたのだ。
ドラゴンたちの大繁殖――これにより「黒い沼」に収まりきらぬ獰猛な魔物たちが、今や近隣の人間の集落にまで姿を現しつつある。
《ラスト・スキンク》《マッド・ドラゴン》《百億の沼地》
【毒沼の大蛇ニーズホッグ】
「黒い沼」においてもっとも恐れられていたドラゴンの一頭が、“毒沼の大蛇”の二つ名を持つニーズホッグである。
ニーズホッグの存在は六王国時代から知られており、数々の討伐隊や勇者が挑み、深手を負ったニーズホッグが沼へ沈んでいったという伝承があるものの、たいていはその数十年後には再び姿を現すという生命力の強さを持っている。
「黒い沼」の多くのドラゴンがそうであるように、ニーズホッグは毒物に対してほぼ完全な耐性を持っている。
そして沼に満ちる瘴気をその体内に取り込んで猛毒として貯め込み、獲物に対して吹きつけるという。
《毒沼の大蛇ニーズホッグ》
【魔竜ジークフリード】
世界には、“竜王”と称されるドラゴンが存在する。
歴史的に見ても“竜王”と呼ぶに足るドラゴンはごくわずかであり、そのすべてが悪名か高名で知られている。
いずれも、その生まれが暗黒時代か古代帝国期、あるいはそれ以前にまでさかのぼる存在で、その力は“精霊王”を凌駕し、“竜王”の領域においては伝説に残る六人の魔王にも比肩するほどの力を持つと推測される。
近年に改めて目撃された“竜王”といえば、“火竜”ゲオルギウス、“海皇竜”カドモスが著名だろう。
同じ時代に複数の“竜王”が活動期に入るのは極めて珍しい例であり、エレメンタルストームとの関連を唱える学者も少なくない。
そして今、もっとも警戒視されているのが、「黒い沼」で覚醒したと噂される“魔竜”ジークフリードである。
伝承に残るジークフリードの性質は極めて獰猛かつ邪悪なもので、もしジークフリードの復活が真実であれば「黒い沼」の周囲は、その瘴気と邪気によって死の世界へと変貌する……とまで主張する歴史学者がいるほどだ。
言い伝えによればジークフリードは「黒い沼」に住まうすべてのドラゴンたちの王であり、蛇竜たちは世界のすべてを死の沼地へ変貌させようとする“竜王”の手足となって働くというのだ。
しかし、ジークフリードには大きな弱点があるという。
《魔竜ジークフリード》
【ゾルドイル城砦】
オルクス軍の各地への進出を食い止めるべく、中原南部に築かれた急造要塞、それがゾルドイル城砦である。
「ゾルドイル」とは、古代帝国時代の魔導師ゾルドイルの術式を指す言葉で、かの魔導師は黒曜石を触媒とした技術を培ったことで知られる。
ゾルドイル城砦は、サザン帝国と大学院が巨額を投じてゾルドイルの術式に沿って建造したことにより、短期間で築かれたにもかかわらず堅固な守りを誇るものとなる――はずであった。
エレメンタルストームの影響は、中原地方でも多数見かけられるようになっている。
そしてその影響が、ゾルドイル城砦の近辺にも現れてしまったのだ。
ただでさえ予測不能の事態を巻き起こすエレメンタルストームが、完成間近のゾルドイル城砦を襲ったとき、空前絶後の超自然現象を引き起こした。
それは、一夜にしてゾルドイル城砦の周囲が「黒い沼」で埋め尽くされるという壮絶なものであった。
しかもこの「黒い沼」の一部は「暗黒領域」にもつながっているようで、中原地方北東部に広がる湿原地帯にも空間的につながっている場所があるというのだ。
これは、城砦の各所に施されていたゾルドイルの術式が、エレメンタルストームの力をより増幅してしまったためだという説がある。
いずれにせよ、この広大な「黒い沼」は、オルクスの盟友たる爆殺王の軍勢に利用されることとなった。
そもそも爆殺王の率いるミノタウロスの軍勢は、命知らずの蛮勇で知られる。
黒い沼の瘴気すらミノタウロスたちの士気を下げることはなく、中原で戦う人間とその同朋の種族たちは、爆殺王の軍勢と「黒い沼」のドラゴンどもによって、文字どおり泥沼の戦いに持ち込まれてしまったのである。
【黒い沼】
中原地方北東には「死者の眠る湖」と呼ばれる地域があり、この一帯を近隣の民は「マーシュラント」と呼ぶ。
そして特にマーシュラントの北側に広がる湿原地帯を指す、「黒い沼」という呼称がある。
この湿原地帯の広くは底なし沼として知られ、さらに深い霧で覆われている地域もある。
「黒い沼」の一部には瘴気を放つ場所があり、この瘴気は近づく多くの生物を死に至らしめる毒性を持つことで知られている。
この「黒い沼」にはもともと「沼蛇」や「蛇竜」と呼ばれるドラゴンの眷属が生息しており、人の踏み込めぬ危険地帯として知られていた。
そこへエレメンタルストームが吹き荒れる。
空間を越えゾルドイル城砦にまで広がった「黒い沼」には、さらなる異変が起こっていたのだ。
ドラゴンたちの大繁殖――これにより「黒い沼」に収まりきらぬ獰猛な魔物たちが、今や近隣の人間の集落にまで姿を現しつつある。
《ラスト・スキンク》《マッド・ドラゴン》《百億の沼地》
【毒沼の大蛇ニーズホッグ】
「黒い沼」においてもっとも恐れられていたドラゴンの一頭が、“毒沼の大蛇”の二つ名を持つニーズホッグである。
ニーズホッグの存在は六王国時代から知られており、数々の討伐隊や勇者が挑み、深手を負ったニーズホッグが沼へ沈んでいったという伝承があるものの、たいていはその数十年後には再び姿を現すという生命力の強さを持っている。
「黒い沼」の多くのドラゴンがそうであるように、ニーズホッグは毒物に対してほぼ完全な耐性を持っている。
そして沼に満ちる瘴気をその体内に取り込んで猛毒として貯め込み、獲物に対して吹きつけるという。
《毒沼の大蛇ニーズホッグ》
【魔竜ジークフリード】
世界には、“竜王”と称されるドラゴンが存在する。
歴史的に見ても“竜王”と呼ぶに足るドラゴンはごくわずかであり、そのすべてが悪名か高名で知られている。
いずれも、その生まれが暗黒時代か古代帝国期、あるいはそれ以前にまでさかのぼる存在で、その力は“精霊王”を凌駕し、“竜王”の領域においては伝説に残る六人の魔王にも比肩するほどの力を持つと推測される。
近年に改めて目撃された“竜王”といえば、“火竜”ゲオルギウス、“海皇竜”カドモスが著名だろう。
同じ時代に複数の“竜王”が活動期に入るのは極めて珍しい例であり、エレメンタルストームとの関連を唱える学者も少なくない。
そして今、もっとも警戒視されているのが、「黒い沼」で覚醒したと噂される“魔竜”ジークフリードである。
伝承に残るジークフリードの性質は極めて獰猛かつ邪悪なもので、もしジークフリードの復活が真実であれば「黒い沼」の周囲は、その瘴気と邪気によって死の世界へと変貌する……とまで主張する歴史学者がいるほどだ。
言い伝えによればジークフリードは「黒い沼」に住まうすべてのドラゴンたちの王であり、蛇竜たちは世界のすべてを死の沼地へ変貌させようとする“竜王”の手足となって働くというのだ。
しかし、ジークフリードには大きな弱点があるという。
《魔竜ジークフリード》
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