
■秘密の花園
【世界樹の森】
ジオテラン――それは北部地方に広がる世界最大の森林地帯を指す言葉である。
単なる森と形容するにはあまりに広大な地域であり、その中には数々の集落や産地などが存在している。
ジオテランの森には、草花や木々の他にも数え切れぬほど数多くの生物が生息しており、その中にはゴブリンやコボルドといった、知能を持った種族も少なくない。
北部地方において人間と同等の勢力を誇るといわれる知的種族の代表格のエルフも、大半はジオテランの森で日々の生活を営んでいる。
エルフは人間からは「森の番人」と呼ばれるほどに、森林での生活に適応しており、森の変化を嫌う傾向がある。
そのエルフたちが守るジオテランの森の最奥に、「世界樹の森」と呼ばれる聖地があるという。
「世界樹の森」への道はエルフによって固く閉ざされており、聖地を侵入者から守る彼ら自身にとってすら禁制の地とされているという。
そこには世界創生の頃からあるとも噂される世界樹が存在し、エルフの古代種であるハイエルフと、世界樹の眷属たるトレントたちの楽園であるらしい。
世界各地に広がるエレメンタルストームの影響は、ジオテランの森にもあらわれ始めている。
近ごろ、平和と安定の象徴であるとされている「世界樹の森」へも、その影響が表れ始めているのではないかという噂が、まことしやかに囁かれはじめている。
【花園の歌姫】
長寿なことで知られるエルフたちだが、それよりもさらに長寿といわれる古代種がハイエルフである。
ハイエルフは魔法を扱う術と、それと同等に魔法へ抗う術に長けている種族とされているが、ジオテランの森より外でその姿を見かけられることが少ないこともあり、正確なところは定かではない。
実際にエルフとハイエルフにどのような差があるのかを学術的に示した資料も乏しく、ハイエルフは太古より存在は確認されているものの、いまだに謎の多い種族でもある。
ハイエルフはエルフにとっての指導者的な立場を取る者が多いという説もあるが、何よりも特殊な風習は「花園の歌姫」と呼ばれる巫女たちの存在だ。
「花園の歌姫」は森を守る巫女として知られる。
彼女たちはエルフと比べても抜きん出た植物への知識を持っており、その歌声で森の草木を育み、小さな草花の意思すら感じ取れる感受性を持つと信じられている。
一説によれば、ハイエルフの娘たちにとって「花園の歌姫」はあこがれの存在であるらしい。
というのも「花園の歌姫」として認められた娘には、その名のとおり自分だけの「花園」と呼ばれる領域が与えられるからというのだ。
森の草木を守る限りにおいて、「花園」の管理や、実りの分配などは「花園の歌姫」に一任されるという。
緑を愛するハイエルフにとって、これほどの栄誉はないというわけだ。
「花園の歌姫」たちの「花園」はジオテランの森の奥、「世界樹の森」を取り囲むように点在している。
それは、「世界樹の森」の秘密を守る、最後の砦でもあるのだ。

《花園の歌姫》《十年樹のトレント》《ダーク・ヴァイオレット》
【花園の歌姫マドレーヌ】
同じ時代に十数人~数十人が存在するといわれる、「花園の歌姫」たち。
その中でも、フロマージュやプラリーネといった著名なハイエルフとならぶほどに長年にわたって歌姫を歴任しているのが、「夏の歌姫」とも呼ばれるマドレーヌである。
マドレーヌは強い光の魔力を持つことで知られ、彼女の「花園」は一年をとおして夏のように雄々しい緑に満たされているという。
ハープの名手であるマドレーヌは、他の歌姫たちもそうであるように、風にメロディを乗せ、枝を躍らせ木々のざわめきを引き出し、生命あふれる緑の賛歌を森に響かせる。
光り輝くマドレーヌの姿と歌声に触れた若木は、ときに一日で大木にまで育つこともあるという。

《花園の歌姫マドレーヌ》
【花桃蟲アッサム】
ジオテランの森には、実に多種多様な生き物が存在している。
歌姫たちの「花園」にも、草木の他に鳥や小動物、蝶や花虫が姿を現す。
ことに植物への共感能力が強い歌姫たちだが、中には幼き歌姫アマレッティのように、獣と心を通じることができる者もいるのだ。
逆に歌姫たちの「花園」では、彼女たちの慈しみの歌声を聴き育つことで、秘められた「力」に目覚める生き物もいる。
「花桃蟲」とも呼ばれる巨大昆虫アッサムは、そうした経緯で大きく、そして理知的に育った存在だといわれている。
その二つ名は、桃の花のように優しい芳香を放つことに由来するという。
アッサムは「花園」で育つことにより森と一体化し、本来は存在していたであろう食欲すらも捨て去ったようだ。
「花園の歌姫」たちによれば、意外にもアッサムの巨体を支えるのには、草木と同じく水と太陽の光だけで十分なのだという。

《花桃蟲アッサム》
【世界樹の森】
ジオテラン――それは北部地方に広がる世界最大の森林地帯を指す言葉である。
単なる森と形容するにはあまりに広大な地域であり、その中には数々の集落や産地などが存在している。
ジオテランの森には、草花や木々の他にも数え切れぬほど数多くの生物が生息しており、その中にはゴブリンやコボルドといった、知能を持った種族も少なくない。
北部地方において人間と同等の勢力を誇るといわれる知的種族の代表格のエルフも、大半はジオテランの森で日々の生活を営んでいる。
エルフは人間からは「森の番人」と呼ばれるほどに、森林での生活に適応しており、森の変化を嫌う傾向がある。
そのエルフたちが守るジオテランの森の最奥に、「世界樹の森」と呼ばれる聖地があるという。
「世界樹の森」への道はエルフによって固く閉ざされており、聖地を侵入者から守る彼ら自身にとってすら禁制の地とされているという。
そこには世界創生の頃からあるとも噂される世界樹が存在し、エルフの古代種であるハイエルフと、世界樹の眷属たるトレントたちの楽園であるらしい。
世界各地に広がるエレメンタルストームの影響は、ジオテランの森にもあらわれ始めている。
近ごろ、平和と安定の象徴であるとされている「世界樹の森」へも、その影響が表れ始めているのではないかという噂が、まことしやかに囁かれはじめている。
【花園の歌姫】
長寿なことで知られるエルフたちだが、それよりもさらに長寿といわれる古代種がハイエルフである。
ハイエルフは魔法を扱う術と、それと同等に魔法へ抗う術に長けている種族とされているが、ジオテランの森より外でその姿を見かけられることが少ないこともあり、正確なところは定かではない。
実際にエルフとハイエルフにどのような差があるのかを学術的に示した資料も乏しく、ハイエルフは太古より存在は確認されているものの、いまだに謎の多い種族でもある。
ハイエルフはエルフにとっての指導者的な立場を取る者が多いという説もあるが、何よりも特殊な風習は「花園の歌姫」と呼ばれる巫女たちの存在だ。
「花園の歌姫」は森を守る巫女として知られる。
彼女たちはエルフと比べても抜きん出た植物への知識を持っており、その歌声で森の草木を育み、小さな草花の意思すら感じ取れる感受性を持つと信じられている。
一説によれば、ハイエルフの娘たちにとって「花園の歌姫」はあこがれの存在であるらしい。
というのも「花園の歌姫」として認められた娘には、その名のとおり自分だけの「花園」と呼ばれる領域が与えられるからというのだ。
森の草木を守る限りにおいて、「花園」の管理や、実りの分配などは「花園の歌姫」に一任されるという。
緑を愛するハイエルフにとって、これほどの栄誉はないというわけだ。
「花園の歌姫」たちの「花園」はジオテランの森の奥、「世界樹の森」を取り囲むように点在している。
それは、「世界樹の森」の秘密を守る、最後の砦でもあるのだ。



《花園の歌姫》《十年樹のトレント》《ダーク・ヴァイオレット》
【花園の歌姫マドレーヌ】
同じ時代に十数人~数十人が存在するといわれる、「花園の歌姫」たち。
その中でも、フロマージュやプラリーネといった著名なハイエルフとならぶほどに長年にわたって歌姫を歴任しているのが、「夏の歌姫」とも呼ばれるマドレーヌである。
マドレーヌは強い光の魔力を持つことで知られ、彼女の「花園」は一年をとおして夏のように雄々しい緑に満たされているという。
ハープの名手であるマドレーヌは、他の歌姫たちもそうであるように、風にメロディを乗せ、枝を躍らせ木々のざわめきを引き出し、生命あふれる緑の賛歌を森に響かせる。
光り輝くマドレーヌの姿と歌声に触れた若木は、ときに一日で大木にまで育つこともあるという。

《花園の歌姫マドレーヌ》
【花桃蟲アッサム】
ジオテランの森には、実に多種多様な生き物が存在している。
歌姫たちの「花園」にも、草木の他に鳥や小動物、蝶や花虫が姿を現す。
ことに植物への共感能力が強い歌姫たちだが、中には幼き歌姫アマレッティのように、獣と心を通じることができる者もいるのだ。
逆に歌姫たちの「花園」では、彼女たちの慈しみの歌声を聴き育つことで、秘められた「力」に目覚める生き物もいる。
「花桃蟲」とも呼ばれる巨大昆虫アッサムは、そうした経緯で大きく、そして理知的に育った存在だといわれている。
その二つ名は、桃の花のように優しい芳香を放つことに由来するという。
アッサムは「花園」で育つことにより森と一体化し、本来は存在していたであろう食欲すらも捨て去ったようだ。
「花園の歌姫」たちによれば、意外にもアッサムの巨体を支えるのには、草木と同じく水と太陽の光だけで十分なのだという。

《花桃蟲アッサム》
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます