「ぐふふふふ! お久しぶりですな! あなただけのマブ!
黄金熊のモンブランさんですぞ!」
初めて目にしたハーピィたちは……その、なんていうか、
とても解放的で……僕にはちょっと刺激が強いかも。
「ぐふふ、ハーピィは女性しかおらぬ種族ですからな! そもそも恥じらいなどは必要ありませぬ! しかし(略)」
「ぐふふふふ、ブリオ殿!お先ですぞ!」
レパードの背に乗っていたのはぬいぐるみだった。
ええー、先に見たいからってそれはずるい。はっきりいって裏切り行為だ。
そんなことをする相手には、こっちのも
それ相応のやり方がある。
「オークが夜襲をかけてきたようですな。明かりを消します。これを身につけてくだされ、ブリオ殿」
言いながらモンブランが例のポケットから取り出したのは、奇妙な形のゴーグルだった。
「それがあれば、夜でもフリスキー殿のようにあたりを見ることができます! 男の必需品ですな!」
フェレットはくるりとそっぽを向いた。ちょうど僕らに対してお尻を向けた格好となる。
「ほら、ごらんなさい。ヤツは見逃しましたぞ」
いや、違うよモンブラン。
イタチ系のモンスターの肛門には特殊な──
『ごめん、フリスキー! 感覚遮断する!』
ふわふわと舞う、半透明の小さな存在。
「スピリットか。エレメンタルになる前の精霊だな」
「魔剣姫様、なんでそんなんがここにおるんでっか?」
「それだけ、属性値が濃い──ということだろう」
なるほど、モンブランが言っていた通りだ。ってことは、
ここで間違いないってことか。
「くそ、アーニャのヤツ、逃げやがった。結局は男三人で汚れ作業かよ。はあああ、めんどくせえ」
僕はこの展開、予想してたけどね。
「うほ! いい泥竜! 見つけましたぞ!」
モンブランの指さす先。
巨大な大地色のドラゴンがこちらの様子をうかがっていた。
白銀に輝く大きすぎる身体。背には同じく白銀の翼があった。
魔力の輝きがあふれているところを見ると、どうやら起動している様に見える。
「モンブラン、アレって前にオルクスの宮殿で見たことあるやつと同じ規格のゴーレムじゃない?」
「鋭いですな、ブリオ殿。その通りですぞ」
モンブランはくるくると空中で回転した後、まるでムササビのようにマントを両手両足を使って広げ──
「げ! こっちこないでよ! エロぐるみ!」
わざわざアーニャの胸元めがけて飛び込んだ。
あたりに響きわたる、アーニャの悲鳴に似た声。
それは当然、周囲にいる暗殺者にも聞こえるわけで。
「溜めた後のハンマーはシャレになりませんぞ!」
そう叫ぶモンブランの顔にはまだ余裕が残っていた。
轟音とともに壁が砕けたかと思ったら……
土煙とともに現れたのは巨大なタウラスだった。
「モンブラン、ブリオ、フリスキー! みんなを連れて先に行け! ここは私が食い止める!」
「ほっほう、ここまで造形にこだわりなさるとは──さすがは深き森一の人形師殿ですな!」
感心するモンブランの手は、
ドレスを着せられている人形のスカートをまくりあげていた。
まるで悪魔か闇の精霊か。
そんな悪戯っぽい表情を浮かべ、
モンブランがポケットからなにかを取り出した。
「これは蟲殺しの灯火と言いましてな。夜中のうるさい蚊を落とすために開発された、まっこと由緒正しい――」
「その裁く者の廉価版、性能を下げて量産したゴーレムがこいつです。ほら、こやつの腕をみてくだされ」
モンブランが巨大な腕を指し示す。
そこはほこりがつもっておらず、
比較的新しい籠手のようなものが──
「ぐふふふふ、さあその石を人形の口に!」
「拙僧専用のメンテナンスガールです! ぐふふふ!」
「モンブラン、あれって……」
「植物を母体とした人型ホムンクルスのようですな」
そこにいたのは、大きな半透明の袋のようなものの中で微笑む、三つ子のホムンクルスだった。
無数の墓標を吹き飛ばし、
地下奥深くから現れたもの。
「無念の死体で作られた髑髏蛇とは――また、派手なものを作りだしましたな!」
「あんなのが街に行ったら! モンブラン、止めるよ!」
「守りは、この象牙の戦士にお願いしますかな」
ポケットより取り出した小さなアイドルにモンブランが呪文を唱えると、見る見るうちに大きくなっていく。
「これでよし。ささ、シェルハウスに入りましょうか」
ついに巨人同士のとっくみあいが始まってしまった。
僕はため息をつきながら、モンブランにもらった粉を……
液体状の不気味な生物を前に、モンブランが下品な笑み。
「覚えておりますかな、姫様。喜び勇んで飛び込んだ浴場がすべてスライムまみれ……」
「その話はするな!」
「屈強な肉体にしたたる汗! ぐふふふふ!」
「ぐふふふ、ではアーニャ殿。この薬をお飲みくだされ」
意識を回復した僕は目を疑った。
周囲には青い魂のようなものがふわふわと漂っている。
「ようやく気がつきましたか、ブリオ殿」
「モンブラン、ここは……?」
水をたっぷり吸った衣服が思った以上に重い。
なのに、僕の頭の上にはモンブランがしがみついている。
「鮫ですぞ! ほらブリオ殿! 早く逃げなされ!」
そして僕たちに迫り来る、海上の青い三角形。
「スキュラってすごい種類いるよね。しかも大きさもまちまちだし……どういった生態をしているんだろう」
「ぐふふふふ、乙女の下半身に興味津々ですかな?」
まあ、間違ってはいないけど、なんかひっかかる。
純白の大梟が、若き女王の玉座にとまる。
「モンブラン様、お久しぶりでございます」
「ゼノビア殿、大きく美しくなられましたな。あのときのスノー・ホワイトが、まさか女王に就任なさるとは」
門を守るようにして、桃色の悪魔が怪しい動き。
「この夢から覚めるためには、どうすればいいんだろう」
いつもならここでモンブランがいろいろ解説してくれるん
だけど、夢の中では孤立無援。
「アエリア女王様! モンブラン殿の言うとおりです! 今こそトリトン様の凍結を解除するときです!」
「愛ゆえに一緒になれなかったんですな、あのお二人は」
イルカにまたがりながら、モンブランがつぶやいた。
「ゾウがサイにまたがる。ぐふふふ、何とも言えぬ異種格闘技的なアレがあそこに凝縮されておりますな!」
『モンブランの阿呆はほおっておけ。ブリオ、私を構えてコードを解除するんだ!』
黒髪の美少女が、拙僧を誘ってきおりました。
「ぐふふ、ひさしぶりのナマモノ! いいですぞ!」
「ぐふふ、ここは拙僧にお任せをば!」
「ぐふふふ、ドジッ娘サキュバスもいいもんですな!」
「ぐふふふふ、もっとも優雅でかつ紳士的な使用方法を思いつきましたぞ!」
「なるほど、不死の私には髑髏の兵隊というわけか」
「ぐふふふ、姫様、思い切り悪役ですな」
アヌビス騎兵の槍が、モンブランを串刺しにする!
「ぐふっ! 油断しました!」
ぐったりと頭を垂れるモンブラン。
かなりピンチなはずなのに、ぬいぐるみはなぜ笑顔なんだろうか
「すごい! あの女の人、完全にキツネに化けた!? ということはライカンスロープの一種ってこと?」
「一説ではそう言われているけど、真意は……モンブランなら知ってるかもしれないね」
「すごい! あの女の人、完全にキツネに化けた!? ということはライカンスロープの一種ってこと?」
「一説ではそう言われているけど、真意は……モンブランなら知ってるかもしれないね」
「ついに密林の碧鱗王が動いたわ! これで包囲網が完成するわね、ドラジェ!」
「そうだな。しかし、まだ味方と決まってはいない」
「え? だって、モンブランが書状を送ったって……」
「お迎えに上がりました、モンブラン様」
聖戦士を引き連れた、幼くもある種の威厳を持つ少女。
「いやはや、妹姫様じきじきにお出迎えいただけるとは」
「ほむほむ。オマエが、黄金熊の言っていた、召喚術師だね。 話は聞いている、ささ、急ごう」
「ペ、ペンギンがしゃべってる……」
「ぬいぐるみが饒舌な時代に何を驚くのだ、竜姫」
「ハーピィたちが……風に愛されている彼女たちが、空を飛べずにいるなんて……。これがモンブランの言っていた精霊たちの狂宴なのか」
「行くわよブリオ! 早く風神竜に会わないと!」
「モンブランの残した遺産、僕に扱えるかどうか……」
「ぬめぬめの半透明。マニアックな趣向だね」
「誰と話しているのよ、キミは」
「いや、心の中のモンブランと」
「モンブランが残したこのシェルハウスはすごいよ。普通なら数日かかる錬金が数時間でできちゃうなんて」
「ぐふふふふ、呪文にばかり頼っていてはダメですぞ」
黄金熊のモンブランさんですぞ!」
初めて目にしたハーピィたちは……その、なんていうか、
とても解放的で……僕にはちょっと刺激が強いかも。
「ぐふふ、ハーピィは女性しかおらぬ種族ですからな! そもそも恥じらいなどは必要ありませぬ! しかし(略)」
「ぐふふふふ、ブリオ殿!お先ですぞ!」
レパードの背に乗っていたのはぬいぐるみだった。
ええー、先に見たいからってそれはずるい。はっきりいって裏切り行為だ。
そんなことをする相手には、こっちのも
それ相応のやり方がある。
「オークが夜襲をかけてきたようですな。明かりを消します。これを身につけてくだされ、ブリオ殿」
言いながらモンブランが例のポケットから取り出したのは、奇妙な形のゴーグルだった。
「それがあれば、夜でもフリスキー殿のようにあたりを見ることができます! 男の必需品ですな!」
フェレットはくるりとそっぽを向いた。ちょうど僕らに対してお尻を向けた格好となる。
「ほら、ごらんなさい。ヤツは見逃しましたぞ」
いや、違うよモンブラン。
イタチ系のモンスターの肛門には特殊な──
『ごめん、フリスキー! 感覚遮断する!』
ふわふわと舞う、半透明の小さな存在。
「スピリットか。エレメンタルになる前の精霊だな」
「魔剣姫様、なんでそんなんがここにおるんでっか?」
「それだけ、属性値が濃い──ということだろう」
なるほど、モンブランが言っていた通りだ。ってことは、
ここで間違いないってことか。
「くそ、アーニャのヤツ、逃げやがった。結局は男三人で汚れ作業かよ。はあああ、めんどくせえ」
僕はこの展開、予想してたけどね。
「うほ! いい泥竜! 見つけましたぞ!」
モンブランの指さす先。
巨大な大地色のドラゴンがこちらの様子をうかがっていた。
白銀に輝く大きすぎる身体。背には同じく白銀の翼があった。
魔力の輝きがあふれているところを見ると、どうやら起動している様に見える。
「モンブラン、アレって前にオルクスの宮殿で見たことあるやつと同じ規格のゴーレムじゃない?」
「鋭いですな、ブリオ殿。その通りですぞ」
モンブランはくるくると空中で回転した後、まるでムササビのようにマントを両手両足を使って広げ──
「げ! こっちこないでよ! エロぐるみ!」
わざわざアーニャの胸元めがけて飛び込んだ。
あたりに響きわたる、アーニャの悲鳴に似た声。
それは当然、周囲にいる暗殺者にも聞こえるわけで。
「溜めた後のハンマーはシャレになりませんぞ!」
そう叫ぶモンブランの顔にはまだ余裕が残っていた。
轟音とともに壁が砕けたかと思ったら……
土煙とともに現れたのは巨大なタウラスだった。
「モンブラン、ブリオ、フリスキー! みんなを連れて先に行け! ここは私が食い止める!」
「ほっほう、ここまで造形にこだわりなさるとは──さすがは深き森一の人形師殿ですな!」
感心するモンブランの手は、
ドレスを着せられている人形のスカートをまくりあげていた。
まるで悪魔か闇の精霊か。
そんな悪戯っぽい表情を浮かべ、
モンブランがポケットからなにかを取り出した。
「これは蟲殺しの灯火と言いましてな。夜中のうるさい蚊を落とすために開発された、まっこと由緒正しい――」
「その裁く者の廉価版、性能を下げて量産したゴーレムがこいつです。ほら、こやつの腕をみてくだされ」
モンブランが巨大な腕を指し示す。
そこはほこりがつもっておらず、
比較的新しい籠手のようなものが──
「ぐふふふふ、さあその石を人形の口に!」
「拙僧専用のメンテナンスガールです! ぐふふふ!」
「モンブラン、あれって……」
「植物を母体とした人型ホムンクルスのようですな」
そこにいたのは、大きな半透明の袋のようなものの中で微笑む、三つ子のホムンクルスだった。
無数の墓標を吹き飛ばし、
地下奥深くから現れたもの。
「無念の死体で作られた髑髏蛇とは――また、派手なものを作りだしましたな!」
「あんなのが街に行ったら! モンブラン、止めるよ!」
「守りは、この象牙の戦士にお願いしますかな」
ポケットより取り出した小さなアイドルにモンブランが呪文を唱えると、見る見るうちに大きくなっていく。
「これでよし。ささ、シェルハウスに入りましょうか」
ついに巨人同士のとっくみあいが始まってしまった。
僕はため息をつきながら、モンブランにもらった粉を……
液体状の不気味な生物を前に、モンブランが下品な笑み。
「覚えておりますかな、姫様。喜び勇んで飛び込んだ浴場がすべてスライムまみれ……」
「その話はするな!」
「屈強な肉体にしたたる汗! ぐふふふふ!」
「ぐふふふ、ではアーニャ殿。この薬をお飲みくだされ」
意識を回復した僕は目を疑った。
周囲には青い魂のようなものがふわふわと漂っている。
「ようやく気がつきましたか、ブリオ殿」
「モンブラン、ここは……?」
水をたっぷり吸った衣服が思った以上に重い。
なのに、僕の頭の上にはモンブランがしがみついている。
「鮫ですぞ! ほらブリオ殿! 早く逃げなされ!」
そして僕たちに迫り来る、海上の青い三角形。
「スキュラってすごい種類いるよね。しかも大きさもまちまちだし……どういった生態をしているんだろう」
「ぐふふふふ、乙女の下半身に興味津々ですかな?」
まあ、間違ってはいないけど、なんかひっかかる。
純白の大梟が、若き女王の玉座にとまる。
「モンブラン様、お久しぶりでございます」
「ゼノビア殿、大きく美しくなられましたな。あのときのスノー・ホワイトが、まさか女王に就任なさるとは」
門を守るようにして、桃色の悪魔が怪しい動き。
「この夢から覚めるためには、どうすればいいんだろう」
いつもならここでモンブランがいろいろ解説してくれるん
だけど、夢の中では孤立無援。
「アエリア女王様! モンブラン殿の言うとおりです! 今こそトリトン様の凍結を解除するときです!」
「愛ゆえに一緒になれなかったんですな、あのお二人は」
イルカにまたがりながら、モンブランがつぶやいた。
「ゾウがサイにまたがる。ぐふふふ、何とも言えぬ異種格闘技的なアレがあそこに凝縮されておりますな!」
『モンブランの阿呆はほおっておけ。ブリオ、私を構えてコードを解除するんだ!』
黒髪の美少女が、拙僧を誘ってきおりました。
「ぐふふ、ひさしぶりのナマモノ! いいですぞ!」
「ぐふふ、ここは拙僧にお任せをば!」
「ぐふふふ、ドジッ娘サキュバスもいいもんですな!」
「ぐふふふふ、もっとも優雅でかつ紳士的な使用方法を思いつきましたぞ!」
「なるほど、不死の私には髑髏の兵隊というわけか」
「ぐふふふ、姫様、思い切り悪役ですな」
アヌビス騎兵の槍が、モンブランを串刺しにする!
「ぐふっ! 油断しました!」
ぐったりと頭を垂れるモンブラン。
かなりピンチなはずなのに、ぬいぐるみはなぜ笑顔なんだろうか
「すごい! あの女の人、完全にキツネに化けた!? ということはライカンスロープの一種ってこと?」
「一説ではそう言われているけど、真意は……モンブランなら知ってるかもしれないね」
「すごい! あの女の人、完全にキツネに化けた!? ということはライカンスロープの一種ってこと?」
「一説ではそう言われているけど、真意は……モンブランなら知ってるかもしれないね」
「ついに密林の碧鱗王が動いたわ! これで包囲網が完成するわね、ドラジェ!」
「そうだな。しかし、まだ味方と決まってはいない」
「え? だって、モンブランが書状を送ったって……」
「お迎えに上がりました、モンブラン様」
聖戦士を引き連れた、幼くもある種の威厳を持つ少女。
「いやはや、妹姫様じきじきにお出迎えいただけるとは」
「ほむほむ。オマエが、黄金熊の言っていた、召喚術師だね。 話は聞いている、ささ、急ごう」
「ペ、ペンギンがしゃべってる……」
「ぬいぐるみが饒舌な時代に何を驚くのだ、竜姫」
「ハーピィたちが……風に愛されている彼女たちが、空を飛べずにいるなんて……。これがモンブランの言っていた精霊たちの狂宴なのか」
「行くわよブリオ! 早く風神竜に会わないと!」
「モンブランの残した遺産、僕に扱えるかどうか……」
「ぬめぬめの半透明。マニアックな趣向だね」
「誰と話しているのよ、キミは」
「いや、心の中のモンブランと」
「モンブランが残したこのシェルハウスはすごいよ。普通なら数日かかる錬金が数時間でできちゃうなんて」
「ぐふふふふ、呪文にばかり頼っていてはダメですぞ」
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