昨夜、足の腫れ上がったホームレスを見た小学生女子は、帰宅途中に号泣したらしい。家に帰って心を落ち着かせ、寝る前に考えた。「小学生の自分には何ができるのだろう」と。そして今日、彼女はお小遣いで買ったポーチを持って来た。中には歯磨きセット、マスク、絆創膏などがセットされていた。弁当と一緒に公園にいる彼に届けるのだと言う。メンタル面を心配していた我々の想像を遥かに越えて来た。
そこへ、弁当づくり助っ人のSさんが来て、昼にあったことを報告してくれた。彼は寝袋を購入し、たまたま別の用事で一緒にいた区議会議員と、公園にいる彼に会いに行ったらしい。はじめは保護など必要無いと拒否されたが、必死に説得をした。「あなたには生きて治療を受ける権利がある」と。
彼はそれを受け入れ、月曜日に支援者の車に乗って役所へ行き、生活保護の申請をすることになった。過去に騙された経験があり人間不信になっていることも分かった。ここ数日の食糧支援と交流により、彼の凍っていた心がとけたのだ。私たちは喜びあい、できあがった弁当を持って、大雨の中、公園へ出かけた。
公園にある管理事務所の軒下に、彼は座っていた。足元は雨で濡れて、ところどころに水たまりができていた。ここでは横にはなれない。「移動しましょう。体を壊します」座ったまま寝るので必要ないと言う彼を、我々は説得した。皆で彼の荷物を分担して持ち、大雨の中、お引越しをすることになった。もちろん小学生女子も一緒に手伝った。
会館の側面にスペースを見つけ、近所のスーパーからもらった段ボールを敷き、寝床をつくって、弁当を渡した。小学生女子は例のポーチを渡した。彼は感心して「優しいね、君に幸あれ」と言い、女子と握手をした。移動の際に、彼の好きな食べ物を聞くなど、交流したらしい。いつも険しい表情だった彼が、別れ際に柔らかい笑顔になった。
役所は日曜休みなので、保護申請までの残り一日を、無料弁当で食いつなぐ。彼に別れを告げたあと、近所のホームレスの寝床数軒に、弁当を配達した。
いつのまにか女子の傘は風に煽られて壊れていた。母親と仲良く相合傘をして店に戻ると、昨夜の泣き顔の少女の面影はすっかり消えていた。彼女はまたひとつ強くなった。
「悲しくて泣いたんじゃない。自分が何もできないのが悔しかっただけ。もう大丈夫だから」昨夜、帰り道で号泣した彼女は、家に帰ると母親に言ったらしい。
自ら考えて行動し「私も行きたい」と夜周りにもついて来る。
毎晩だと疲れるから時々休んだ方がいいと忠告すると「ぜんぜん聞こえなーい」と耳を塞ぐフリをする。
今夜もよく頑張ったね、リーダー。お疲れ様。
(4/18のTwitterより 一部修正)
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