失語症である為、上手く発音出来ない。
何かを吾に伝えようとしていたが、言葉にならなかった。
先日、介護用オムツと洗濯した着替えを持っていった際、看護師さんの計らいで祖母に会う事が出来た。
一体、祖母は吾に何を伝えようとしたのだろうか...。
取り敢えず、吾は解った振りをして祖母にOKサインをした。
そして病院を後にした。
吾は車に戻り暫く眼を閉じた。
祖母はしきりに吾に何かを伝えようとしていた。
もう直ぐ盆が来るから、墓参りの事なのだろうか...。
9月には祖父の33回忌が来るので、其の事だろうか...。
其れとも、吾がちゃんと食事をしている事や体調の心配だったのだろうか...。
彼是と思いを巡らせていた。
30分はそうしていた。
今となっては祖母の云いたかった事は解らない儘である。
祖母は、今の状態乍らも色々と気を配ってくれているのだろう。
此の間の記事に、祖母が吾の事を忘れたのではないかと書いたが、そうではなかった様だ。
今、独り暮らしとなり寂しさは多少は在るが、感傷的になっている場合ではない。
市役所に、「介護保険負担限度額認定」について問い合わせに行った。
職員から開口一番...
「○○さん、此の申請を出されても却下される可能性が高いですよ」
当事者(祖母)と其の世帯主(吾)の資産の状況、収入、生活の困窮度を調べる様で、世帯にそこそこの収入が在れば、其れで負担出来るだろうと判断するらしい。
困窮していなくとも認定が下りるし、実際に困窮していても認定は下りない。
実際の実生活の状況が幾ら苦しくとも、担当の判断で決まる。
吾はこんな博打の様な申請をする気にはなれず、何とか祖母の年金をぶち込んで足らぬ処を吾の薄給から足して入院費を払う事に決めた。
計算した処、殆どカネは残らぬ。
祖母が元気な時、祖母は食事はちゃんと摂る様にと食費にはカネを使った。
風呂も毎日入っていてガス代も結構掛かっていた。
だが、此れからはそうは行かぬので、食費とガス代、水道代を節約する事にした。
風呂はシャワーで済ませ、湯船に浸かるのは2日おきにした。
冬になれば、湯船に浸かるとして1日おきの入浴にすれば良い。
湯船に湯を張ると水道代も馬鹿にはならぬので、入浴形態を変えれば水道代も変わって来る。
電気代、は其れ程でもなかったので此れに関しては此れ迄通りである。
ガス代の請求が来たので見ると、従来の1/5になっていた。
食費もだいぶ削っているが、バランスを考えて食べる様にしている。
暑さのピークは一段落したと云っても、未だ30度台の日は続く。
齢を重ねると、気持ちと身体は乖離して行く。
無理をせず、毎日を過ごして行きたい。