スミサキ日記

[映画]オッペンハイマー

ひぃ、3時間ある、と思ったのだが、3時間見る価値はあったかな。
罪悪感、殉教者、でもそれも自己陶酔でもあると切って捨てられてしまう。まあ女の敵みたいなキャラなので、いや男女関係ないな、とても好かれるし一方でとても嫌われてもいる(苦笑)、さほど主人公に入れ込まなかったので、かわいそう、悲しい、辛いみたいな感想はないのだが。
国は違えど昭和、戦前の男社会だなぁと。見栄と権力、冷静になって考えると無意味かもしれない度胸試しの、マッチョイムズの世界。いやまあ令和だろうとどこかにはあるんだろうが。(身体的に頑健であるとか、賢いとか、魅力的であるとかで称賛を集めて、集団のリーダー、ボスになるのが最上の世界。権力を持ち、他者を従え、支配する側に立つことが美徳の世界。メンツの世界、任侠の世界の仲間かな。)

そういうマッチョイムズな社会に適応し成功する一方で(功績とモテ具合から、素で相性がいいんだと思う)、そうでない、自然や家族や故郷みたいなマッチョな価値観には合わないナイーブなものも好きで、大切で苦悩する、まあ、普通の男の話ではある、いやまぁ頭脳の方は普通じゃないかもしれないが。純粋で無自覚で、頭が良くて誘惑に弱くて周りがあまり見えてなくて。規則違反や数々の不倫には後付けの理由があるんだろうけど、「このくらいいいだろう、このくらい許されるだろう、だって自分は貢献しているから」みたいな甘えとかおごりがあるんだろう、でもまあ普通のことだよね。普通のことだが、そのスケールというか度合が人を惹きつけ、あるいは嫌われるんだろうなぁ(苦笑)。結果のマッチョが過ぎて、自分でビビり始めるあたりの人間味が嫌いではないし、それまでもそれからも、心理描写の丁寧さ、匙加減がすごく良い映画。主人公以外のもとても良い、ストローズもテラーも…。映像、音ともに、映画館で見たのすごく良かった。

男が社会で生きていくって大変だよね。男尊女卑気味の昭和に生まれたが、生まれながらに社会の半分以下って位置づけにどういうことだと腹がたったこともあるけど、しかし男になりたいと思ったことは一度もない。やつらの世界はやつらの世界で面倒くさそうというか、なぞのマッチョイムズの世界が魅力的に思えたことが一度もない…。(男社会が悪くないと思えたのは、大学生くらいになってバディものやブロマンスものを読んだりしてから。今でもガチの体育会系は、私の知らぬところでやっている分には構わないんだが、近づいてきてほしくない…。)
(社会の半分以下とは。どんなに不出来な男がいようと、女というだけでやつの下にされるので。何なら永遠の半人前、人間と扱われないときすらある。誰かの付属物や従属物、言葉を解す家畜。まあ中世や明治じゃあるまいし、実際にそこまでされたことはないけれども。そこまで行くと、男性でも上にとって使える使えないで奴隷や家畜にされてるやつがいるんだろうなぁ、支配側も実はその仕組みを維持するための歯車、奴隷になっていたりな。つまり役割が違うだけ…いやまあ物理的な恵まれ具合が違うけれど。)

思えばR指定映画初めて見たかも?、ちょっとぎょっとした(R15+だよ)。なるほどね、こういうのが…。特に奥さんへのダメージシーンはすごく効果的だったと思うが、今、私、隣に知らない男性座っているんだよなぁと思うと微妙な心地だった(苦笑)。
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