先月
、「父親たちの星条旗」を見たときから、
絶対見ると決めていた「
硫黄島からの手紙」見てきました・・。
公式ページは・・
こちら
「父親たち・・」では、ほとんど姿を見せない不気味な存在だった日本軍の姿を、今度は真正面から描く141分。
「父親たちの星条旗」のときは、アメリカ側にたって見ていたのに、今度はすっかり日本人側で「映画」を見ている・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/a5/79319176dac10800007668683f1dd201.jpg)
何と言っても、
ギリギリの状態にあっても、部下に対して人間的に接し、
ただ「死こそ名誉」とする当時の日本軍の常識を覆す
「
無駄に死ぬな!」
という考え方で
率先垂範指揮に当たった栗林中将。
「渡辺謙」さんが、非常に魅力的です。
『
今までの日本の戦争映画で、トップたる人が
こんな風に描かれたことがありました?』
それは、彼の家族への手紙にもよく表れていて、家庭的にも、温かい人柄だったことが分ります
映画は、戦況が悪化の一途をたどる1944年6月に、硫黄島に新たに赴任した司令官「栗林中将」を中心に、
身重の妻とパン屋を営んでいた時に召集され、島に派遣された兵士・西郷を「二宮和也」君(ジャニさんのところに所属しているからって、侮るなかれ~~そういえば、かつて16歳頃出演したドラマ「天城超え」も好演でしたっけ)。
ロサンゼルス五輪馬術競技の金メダリストで、栗林の理解者となる西竹一中佐(バロン西)を、「伊原剛志」さん(伊原さんが、当時の日本人の枠を超越している感じが素敵でした)。
島に配属された元憲兵隊のエリート士官・清水役を「加瀬亮」。 旧来の考えに固執し、玉砕を貫こうとする伊藤中尉を「中村獅童」。
この5人をメインに、栗林の赴任から5日で終わるとされた攻撃を36日間持ちこたえた激闘の中で、回想を混ぜながら「戦場の極限状態」における人間模様を、中心に描いていきます。
話は、飛びますが、以前高橋 孟 氏の「海軍めしたき物語」という本 を読んだことがあります。
召集で海軍に配属され、軍艦で「食事」を作ることが仕事だったという人の戦争体験記。「戦争」の持つイメージとは、随分違っていて、一飯炊き兵の視点で「軍隊の非効率性」や「戦争の実態」を語っているところが新鮮でした。 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cups.gif)
この「硫黄島からの手紙」においては、状況こそ全く違いますが、一兵士として召集された西郷に、ふとそんな視点を感じさせられるところも・・(ドンバチの最中に、トイレ?に溜まった糞尿を上官の命令で捨てに行くところとか・・結局あれで、一面に押し寄せる米軍艦隊を目の当たりにする訳ですが)
栗林中将と西郷を平行して描いているところが、この作品が
「戦争映画」という範疇を超えて、「ヒューマンドラマ」になっているところだと思います。回想部分の日本の描き方が、少し変?という感想もなくはないですが、そんな些末なことは、どうでも良くなります。(SAYURIのニッポンより、真っ当かも・・・)
クリント・イーストウッド監督・・・
何よりも、この映画・・「アメリカ人」の彼が指揮をとったという事が、“スゴイ”ことだと・・。
投降しようとする清水らへの“米兵の仕打ち”も、敢然と描いていて
、「父親たちの星条旗」と、「硫黄島からの手紙」を表裏合わせて、「戦争に、英雄も正義もない」という「
戦争の持つ理不尽さ」が胸に沁みる映画でした。
しかし、今尚、硫黄島には、日本兵の遺骨が1万以上残ってるという事実に呆然とする思いがします。