偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●八代英輝氏の「交渉の論理力!」は現代人必読の書だ(笑)

2008年01月30日 18時47分42秒 | ◎ツッコミ思案neo
 弁護士資格も持っているらしいタレントの八代英輝氏の著書「交渉の論理力!―どんな相手も説き伏せる切り返し術」実用性はまるでゼロだが裁判員制度という恐ろしい時代に向かう現代社会への示唆に富んでいるという点で必読書といえる。

 まずこんなどうしようもない内容でも本を出せるというテレビのもつ強大なパワーが怖い。テレビにさえ出ていれば大阪府知事にもなれる時代なのだ。

 商談のときに窓を背にすれば表情が見えないので有利になるなんて20年前の「ビッグ・トモロー」でも没になりそうなネタをいまさら得意げに披露しているが、そんな部屋でブラインドも閉めてくれないような会社は観葉植物が枯れている会社以上に信用されないというものだ。

 終始、商談を裁判やディベートと取り違えたような手法を鵜呑みにして実践してしまったらまとまるハナシもまとまらない。

 まぁ、この本の冒頭にもあるように過去の交渉術に関する本も役立たずらしいので、また同じ轍を踏んだということなんだろうけどタレント本のくせにビジネス書の皮を被っている分、こっちのほうが罪は重い。

 なんだか弁護士っていうのは「論理派」か「熱血感情派」に偏った人たちばかりでバランスが良いのは自分がやっていた裁判官だけだといわんばかりなんだけど、彼の理屈でいえば“相場を知る”弁護士が早くはなしをまとめるいい弁護士なのだそうだ。

 自分以外はバカだという態度はいただけないが、この意見は一理あると思う。だからこそ裁判は過去の判例や刑罰のなりたちに関する知識をもったプロのするべきシゴトなのではないだろうか。

 裁判員制度が導入されるにあたって「相場というものを考えてくれるな」という。確かに相場で考えて精査するという論理的作業ならムズカシイ試験にパスしてきたセンセー方に任せればいいわけで、一般市民の出る幕などなくなる。
 だとしたら感情に任せて裁けというのか?しかも短時間で迅速に…。

 裁判員制度の注意点として「マスコミの報道に左右されるな」とかマスコミ側にも「先入観を与えるような報道をするな」といってるらしいけど、いままで散々、マスコミに煽られて、ボクらのアタマの中にはすっかりと「感情論の相場」ができあがってしまっている。
 プロの法律家と一般人に同じ事例を見せて相当な刑罰についてどう思うかという調査したら一般人のほうがより重い刑罰を科す傾向にあったらしい。裁判員制度導入後は死刑が急増なんてことにならないだろうか?

 危険運転致死とか事件を見て法律の不備とごっちゃに考えてしまうのはキケンというものだ。

 マスコミを利用して「悪人は殺せ!」といわんばかりに拳を振り上げていた人が、こないだ大阪府知事になってしまったというのも象徴的だ。
 別に凶悪犯をかばうつもりもないけれど、ああいう立場の人がああいう方法であのタイミングでってのはいかがなものか?と。

 「社内喫煙がガマンできないヤツは他の会社をやめればいい」なんて法律バラエティの中で言ってたヤツは法律家としても人間としても品性を疑う…なんていうのは感情論?


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