恐るべきアビガンの落とし穴

　新型コロナウィルス感染で入院中のフリー・アナウンサーの赤江珠緒さんが荻上チキ氏のラジオ番組「セッション22」にアビガンの使用についての誤解を解きたいというような旨のメールをよせた。

　アビガンは未認可の薬であるので観察研究という名目で申請し、認められた病院でのみ患者の同意のもと使われているのが現状で、入院した病院がたまたまそういう病院だったというだけ。と説明していたが、芸能人がいきがちな病院というのはあるから恣意的な要素が全く排除されたわれたわけではないと思う。というか「優遇された」のではなく「利用された」可能性があるのではないか。
　トランプ大統領はレムデシビルをやたらと推しているらしいが、自国開発の同薬を誇示するために副作用などデメリットについての説明は控えめで、実は日本もアビガンについて同様のアピールをしていて海外のメディアから批判されている（村中璃子@フジテレビ・バイキング）。

　さて、実はさらに注意すべき点がある。これは荻上氏もふれていたが、アビガンが効いたかすら疑わしいということだ。covid-19はほっといても大半がそのまま快方にむかうからだ。
　今回のことはスパルタ・コーチが「平均回帰」の結果を自分の体罰の効果と勘違いしてしまう例とよく似ている。いかにも日本人が陥りやすいかんちがいのパターンだ。

　新薬のテストとは厳密に行うなら、ダブル・ブラインド・テストという方法をとらなければならない。使用・不使用以外に偽薬（プラシーボ）を与えたグループを設定するわけだ。これは薬が効いたのか効くときかされたので良い影響が出てしまったのか区別するためだ。

　宮藤官九郎につづいてアビガンの広告塔になりさがりそうになったTBSラジオで徐行・一時停止をしてみせた荻上氏はさすがだ。

　それにしても情報を雑庫一掃よろしく再整理するに、そもそものハナシとしてこの自粛は正しいのか？と個人的には振り出しに戻った感なここ数日だ。