偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●ロックミュージカル「トミー」は究極の出オチ映画だ

2006年02月14日 00時51分31秒 | ◎映画・音楽・エンタ
トミー




 金曜日の深夜映画でケン・ラッセル監督の<「トミー」をやっていた。
この映画は英国のロックバンドThe Whoの…というかピート・タウンゼントの原作?によるロック・オペラの映画化だ。
日本で公開されたのは今から丁度30年前の辰年のことだったが、おいらははリアルタイムでは見ていない。
 結局見たのは丁度一回りした辰年。たしかあれは新宿武蔵野館のレイトショーだった。

 見ようと思った動機はThe Whoのファンだったからという正当派なものではなかった。
 実はエルトン・ジョンのベストアルバムを聞いたときに、それに入っていた「ピンボールの魔術師」という曲がサイコーにイカしていると思ったからだ。
 雑誌やチラシに印刷されたスチル写真などで、エルトンが、かなりバカげたいでたちでその映画に出演しているということは知っていた。そのアホぶりを自分の目と耳でたしかめときたかったのだ。

 で、実際に見てみると、予想に違わず、というか期待の何倍以上もくだらなくてイカしていた。映画のノリは超B級なんだけど、キャストの豪華さゆえにゴージャスな出オチの応酬だ。
 クラプトン扮するギターを持った説教師なんて出オチの極み。もう正当的なカッコよさなんてかけらもなく、ただただ失笑なんだけど、そこにいるのは紛れもなくギターの神様なのだという事実。

 注射器片手にヒステリックにシャウトするティナ・ターナーの姉御やレアな歌声を披露するジャック・ニコルソンに、ピート・タウンゼントキース・ムーンはお約束の楽器ブチこわし。

 でもやっぱり一番の存在感を見せているのはエルトン・ジョンなのだ。サーカスみたいにズボンの下に竹馬?はいて長くした足に悪趣味なデカサングラスかけて主人公のトミーロジャー・ダルトリー)とピンボールの対決。なんとエルトンのピンボールマシンには鍵盤がついてる(爆)。
 歌のカッコよさとルックスとの間にギャップがありすぎるゾ。それがミソなんだけど。

 “出オチ映画”というのはタレント人気におぶさった“アイドル映画”とは意味合いが違う。どちらかというと賛辞なんだけどわかってもらえるかな?

 監督のケン・ラッセルはこの映画化の企画が出た時点ではロックに疎く、出演しているミュージシャンたちについてほとんど知らなかったというから驚きだ。だって、この作品に出てくるスーパースターたちの素晴らしいアホキャラぶりは、すべて彼らの個性の延長線上にある雰囲気のものばかりだからだ。ちなみに衣裳デザインは奥さん。こりゃまさに英国の和田勉&エミだ(なんちって)

 とにかくエルトン・ジョンはサイコーなのさ。“ハレカッコイイ”の称号を彼にもあげよう。え?破廉恥でカッコイイってことさ。“ハレカッコイイ”の称号をつけられるのはフレディ・マーキュリーだけだ。ちょっと格はおちるけどデイブ・リー・ロスには“プチ・ハレカッコイイ”の称号をあげようか。

 さて、今回の「トミー」放映はブロードウェイ・ミュージカル「トミー」来日公演をやるのを記念してという、いわゆる宣伝企画放映だ。
 以前フジテレビが映画「ローレライ」の宣伝企画で「Uボート」を放映したときに、これぢゃ合コンに自分より可愛い娘つれてくようなもんぢゃん…などと失笑したものだが、今回もそんな気がしなくもない。

 でも映画を見て究極の出オチだと狂喜するのは、おいらたちのようなオジさん世代だけかもしれんし、ブロードウェイで実績があるのならそれなりの完成度とエンタテインメントは期待できるのだろう。むしろ映画のほうは初公開時に日本での興業成績がふるわなかったのは“出オチ”がすぎたためかもしれないしね(笑)。
 まぁ、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」とか「マンマ・ミーア」みたいに楽曲だよりにはできないからこそ各種演出に創意工夫があるんだろうなというのは想像できる。特にピンボールのシーンなんかはどうやって描くのかは気になるところではある。

エルトン・ジョン@ピンボールの魔術師

●追記2019年9月  アクセス解析をしたら突然この記事ににアクセスがありーの、ツイッター上でたてつづけにトミーをみかけたのでこれは「ロケットマン効果」で流行ってるのかも?  と思いたち、ツイッターでもこの記事にリンクを貼ってはみたが、どうやら流行ってはいないようだ。  だってgoogleで「トミー」と打つと「トミーヒルフィガー」「トミージョン」「トミーズ雅」ってそれよりマイナーなんかい(笑)  シアターセブンのリバイバル上映があるくらい。ま、それだけでも大したもんだが。最近は深読みするのが流行ってるから、ともすればカルト映画と解釈されそうな作品に「出落ち」なんて言うとけしからんとか言われそうなんでネットてちょっと見返してみたけど、やっぱり笑っちゃう。でも、それはそれで正解ぢゃねーのかな。
 「深い」とはちょっと違うけど戦争(特に航空兵)の画を見てて、なんとなく丸尾末広が浮かんでしまった。爆弾に銀玉詰めているという物騒なシーンは「チャーリーとチョコレート工場」だ。  チョコレート工場がトミーの影響を受けてるかはしらんけどケン・ラッセルが丸尾末広の影響を受けていることはないでしょう(笑)
 丸尾先生といえば、最近、突然「オランダさん」とかいう読み切りがのってたけどあれはなんだったんだろう。落ちた穴埋めに大御所?  あと、思い違いを発見。エルトン・ジョンの「Pinball Wizard」を初めてきいたのは1977年のNHK FMだった。実は「トミー」から3曲ほど放送したのをオープンリールでエアチェックしてたのだ。  「オープンリール」「エアチェック」おそらくは現代人には古語でしょうが、今回はふれません。 逆に「エアチェック」をリアルタイムで知ってるって方は

https://twitter.com/seirensha/status/1141687275941535757
も見てちょ。


「ロケットマン」はツイッターでハッシュつけるとへんなアイコンがケツにくっついてるから、流行りもんなのかな?でもコルグとかムーグもついてたことあったからなぁ、アテにはならん。
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