T3研究所

貨物輸送(Transport)、旅客輸送(Travel)、観光(Tourism)の国内外の動向を、独自の視点で発信

マレーシア格安航空会社が12月就航

2010-09-23 13:07:16 | 日記
マレーシアの格安航空会社エア・アジアXは12月9日に羽田/クアラルン
プール線の運航を開始する。
就航にあわせ、羽田ークアラルンプール区間で15-20%程度の席数を片道
なんと5000円に設定したキャンペーンを展開し、低価格を武器に日本での
低い認知度を向上させ。販売拡大につなげる。

 使用する機材はエアバスA330型機で、エコノミー(片道1.4-7万円)が
365席、格安航空業界では初めてのフルフラットベッドシートのプレミアム
(同5-9万円)が12席の全377席。

 通常の運賃は、エコノミーで片道1万4000円から6万8000円、プレミアムで
4万8000円から9万円に設定される予定で、料金は早めに予約するほど安く
搭乗予定日に近づくほど高くなっていく。

 旅行会社との連携については、旅行商品造成などで協力する姿勢を示す。
全体の約75%はオンラインでの直販を想定するが、約25%は旅行会社を
通じた販売を見込んでいる。

 この就航により、東南アジアがぐーんと行きやすくなった。
試しに、同社ウェブサイトで12月30日羽田発のフライトを検索してみたら
片道14000円。クアラルンプールで乗り継ぐと、シンガポールまで3000円、
ニューデリーまで12000円、さらにロンドンは30000円で行くことができる。
時間に余裕のある学生や退職後の顧客層の旅は間違いなく変化する。

全日空が格安航空事業参入

2010-09-10 09:36:08 | 日記
全日空はこのほど香港の投資グループ、ファーストイースタンとの
共同事業として格安航空会社の設立を決定した。
2010年内には新会社を設立し、2011年下期からの関西国際空港を拠点
として、国内線と国際線を運航する計画だ。
新たな顧客層を開拓するために、全日空ブランドを出さず、運賃に
ついては、日系2社など大手航空会社に比べ半額程度に設定、 路線に
ついては中韓・東アジアなど4時間圏内で運航可能なエリアを想定する。

 思うに、ジェットスター、チェジュ航空、春秋航空などアジアの各国
から格安航空会社が既に飛来しており、秋以降にはエアアジアも羽田に
就航を予定するなど、格安航空会社とのレジャーを中心とした旅客の
争奪合戦は避けられない状況下、全日空の参入決定は時代の流れだろう。

 格安航空は、飛行機を安全に定時に飛ばす運航費と、予約・発券及び
後方事務などの販管費をいかに低コストで抑えられるかが、鍵となる。
 単一機材による整備費・乗員費の削減はもちろんのこと、直販による
販売手数料の削減、小さな本社機構による管理費の削減など、取り組む
べき課題は多い。
 特に全日空の売上高販管比率は、近年の決算では18-19%程度と高く、
同比率を5%以下に抑えている格安航空会社とは大きな差がある。
日の丸格安航空会社の実現に向けて頑張って欲しい。

電子マネー、勢力図変化

2010-09-05 19:49:14 | 日記
電子マネーの市場が急拡大しており発行枚数は1億6000万枚を超えた。
特に「流通系」の成長が著しい。スーパーなどで手軽に使えるうえに
ポイントがたまることもあり、4月には「流通系」が利用件数で初めて
5割を超えた。
JR東日本のスイカなど交通系を上回り、業界の勢力地図を塗り替え
始めている。

 7月末の主要6電子マネー(前払い式)の発行枚数は1億3832万枚で、
前年同月比で約2割増加した。NTTドコモの「iD(アイディ)」の
1492万枚など後払い式の主要電子マネーを加えると、全体の発行枚数は
1億6000万枚を上回り、1人が1枚以上持つ計算だ。

 発行枚数だけでなく、利用も伸び続けている。6電子マネー(前払い式)
の上期(1~6月)の利用件数は、前年同期比39.3%増の8億9864万件と
急拡大している。中でもセブンのナナコとイオンのワオンの流通系が、
利用件数全体のほぼ半分を占めている。

 一方、JR東日本のスイカや関東の私鉄や地下鉄で利用できるパスモ
などの交通系は、駅構内の商店や自動販売機の利用が増えている。
 駅構内の自販機を運営するJR東日本ウォータービジネス(東京・渋谷)
によると、09年度に消費者がスイカで支払う割合は4割を超えた。
 さらに、駅構内だけでなく、鉄道沿線を中心とした商店にも利用範囲を
広げている。スイカでは6月末から首都圏の高島屋11店の食料品売り場で
利用できるようにするなど、駅の外への展開も推し進めている。

 しかしながら、この電子マネーの仕組みには発行、読取り、精算などの
コストがかかっており、発行各社で利益が出ているかどうか疑問である。
現在は実験の意味もあって収益をを度外視して拡大しているが、発行枚数や
利用件数の伸びが落ち着いてくると、 現在の電子マネーが近い将来、
2-3種類に収束する可能性が高いもではないだろうか。

通販業界、09年度は4.1%の成長

2010-08-27 09:08:28 | 日記
(社)日本通信販売協会では、このほど2009年度の売上高について調査を行い、
8月23日その概要を発表した。これによると、2009年度の通信販売業界全体の
売上高は、推計で4兆3,100億円となり、前年度に比べ1,700億円の増加であり
伸び率は4.1%で調査開始以来の最高額となっている。

一方、百貨店は2009年の売上高が6兆5800億円と、規模では下回っている
ものの、こちらは前年に比べ8,000億円の減少であり、この状態が続くと
2013年には通販と百貨店の売上高が逆転する勢いである。

この現象の背景には、アマゾンなどの進出により通販に対する垣根が低く
なったことや、女性の社会進出により総合職の女性が増え、平日の残業の
ために土日は家で買い物をする、といった社会現象があると思われる。

また、通販物流も大きく様変わりしている。物流費率を12%とすると、通販に
関連する物流費は約5,200億円になるが、その範囲は単に配達だけでなく、受注
代行・在庫代行・入金代行・返品代行・マーケティング代行など、いわゆる
フルフィルメント業務を、通販事業者に代わって実行することが求められている。

参入事業者も従来の運輸・物流事業者だけでなく、通販事業者の物流部門が
他社向けに物流サービスを提供するもの(例えばスクロール:旧ムトウ)から
自社のネットサイトでの購入に対して物流までサービスを提供するもの
(例えば楽天物流)まで出現している。

運輸・物流事業者が単に「運ぶ」「保管する」ことだけを実施してきた時代は
早晩終わりを迎えると考える。


海運3社、今期好調な滑り出し

2010-08-23 15:19:50 | 日記
海運大手3社のコンテナ船事業が計画よりも好調に推移している。
先週発表された第一四半期の決算発表でも、業績の回復が鮮明で
対前年同期比では、日本郵船が売上高・営業利益ともに300億円超、
商船三井が売上高は400億円超、営業利益は280億円超の増加と
今期は好調な滑り出しを見せている。

この背景には、リーマンショック以降の欧米での在庫調整が一段落し
新興国からの荷動き活性化を受けて、太平洋・欧州各航路で積高が
前年同四半期を大きく上回り運賃も前期からの顕著な市況回復という
量的・質的な改善がある。

このままの荷動きと運賃水準が維持されれば、通期業績の大幅な
上方修正もありそうだ。

思うに、海運業界は明治時代から日本のグローバル化の最先端に立って
海外同業者との厳しい戦いをくぐり抜けてきたつわものである。
昭和60年(1985年)のプラザ合意以降の円高による大不況を経験
当時の邦船6社が吸収合併により現在の3社に体制になっているが、
余剰船のスクラップによる船体規模の適正化と減速運航による燃料費の
圧縮など、グローバル経済の動きに合わせた適切な戦術が素晴らしい
効果をもたらしたといえる。